古書店めぐりは夫婦で L.&N.ゴールドストーン

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吾妻郡図書館から借り出してきた本2冊目を読了しました。  こちらはたまたま書架で見かけ、表紙の絵の雰囲気とタイトルに惹かれて「お試し気分」で借りた1冊です。

古書店めぐりは夫婦で
著:L.&N.ゴールドストーン 訳:朝倉久志  ハヤカワ文庫

61D2Y3H2C5L._SL500_AA300_.jpg  (Amazon)

あなたは誰かに本を贈る時、古書店に行きますか?  古い本なんてとんでもない、新刊本を買うに決まってる?  わたしたち夫婦もそう思っていました。  誕生日の贈り物に決めた『戦争と平和』が、地図や美しい挿絵も付いてたった10ドルで古書店で買えると知るまでは。  こうしてボストン、シカゴ、ニューヨークへと果てなき古書収集の旅が始まったのです ― 古書・稀覯本の世界に魅せられた夫婦が繰り広げる、心躍る宝探しの旅。  (文庫本裏表紙より転載)

KiKi が日本人でよかったなぁと感じることの1つに所謂廉価版書籍(文庫とか新書とか)の装丁が案外しっかりしていることが挙げられます。  そしてそれらの廉価版書籍のお値段が比較的安易に手が届く範囲にあることも・・・・・。  それと比較するとアメリカなんかのペーパーバックと呼ばれる本は紙質はわら半紙をちょっとよくした程度、背表紙の糊付け部分は見るからにいい加減で、ちょっと扱いを間違えるとバラバラと分解してしまいそうな印象があります。

もちろん海外の、センスの良いインテリアにも似合いそうな革装丁の本なんかを見ると、それに憧れる気分も多分に持ち合わせてはいるんだけど、そういう高価な本の場合、先祖代々の遺産として残された蔵書でもない限り、自力でそこそこのコレクションを持とうな~んていうことを目論むのは夢の又夢という気分になり萎えてしまいます。  ところが我が日本国の場合、古今東西あらゆる名著と呼ばれる本を二世代ぐらいは持ちそうな品質の本で揃えることは、手が届く範囲の収集と言えるような気がします。  そう、実際にはそれであってさえもそこそこ難しいことではあるけれど、この「気がする」と感じられることが重要だと思うんですよね。

まあ、逆に言えば、結局はそんな手近なところにある文庫本をせっせと収集するのが一般的な「愛書家」の限界で、そんな愛書家の死後、遺族が残された書籍を処分するにしてもブックオフあたりに持ち込んで二束三文で流通していってしまうことが表層的な文化しか根付かない一因になってしまう部分もあるのかもしれませんけど・・・・・・ ^^;  

この本はたまたまお互いの誕生日プレゼントのコストを抑えるために、古書店を訪れた夫婦が古書の魅力に目覚め、蔵書を作るために東奔西走するという「愛書家」には面白い顛末が書かれた本です。  当初は10ドルからスタートした彼らの「古書収集」があっという間にコストアップしていく様子は時にユーモラスで、時に共感を覚え、ヒートアップのし具合が自分の懐具合ではとてもついていけなくなった時点で羨望交じりに呆れる(^^;)・・・・というプロセスが楽しめるお話でした。

この本は「本という物質」に興味がない人にはまったく面白味のない本だと思います。  逆に本に書かれた「物語」と同じくらいに「本という物質」自体が持つ物語にも興味のある人にはたまらない本です。  そして、この夫婦が好む作品にもそこそこ興味のある人であれば、尚更です。  彼らが古書店で見つけて、購入しようかどうしようか?と悩む本の大半は KiKi の読書趣味とかなり合致しているあたりが、KiKi にはたまりませんでした。  そうであるだけに、KiKi の資力をはるかに超えている価格の本を前に逡巡する2人に共感することができたように感じます。

ま、逆に言えば、彼らに共感できるということは、彼らが出会ったとある古書店の店主が言うように KiKi 自身も「コレクター」と呼ばれる人種には属さないということの証左なのかもしれません。  その店主曰く

むかしのコレクターは、あるひとりの作家や、時代や、製本師に集中したものだった。  そのコレクションには歴史的価値があった。  個人のコレクションが、大学の図書館以上に、重要な研究資料になった。  最近のコレクターは、あっちをひと口、こっちをひと口かじる。

なるほどねぇ~。  やっぱり KiKi は「愛書家」ではあるかもしれないけれど、「コレクター」ではなさそうです(笑)  この「歴史的価値」という言葉を読んだ際、ふと思ったのはどこかで読んだことがある荒俣宏さんの言葉でした。  彼がどこかで「次の誰かに渡すため、次世代に繋ぐために本を集める」というようなことを仰っていらして、個人の自己満足のために本を買い漁り読んでいる自分とは発想からして違うなぁと思ったことがあるんですよね~。

先日もこのエントリーでお話したように、KiKi の実家には「世界文学全集」と呼ばれるハードカバーの本が幾揃えかあります。  子供時代に厚紙仕様のそんな本に馴染んだ KiKi は本音の部分で言うと文庫本とか新書はあまり好きではありません。  本っていうやつはやっぱりある程度ズッシリとした重みがあって、書架台とまではいかなくてもテーブルの上に広げて読むものだという「理想の読書の形」に対するイメージみたいなものがあったりもします。

それでも東京のマンション暮らしでは保管スペースの問題もあり、更には通勤・通学途中の電車内が貴重な読書タイムというライフスタイルが長かったので、鞄に入れてかさばり、読書中のスペースも必要となるハードカバー本はまっこと不便極まりなく、ふと気がついた時には KiKi の蔵書は文庫本だらけ・・・・・となってしまいました。  

それらの本の単価を総計すると、1年ぐらいの食費には十分おつりがきそうな金額になるのですが、所詮これも二束三文。  言ってみれば消費財と変わらないなぁと考えると溜息が出ちゃうこともしばしばです。  そんな時にはやっぱり思ったりもするのですよ。  どうせなら「蔵書」と呼んで恥ずかしくないラインナップが残っていればなぁ・・・・・と。

そうであるだけに、ごくごくたまに古書店めぐり(この時の古書店には当然のことながらブックオフタイプの店は範疇に入ってこない)をして、「本」と呼ぶにふさわしいと KiKi が感じられる本の中に身を置くと、何とも言いようのない至福感が全身を満たしてくれます。  考えてみると KiKi がせっせと文庫本を集めるその背景には、「ちゃんとした本は実家にあるから・・・・・。  言ってみればこれは日常使いの簡易版。」というような意識があるような気がします。  そういう意味では実家の蔵書と KiKi が持っているハードカバー本を合わせれば、一応「蔵書と呼んで恥ずかしくないラインナップ」の恰好はつくかな・・・・・なんてね(苦笑)

さてさて、久々にこの本でも紹介されていた「百年の孤独」とか「八月の砲声」とか「イシ」(← これは、荻原さんの「グリフィンとお茶を」だったかもしれない ^^;)あたりを読んでみようかなぁ・・・・・。  どの作品もこのブログでは未紹介だし・・・・・。  あ、でも、次のエントリーから始める予定の「村上春樹シリーズ」とか、着手したばかりの「マキリップ・シリーズ」とか、最近とんとご無沙汰の「岩波少年文庫シリーズ」とか「光文社古典新訳文庫シリーズ」とか、こなさなくちゃいけないシリーズ企画が山積みなんだっけ・・・・・。  

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このページは、KiKi (Brunnhilde)が2012年10月29日 09:20に書いたブログ記事です。

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