モーツァルト 弦楽四重奏曲第16番 K. 428

| コメント(0) | トラックバック(0)

今日も昨日に引き続き、モーツァルトの「ハイドン・セット」第3曲を聴いてみたいと思います。

モーツァルト 弦楽四重奏曲第16番 K. 428
ASIN: B0002Z83NO  ズスケ・カルテット

Mozart_SusukeQ.jpgのサムネール画像  (Amazon)

この曲には逸話があります。   偉大なる物理学者、アインシュタインによるとモーツァルトは前作第15番のニ短調カルテットを作曲したすぐあとにこの曲(変ホ長調)を書き上げ、さらにその1年後に第17番の「狩」を作曲したのですが、「ハイドン・セット」を「セットもの」として完成させる際にはこの曲ではなく現在ではハイドン・セット第4曲として知られる「狩」を第3曲として指定し、この曲は第4曲とされていたというのです。

又、別の説によれば第15番がニ短調、そしてこの曲が変ホ長調、「狩」が変ロ長調という調性なんですけど、これを順番を入れ替えるとちょうど♭(フラット)の数が1つずつ増えていくことになるんです。  (これがよく分からない人は子供時代の音楽の教科書を確認してみましょう 笑)  そうするとある種の規則性みたいなものがあるように見えるでしょ。  ま、KiKi にはこの説はこじつけに感じられるんですけどね(笑)

たかが曲の順番・・・・と思われる方もいらっしゃると思うんです。  でもね、KiKi にはフラットの数云々と言う話はともかくとして、アインシュタインが語っていた構成をモーツァルトが意図していたという話は別の意味で妥当に感じられます。  というのもね、モーツァルトという作曲家のバランス感覚を思えば、第2曲ニ短調のあの哀愁に満ちた曲想の次はやっぱり明るい曲の方がしっくりくると思うんですよ。  

特に、この時代の曲というのは「ミラノ・カルテット」しかり「ウィーン・カルテット」しかり、そしてこの「ハイドン・セット」しかりで、6曲を連続して演奏されるべき曲のかたまりとして捉えて出版・演奏されていたと考えられるからです。  

クラシック音楽にさほど親しんでこなかった方はこんな疑問を持ったことがありませんか??  それは「どうしてクラシック音楽には第○楽章な~んていうのが連なっているんだ?」ってね。  現代に暮らす私たちにしてみると曲は1曲であって、その中に楽章な~んていうややこしいものを持たせるよりも、別の曲は別の曲とした方がさっぱりしていいんじゃないか?ってね。  

その1つの答えはね、要するにクラシック音楽には「バカの一つ覚え」という発想ははなからなくて、いくつかの異なる主張(時に喜びと哀しみというような相反する主張さえも)を有機的につないで、大きな人間の精神世界を描くというスタイルが確立されていたから・・・・と KiKi は思っています。  同じ調子の連続じゃあ、人間、飽きてしまいますから・・・・(笑)  その異なる主張をつなぐために必要になってくるのが調性だったり、ある特定の印象的なリズムだったり、その他もろもろのルールだった・・・・と。


さて、そうやって考えてみると晴れやかで明るい「狩」と比較すると、この第16番の第1楽章の第1主題はどこか前楽章のムードを引き摺っています。  調性は「変ホ長調」という長調なんですよ。  でも、これをちょっと聴くと長調の曲には聴こえないんじゃないかしら??  もっと陰影が濃くて、ちょっと人を不安にさせるような危うさ・・・・みたいなものを感じさせます。

この曲を KiKi が初めて聴いた時感じたのは「あれ?  これってモーツァルト??  どことなくベートーヴェンっぽい」ということでした。  それはこの出だしの唐突さにも原因があるんだけど、それと同じくらいそれっぽく感じさせたのはその後の展開の仕方にもあります。  第一主題を重要なモチーフとして用いながら細かな(というか断片的な)その展開を続ける作曲技法に、どこかベートーヴェンに通じるものを感じるんですよね。  以前 KiKi は「モーツァルトはメロディ(歌)の人」と書いたけれど、ことこの第1楽章に関して言うならどことなく歌よりも展開を重視している・・・・・、そんな雰囲気を感じるんです。

