徘徊老人を見かけたらどうする??

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昨日の朝、Lothlórien_山小舎付近は雨。  それも時折どしゃぶりと言ってもいいようなお天気でした。  そんなお天気だったため、朝目覚めてからも何となくお布団の中でグズグズと本を読みながら過ごし、暫くの間はカーテンもひきっぱなしにしていました。  そんな時、何となく近くで人の話し声がするような気はしていたんです。  でも、ご近所さんの声が風向きによってはかなりよく聞こえてくることがあったので、「こんな雨の日に外で何かをしていらっしゃるのかしら??」とは思ったものの、あまり気にせずに相変わらずグズグズとしていました。

とは言ってもそうそういつまでもダラダラとはしていられないので、目覚めてから30分後ぐらいには「そろそろ朝ごはんの支度をしなくては」と起き上がり、リビング・ダイニングのカーテンを開け、目覚めのコーヒーを淹れて朝のぼんやりした余韻を楽しんでいると、我が家の愛犬ノルンがいきなり部屋の中を駆けずり回り始め、挙句ワンワンと吠えはじめました。

昼間であれば誰か知り合いの方が我が家の庭先に軽トラで乗り入れ、その気配にワンワン吠えることがごくごく稀にあったのですが、時間も時間だし、お天気もお天気だし、そんな状況下で誰かが訪ねてきたことなんてありません。  又、我が家の愛犬は基本的には無駄吠えはしない子なので訝しく思って彼女の視線の先を追ってみると、どしゃぶりの雨の中、傘も差さない状態で我が家の庭から誰かが家の中を覗いています。

その人がいる手前(家の中にいる KiKi から見て)にはウッドデッキがあり、そのウッドデッキに上がってくるでもなく、ウッドデッキの柵ごしにこちらをじっと見ているのです。  その様子に異常なものを感じた KiKi は正直最初の1~2分は不気味に感じて、何も考えられない状況に陥りました。  するとその人は KiKi の視線の先からふっと消え、どこかに移動したみたいでした。

今、見たものが何だったのか、考えがまとまらないまま愛犬を抱き上げ、「今の、何だった??  あなたは何に吠えていたの??  幻覚じゃないよね??」な~んていう問いかけをしているうちに、KiKi の気持ちも少しずつ落ち着いてきました。  すると再びその誰かが KiKi の視界に侵入してきました。

それがどういう人物なのか、まったくの見当もつかない中、思い切って KiKi はその人物に声をかけてみることにしました。  都会だったらそんな無謀なことはできないところなのですが、この村に来て以来、人の家の敷地内にズカズカと見知らぬ人が入ってくることにはかなり慣らされていたし、怖がる必要があるのかどうかはその人物と接触してみないことにはわかりません。  

そこで恐る恐るながらも KiKi は思い切ってテラス戸を開け、その人物に声をかけてみました。


「おはようございます。  こんな雨の中、どうされました??  何か御用ですか??」


咄嗟のことで、何も考えなしに声をかけたので、そんなありきたりの質問しかできませんでした。  するとその人物はほんのチラっとだけ KiKi の方を見たものの、すぐにくるりと背中を向けてしまい、草ぼうぼうの庭を見つめて何かブツブツと言うだけで、まったくの反応がありません。  このわずかな問答(とさえ呼べないかもしれない ^^;)による収穫は、その人物が女性、それもかなり高齢なおばあちゃんであるということが分かっただけでした。


そしてその人物はそれからすぐLothlórien_山小舎の庭を突っ切って道路に出て、立ち去って行きました。  そして KiKi は茫然とその後ろ姿を見送っていました。  その時まで、KiKi の思考はストップしたままで、腕に抱いたままの愛犬と顔を見合わせながら「あれは何だったんだろう??」な~んていうことを呟いていました。  口で言うほどはそれが何だったのかは考えてもいなかったんですけどね。

で、そのおばあちゃんが立ち去って、KiKi も抱いていた愛犬を床に下ろし、再びコーヒーカップを手にしたとき、ようやく KiKi の思考回路が働きはじめました。


あのおばあちゃん、こんな雨の中、傘もさしていなかった・・・・・。  びしょ濡れなのにそれを気にしている風でもなかった・・・・・・・。  声をかけても反応がなかった・・・・・・。  挙句ブツブツと何かを呟きながら立ち去って行った・・・・・・。  凡そ普通と呼べる状態ではなかったように見えた・・・・・・。

もう一度一連の出来事を反芻してみて、その時ようやく KiKi の頭に1つ浮かんできた答えがありました。


ひょっとしたら、あのおばあちゃん、徘徊しちゃっているんじゃないだろうか??


昔から、認知症を患っていらっしゃる方が徘徊するという話は聞いていました。  実際、KiKi の母方の祖母も徘徊癖があったことを祖母の面倒を見ていた親戚の叔母から聞いたこともありました。  でも、実際の徘徊老人の姿を見たことがなかった KiKi はあのおばあちゃんの姿を見た時にはその可能性を考えることさえできず、せっかく声をかけたにも関わらず引き留めることもできないまま、再び彼女を見送ってしまったのかもしれません。

大慌てで村の交番に電話をしてみたのですが、朝早い時間だったということもあってか、お巡りさんとは連絡がつきません。  2~3回かけ直してみたんだけど、どうしても繋がらなくて、3回目に電話をしたときには「次はどうする??」を考え始めていました。  

これは KiKi の思い過ごしで、あのおばあちゃんは単なるお散歩の途中で(このあたりの農家さんは雨が降ったからといって農作業をお休みしたりはしなかったりもする)、ちょっと雨宿りするためにLothlórien_山小舎の軒先にいただけかもしれません。  ウッドデッキには上がってこなかったのですから・・・・・。  そして今頃は家に帰り着いている可能性だってあるかもしれません。  もしもそうだったらあまりにも大騒ぎをし過ぎるとおばあちゃんを傷つけることになるかもしれません。

