真夜中のパーティー P.ピアス

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ここのところちょっと「光文社古典新訳文庫」が続いたので、今日は久々に岩波少年文庫です。  でも次の読書エントリーは「学生時代を懐かしんで - あの名作を光文社古典新訳文庫でもう一度」企画(?)からの1冊になるだろうと思います。  今年の秋の読書はこの2つのシリーズで埋め尽くされそう・・・・。  ま、いずれにしろ本日の KiKi の読了本はこちらです。

真夜中のパーティー
著:P.ピアス 訳:猪熊葉子  岩波少年文庫

  (Amazon)

なぞめいたおとなりさん。  宝物の秘密の貝。  子どもの日常生活におきる、小さいけれど忘れがたいふしぎなできごとのかずかず。  「トムは真夜中の庭で」の作者による、夢と現実の世界を行き来する印象的な8つの短編をおさめる。  (文庫本裏表紙より転載)

フィリパ・ピアスという作家の名前は「トムは真夜中の庭で」「まぼろしの小さい犬」という2つの作品と密接に結びついている KiKi にとってこの本は今回が初読でした。  で、この本を今回手に取ってみたきっかけはこのブログの柱企画「岩波少年文庫全冊読破計画」の一環であるのと同時に「宮崎さんの推薦文」にもあったわけですけど、初めて宮崎さんの推薦文の中にこの本が入っているのを見た時には、逆に思ったものでした。  「あれ??  どうして、『トム~』の方じゃないんだろう??」と。

そうであるだけにこの物語への期待値は否応なく高かったことをまずは白状しておきたいと思います。  そしてその期待はまったく裏切られなかったということも・・・・・・。

まずは、この表紙の絵がいいですねぇ~。  そしてこの短編集1編1編の表紙頁にある挿絵が何とも言えない雰囲気を醸し出しています。  これらの挿絵はフェイス・ジェイクスという方が描かれたものです。  因みにこの方、同じ岩波少年文庫の中ではアトリーの「時の旅人」とか「グレイ・ラビットのおはなし」の挿絵も手掛けていらっしゃいます。  どの作品での挿絵もムード満点でこれらの作品が持つ空気感を見事に視覚化した挿絵ばかり・・・・・だと思います。      

さて、肝心の物語の方です。  これは短編集で以下の8作品が収録されています。

よごれディック
真夜中のパーティー
牧場(まきば)のニレの木
川のおくりもの
ふたりのジム
キイチゴつみ
アヒルもぐり
カッコウが鳴いた

どの作品も主人公は現代の小学校くらいの子供たちで、その子供たちのある意味ではありきたりの日常の一コマを描いたものです。  でね、これらの作品群が読者に伝えようとしているのは、ありきたりな教訓話でも懐古趣味でもなくて、子供時代特有のモヤ~っとした感情・・・・のようなもの。  まだまだ幼いゆえにそれを理路整然と説明できないし、子供特有の気まぐれも手伝ってコロコロ変わったりもするんだけど、当の子供にとってはとっても大切な一時一時の気分・・・・・とでも呼ぶべきものなんですよね~。

そしてこの短編集のすごいところは、誰もがかつては抱いていた似たような漠然とした不安、自分で自分の気持ちがわからないような曖昧さ、親に叱られることがわかっていても(又は兄弟姉妹に泣かれることがわかっていても)やらずにはいられなかったある一時点での気持ちといったようなことを、情景描写の中で描ききっているうえに、ピアスさんがこういう形で描いてくれなかったら、失われたまんまになってしまったかもしれない・・・・・と思わせるところだと思うんですよね。

子供は子供なりに日々の生活を送る中で「ヒトという生き物が本来的に抱え持っている矛盾」に直面し、それを未消化のまま時を重ね成長していきます。  この短編集の主人公の子供たちも「ヒトの感情と行動の間に存在する、ほんのちょっとした二律背反性」を自分の中に、そして時に自分をとりまく大人の中に感じ取ります。  

どの物語の子供たちも皆、それぞれの体験の中から「コレ」と明言できるほど明確なものではないまでも、その子供の「核」となりえそうな「何か」を得ていることがしみじみと感じられる素敵な短編集だと思います。

最後に・・・・・  恒例の宮崎さんの推薦文を転載しておきます。

あるアニメーション映画を作っていて、くたくたになって帰った夜、ふとんの中でこの本を読みました。  短い作品の中に世界が描かれていました。  文学ってすごいなぁ、こういうのが文学なんだという思いがわいて来て、自分たちがおおぜいで毎日毎日夜おそくまで机にかじりついて、絵を描いても描いても、いっこうにできない映画より、この本の方がすてきだなあって、ちょっと悲しくなりました。

ここで仰るアニメーション映画が何だったのかとっても気になります。  でも少なくとも KiKi にとっては最近のジブリ・アニメだったらこれは間違いなく「仰る通り!」と思わないじゃありません。  宮崎さんには悪いけれど・・・・・(苦笑)  いえ、これは「まだまだ宮崎さんには期待しているんだから!」というエールも含めてなんですけどね。

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