第2楽章のアンダンテ・コン・モートはさらにチェレンジング。  とってもとってもと~っても美しんだけど、どこをどう切り取っても「歌」らしきものがどこにあるのか、よくわからない・・・・ ^^;  とにかく和声をいじくりまわしてありとあらゆる手法で並べてみたらこうなっちゃったというような雰囲気なんですよ。  でもその「音遊び的な世界」からここまで「瞑想的な気分を盛り上げる曲」に仕立て上げちゃうあたり、やはりモーツァルトはどこか変な人です(笑)  あの第一楽章の不安定さはこのわけのわかんない和声進行の中で癒され、忘れちゃうという摩訶不思議な音楽になっています。

第3楽章はメヌエット。  「舞曲」と言うよりは「新体操」といった雰囲気の音楽でしょうか?  あの絶妙な音世界を構築した第2楽章の後、どんな曲を持ってくるのかと思ったら、今度はリズム・跳躍を持ってきました。  この楽章の白眉はトリオ部分だと思います。  ここでようやく「これぞモーツァルトの真骨頂」と思わせる「悲しみをたたえた笑顔」みたいな美しい歌が流れます。

そして最終楽章。  軽やかなロンドでどこかドイツ民謡を思わせるような自由さにあふれています。

さて、「ハイドン・セット」もちょうど半分聴き終えました。  次の第17番「狩」と第18番は過去にエントリーを書いているので、今回エントリーを書く鑑賞曲からは飛ばすことにします。  次回のクラシック音楽関係エントリーは「ハイドン・セット 第6番 不協和音」の予定です。

トラックバック(0)

トラックバックURL: http://poco-a-poco.chu.jp/mt/mt-tb.cgi/1345

コメントする

2015年2月

1 2 3 4 5 6 7
8 9 10 11 12 13 14
15 16 17 18 19 20 21
22 23 24 25 26 27 28

Current Moon

CURRENT MOON

東京のお天気


山小舎のお天気


Booklog



ブクログ

アーカイブ

ウェブページ

Powered by Movable Type 4.261

TrackbackPeople

クラシック・ピープルの Trackback People Site


チェロ ラヴァーズの Trackback People Site


Piano~ぴあの Trackback People Site


ピアノオススメ教本の Trackback People Site


ピアノ教室の Trackback People Site


Book Love Peopleの Trackback People Site


本好きPeople・ぴーぷるの Trackback People Site


今日読んだ本の Trackback People Site


ファンタジーが好き♪の Trackback People Site


この絵本がすごい!の Tackback People Site


児童書大好き♪の Trackback People Site


ハヤカワepi文庫の Trackback People Site


岩波少年文庫応援団の Trackback People Site


薪ストーブの Trackback People Site


週末は田舎暮らしの Trackback People Site


野菜育てPeopleの Trackback People Site


ガーデニングの Trackback People Site


パッチワークキルトの Trackback People Site


あなたの訪問は?


日めくりカレンダー


Real Time News


カテゴリ

ノルンはいくつ?

本が好き!


読書メーター

KiKiさんの読書メーター
KiKiさんの読書メーター

最近読んだ本

KiKiの最近読んだ本

今読んでいる本

KiKiの今読んでる本

読了目標





今やってるゲーム

KiKiの今やってるゲーム

このブログ記事について

このページは、KiKi (Brunnhilde)が2012年10月19日 11:01に書いたブログ記事です。

ひとつ前のブログ記事は「モーツァルト 弦楽四重奏曲第15番 K. 421」です。

次のブログ記事は「影のオンブリア P.A.マキリップ」です。

最近のコンテンツはインデックスページで見られます。過去に書かれたものはアーカイブのページで見られます。

高速運賃





Edita

ブロガー(ブログ)交流空間 エディタコミュニティ

名言黒板


作家別タグ