でも、逆に徘徊中であったとするならば一刻も早く保護してびしょ濡れの体を温めてあげないと、体調を崩してしまうことだってあるかもしれません。  人間、同じ雨に濡れるにしても、それなりの心構えがあるのとないのとでは大きな違いがあります。  でも KiKi はあの時、タオルを貸してあげることさえ思いつかなかったのです。  そう考えると何もできなかった自分の不甲斐なさに罪の意識が膨らんでいきます。  そんなことを考えているとあのおばあちゃんは間違いなく「徘徊老人」だったような気がしてきました。

そして次に KiKi が思い出したのは、ごくごく稀に防災無線で「行方不明人捜索」の案内が流れていたことでした。  日頃、さほど注意して聞いていなかったので、その捜索活動の陣頭指揮をとっている組織がどこだったかまでは、はっきりとは覚えていません。  自分の日頃の無関心さに舌打ちしながら、その組織(村役場なのか、村のボランティア集団なのか)に直接連絡できないまでも、その組織を動かすことができそうな知り合いはいないかどうか考えてみました。  すると一人だけ思い当たる人がいました。

それは以前このエントリーでお話した KiKi も選挙の際にはお茶くみとしてちょっとだけ関わった村議会議員さんです。  村の組織を動かそうと思ったら、議員さんに声をかけるに限ります。  しかもこの村のようにお年寄りが多い村でこの類の事件(?)が発生したらどうすればいいのかを少なくとも KiKi よりは的確にご存知なのではないかと思えました。  さらにこの議員さんが♀であることが KiKi には「この方しかいない!」と思わせるに十分な理由でした。  交番への電話を諦めた KiKi は今度はその議員さんのお宅に電話しました。

そして、今朝あったこと、ひょっとしたら KiKi の思い過ごしかもしれないけれど、様子からすると徘徊しているご老人である可能性もあること、どちらの方向へ向かっていったか等々をお知らせし、必要な手配をお願いしているまさにその時、防災無線がうなりはじめ「行方不明人発生」のお知らせが流れました。  そして、村の消防団が出動し、30分ほどで無事おばあちゃんは保護されました。

因みにそのおばあちゃん、どこで発見されたか?と言えば、どうやらあの後再び、Lothlórien_山小舎に戻っていらしたらしく、KiKi がカギをかけないで敷地内(と言うより、KiKi が地主さん了承のもと無償でお借りしている Lothlórien_庭先農園 Part3 のところ)に止めっぱなしにしてあった軽トラの中で雨宿りをされていらっしゃいました(苦笑)  よっぽどこの場所に何か思い出でもお持ちだったんでしょうか??

いずれにしろ今回の事件で考えてしまったこと。  それは KiKi はこういう事態に備えて、自分に何ができるのか??を考えてみたこともなかったという事実でした。  だから最初におばあちゃんに声をかけた段階でもっとできることがあったのかもしれないのに、おばあちゃんをそのまま行かせてしまいました。  そしてそのおばあちゃんが再び戻ってくることは考えもせずに、村の消防団の人たちが探し回っている間に、我が家の庭先の車の中を再度確認してみようとさえしませんでした。  最終的には無事保護できたからよかったものの、KiKi にはもっとできることがあったはずです。  

正直なところ、あのおばあちゃんが庭先をうろついていた当初、KiKi の念頭をよぎったのは「不審者」という言葉で、「徘徊老人」という言葉ではありませんでした。  「徘徊老人」という言葉は聞いたことがあったけれど、KiKi の中では現実感を伴ったものではありませんでした。  「老い」を扱う小説やドラマに数多く接していても、そして実際に KiKi の母がアルツハイマーを患っていることがわかっていながらも(幸いなことに今はまだ徘徊していないし、物忘れが半端じゃなく激しいことを除けば、家事もこなしていたりする)比較的軽症なのをいいことに、どこかそれを「現実ではない」ように思いたがっていた自分の姿が露呈した・・・・・そんなことを感じました。

あのおばあちゃんが「徘徊しているのかもしれない」と思いついたそこから先のアクションはそんなには間違っていなかったかもしれません。  でも上記のようにおばあちゃんがもう一度戻ってくることは考えさえしませんでした。  「徘徊される方が歩き回る場所にはそれなりの理由があるものだ」という話を聞いたことがあったのに、実際に徘徊しているおばあちゃんを前にした時には、それを思い出すこともなく「どこかへ行っちゃった・・・・」としか考えなかったのは、その知識を生かすことができなかった1つの証拠・・・・みたいなものです。  これでは知識とは呼べません。   

そしてもう一つ、今回の事件でおバカな KiKi の目が覚めたことがありました。  実は我が家の愛犬は人懐っこい犬で、どんな人にも尾っぽを振って近寄って行ってしまい甘えん坊ぶりを発揮するので、番犬としてはまったく役に立たない「しょ~もない愛玩犬」だとず~っと思い込んでいたんです。  でも、あのおばあちゃんの気配に気が付き、それを KiKi に教えてくれたのはその「しょ~もない愛玩犬」でした。  あの後、得意気に尾っぽを振りながら甘えてくる愛犬を前に、KiKi は思わず口走っていました。


「これまでお前のこと、ず~っと『おバカさん』って思っていたけど、そんな風にバカにしていた KiKi の方がよっぽど『おバカさん』だったねぇ・・・・・  ごめんね。」


ま、てなわけで昨日は滅多に与えてもらえないおやつをたくさんもらって上機嫌のノルンでした。


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このページは、KiKi (Brunnhilde)が2012年9月20日 09:04に書いたブログ記事です。

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