修道院の第二の殺人 A.ナイト

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先日読了したこちらの本が連作物語の第2作だったことを知り、その第1作に興味を持ったためこちらも読んでみました。

修道院の第二の殺人
著:A.ナイト 訳:法村里絵  創元推理文庫

61dxsFmufnL._SX230_.jpg  (Amazon)

煙ただよう古都(オールド・リーキー)、ヴィクトリア朝エジンバラ。  パトリック・ハイムズは修道院で働く妻と、そこの学校の教師だった女性を殺した罪で絞首刑に処された。  しかし、彼は妻の殺害は認めたが、第二の殺人は頑として否認したまま死んだのだった。  彼の最後の訴えを聞いたファロ警部補は、新米医師である義理の息子のヴィンスと再捜査を始める。  歴史ミステリの大家が贈る、軽快な犯人捜し!  (文庫本裏表紙より転載)

う~ん、この第1作はかなりビミョーな作品かもしれません。  少なくとも KiKi はこの第1作を先に読んでいたら、こちらの第2作「エジンバラの古い柩」には手を出そうと思わなかったかもしれません ^^;  物語の舞台をエジンバラに於いているということ、シェイクスピア劇をふんだんに盛り込んでいるということ等々、KiKi にとって美味しい要素となりうるパーツは満載なんだけど、何かこううわっすべりな感じがする物語だったような気がするんですよね~。

「ヴィクトリア朝時代のエジンバラ」、しかも事件の舞台は「修道院」ということから KiKi が勝手に期待していた趣みたいなものがほとんど生かされていないお話になっちゃっているような気がするんですよね。  その時代特有の雰囲気・香りみたいなものが全くといっていいほど漂ってこない・・・・・と言いましょうか?  捜査手法がクラシカルなことを除くとこれが現代を舞台とする物語であっても全然困らないような描き方しかしていないように感じられちゃったんですよね~。  

舞台が生かし切れていないのと同様に、人物描写の方もちょっとねぇ・・・・・。  人物紹介にページを割いている割には、その人物たちに共感しにくいというか、魅力を感じないというか・・・・・。  だいたいにおいてこの連作物語の主要人物であるファロ警部補 & その義理の息子 ヴィンス(この2人がこの物語のホームズでありワトソンなんだけど)が Good Looking の魅力溢れる男性と言われちゃった瞬間に嘘っぽい(苦笑)と思っちゃった・・・・・。  天才的な刑事なんだから、ひと癖もふた癖もあってもいいんだけど、「魅力的」と言われる割にはその描写が欠けているように感じちゃうんですよ。

中年の男やもめという設定のファロ警部補が否応なく感じている「もう若くはないというある種の焦り」とか「若くて如才なく人当たりがよいうえに仕事もできる部下に対する嫉妬心」っていうのは若い人ならともかく、KiKi ぐらいの年齢になれば我が身に照らして切実に理解できるんだけど、そういう感情を持ちつつも魅力を失わない中年男の書き様っていうのはいろいろあると思うんです。  でも少なくともこの巻での描写は魅力とは対極にあるもののように KiKi には感じられました。

さらに言えば、これ、一応ミステリー、推理小説の類の物語だと思うんだけど、そっちの描き方が何とも薄っぺらくて、謎解きのスリルも感じなければゾクゾクするような興奮ともちょっと無縁な感じがするんですよね。  肝心要のファロ警部補はそもそも事件解決に最初からさほど乗り気じゃないうえに、途中からは事件そっちのけ(?)でまるで青少年みたいなうぶさ加減を示しながら恋に夢中になっちゃっているし・・・・・ ^^;   

義理の息子 ヴィンスがそんな彼を暖かく見守りながらも事件解決に向けてぐいぐい引っ張っていくのか(実際当初の書き出しはそんな雰囲気もあったりする)と思いきや、彼も途中から事件への関与具合がおざなり・・・・というか、興味を失っちゃったような雰囲気だし・・・・・・。  まあ、彼は医者という別の仕事を持っているから、ファロ警部補と同じように事件にのめり込むわけにはいかないけれど、事件に対する興味の持ち方・向き合い方がワイドショーを見る好奇心旺盛な一般人レベルとさして変わらないような印象です。  で、彼ら2人の熱さが欠けている分、読んでいるこちらも事件解決への興味が冷めちゃったようなところもあったように思います。

大学時代にシェイクスピアを学んだ身としては、シェイクスピアの戯曲を扱っている物語だということだったので、そっち方面の記述もかなり期待していたんだけど、そこもかなり期待外れだったかも・・・・。  シェイクスピア劇のセリフが多用されていることと、ファロ警部補が古き良き時代のシェイクスピア劇(決して現代的な演出のそれではないこと)を愛しているっていうことは伝わってきたけれど、あとは彼の片思いの小道具程度の印象しか残りませんでした。

事件アリ、家庭生活アリ、中年の危機アリ、男やもめの恋情アリと、一つ一つのアイテムはそれだけでも面白くなりそうな要素が盛りだくさんなんだけど、詰め込みすぎちゃっていて何となく散漫な感じがしちゃうんですよね。    

訳者あとがきによれば、このシリーズは2008年までで17作も書かれている人気シリーズとのことなんだけど、その人気の理由・長寿の理由が KiKi にはちょっと理解できなかったりします。  まあこれは偏にファロ警部補をはじめとする登場人物(特にシリーズを通して登場することが想定できそうな人たち)に現段階ではさほどの吸引力を感じていないことによるものだと思うんですけどね。  第3作以降への期待をつなぐ要素としては、あの第2作での事件を経た後に、ファロ警部補はどんな風に仕事を続けることができたのか・・・・・というポイントかな??  

どちらかというと国家権力側の仕事をする(・・・・という感覚はひょっとすると現代人のそれなのかもしれませんが ^^;)ファロ警部補が、その国家権力の欺瞞・恐ろしさを知ってしまったあの後15冊分、彼がどんな風に仕事へのモチベーションを保ちつづけながら警部補職を全うしたのか?については、半端じゃなく興味をかきたてられます(笑)

  

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