エジンバラの古い柩 A.ナイト

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本が好き!より献本いただきました。  多謝kiss1.gif

エジンバラの古い柩
著:A.ナイト 訳:法村里絵  創元推理文庫

51RHD4F9ZWL._SX230_.jpg  (Amazon)

エジンバラ城の崖下で男の遺体が発見された。  捜査をはじめたファロ警部補は現場付近で男性の肖像が描かれたカメオを拾う。  さらに警官だった父の遺品から、40年前に城の壁の中から赤ん坊の遺体を納めた古い柩が発見されたという事件の記録と、現場で発見したものと対のメアリー王女のカメオを見つける。  ふたつの宝飾品が示す驚愕の真相とは?  英国史を覆しかねない大胆な傑作!  (文庫本裏表紙より転載)

ミステリーというやつにさほど親しんでこなかった KiKi にとって、献本でいただくミステリー本というのはかなり貴重です。  と言うのも、自分ひとりではどんな本を選べばいいのかよくわからないにも関わらず、巷にはあまりにも多くのミステリー本があって、困ってしまうから・・・・・。  ま、そんな中こちらに続く2冊目のミステリー本の献本を頂戴しました。

帯には「エジンバラ城の壁には赤ん坊の遺体を納めた柩と王家の秘密が隠されていた。  英国史を覆しかねない驚愕の真相!  警部補&新米医師のヴィクトリア朝探偵譚」な~んていう文字が躍っていて、歴史ものには目がない KiKi の期待をめいっぱい煽ってくれちゃっています。  もっとも、ヴィクトリア朝時代っていうやつ、長~い英国史の中で KiKi にとってはさほど興味深い時代じゃなかったんですけどね(苦笑)。

  

ミステリー、推理小説の楽しみ方というのは人によって違うんでしょうけれど、ミステリー初心者のKiKi の場合はやっぱり「謎解きの面白さ」に1つの目盛を置いています。  その目盛に即してみると、今回のこの本に関してはその部分でのゾクゾクするような面白さ・痛快さは残念ながらさほど感じることはありませんでした。  と言うのもね、お話がお話であるだけに結構狭い世界で起こっている事件であることが最初から歴然としているうえに、いわゆる市井の人間の様々な思惑が関わるような事件ではなさそうだったからです。

それに物語のうちの大半は主人公であるファロ警部補のプライベート・ライフ寄りのお話に偏っているために、彼個人の人となりに関しては様々な想像(妄想?)を楽しむことができるものの、ある意味では物語の主軸がどこにあるのか、散漫になりがちな印象でした。  でもこの物語で一番刺激的だったのはやっぱり「英国史を覆しかねない驚愕の真相!」の部分。  と、同時にかの全盛期を誇ったヴィクトリア時代の英国内部でうごめいていた、多くの矛盾に関する記述の部分ではなかったかと思うんですよね。

個人的にかなり楽しむことができたのは世界各地を植民地化・半植民地化して繁栄を極めた大英帝国というイメージが定着している「ヴィクトリア時代」のイングランドではなくスコットランドを舞台としているところ、そして彼の地での女王に対する評価がどんなものだったのか?とか、苦難の道を歩んでいたアイルランド系移民がどんな生き方をしていたのか?に関する記述の部分でした。

現代につながる多くの問題の種を播いた「大英帝国史」の一時代。  でも、表面的な繁栄の影には多くの矛盾・苦難が横たわり、それを覆い隠している「国家権力の欺瞞」みたいなものが、比較的あっさりとした筆致(糾弾するような描き方では決してない)で描かれていることに好感を持ちました。 

それにしてもこの結末、実際にあったとしてもおかしくないような結末・・・・ではあるけれど、これが本当のことだったとしたら、ホント、世の中って、そして権力者って、KiKi のような「一般 People」 には想像もつかないようなことをやってそれぞれの時代を生き抜いてきたんですねぇ。  

この物語のベースにあるのは実際に「1830年に城の地下室で赤子の遺体が入った小さな棺が発見され、遺体を包んだ布には"J"の刺繍が施されていた。」といわれる事件が発生したとされていることと、さらにはその発見の話に尾ひれ背びれがついて、「メアリ女王は、自分の産んだ子を暗殺者の手から逃がすために、その子を籠に入れてロープで吊るし、崖下で待つマー伯夫人に渡した。  マー夫人は本物のジェームズ六世を殺して自分の子と入れ替え、自分の子をスコットランドとイングランドの王位に就けた。」とまことしやかに物語られていた逸話(?)によるものなんだろうけれど、一応この逸話は「作り話」ということで決着されているらしい・・・・・。

現代の科学捜査の技術を以ってすれば事の真偽ははっきりするんだろうけれど、「何でもはっきりすればいいというものではないのかな?」と日本人の KiKi は感じてしまいます。  だって、仮に私たちがジェームズ六世と呼ぶ人物がメアリー女王の子供ではなかったとしても、歴史は変えられないし、今さら・・・・という感は否めないしねぇ。  でも、スコットランドの人たちにしてみれば、これは由々しき問題なのかもしれません。

日本人の KiKi にしてみるとメアリー女王という存在自体が「悲劇の女王」だとは思えるものの、「敬愛の対象」にはなりえない、遠い国の遠い時代の存在以上でも以下でもない人だけど、スコットランド人にとっては、特別なものなのかもしれない・・・・と本書を読んで深く感じ入りました。  もっともそれは「個人崇拝」というよりは「スコットランド人のアイデンティティの象徴」という意味合いが強いのかもしれません。  グレートブリテン及び北アイルランド連合王国(United Kingdom of Great Britain and Northern Ireland)、通称「イギリス」という呼び名の裏に潜む複雑な民族感情に思いを馳せる読書だったと思います。


さて、最後に・・・・・・

どうやらこの物語、以前本が好き!の献本にあった「修道院の第二の殺人」に続くシリーズものだったようです。  そちらも応募したんだけど、残念なことに KiKi は落選しちゃったので未読なんですけど、このシリーズ、まだまだ続くんでしょうか??  とんでもない事件に首を突っ込んじゃった形のファロ警部補がこの先、どんな人生を歩まざるを得なくなってしまうのか、相手が「国家権力」なだけに気になる、気になる・・・・・。  そしてこの事件に先立つ前作で、どんな事件を扱っていたのかも気になる、気になる・・・・・。  とりあえず本屋さんで前作を探してみようかなぁ・・・・・。

  

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