注文の多い料理店 宮沢賢治

| コメント(0) | トラックバック(0)

宮崎さんの豆本で紹介されている岩波少年文庫の順番にのっとって・・・・ではあるものの、ある意味では岩波少年文庫シリーズの中でも日本文学の中の真打といってもいいような本に到達しました。  本日の KiKi の読了本はこちらです。

注文の多い料理店 イーハトーヴ童話集
著:宮沢賢治  岩波少年文庫

51Y2W768GGL._SL500_AA300_.jpg  (Amazon)

「すきとおったほんとうのたべものになること」という賢治の願いがこめられた童話集「注文の多い料理店」を、挿し絵とともにすべて収める。  他に「永訣の朝」「雨ニモマケズ」など、独特のことばでつづられた詩11編を収録。  (文庫本裏表紙より転載)

KiKi にとって宮沢賢治の作品っていうのは最初の出会いが国語の教科書(記憶は定かではないんだけど、たしか「注文の多い料理店」が載っていたように思う)で、その後学校図書館でいくつかの本を読み、この本にも収録されている「雨ニモマケズ」は小学校高学年だったか中学校低学年だったかははっきりしないんだけど、暗唱する課題が課されたことがあったように思います。  中学校低学年で暗唱することが課された詩に島崎藤村の「千曲川旅情の歌」があったので、多分「雨ニモマケズ」の方は小学生だったように思うんですけど、そのあたりの記憶はちょっと曖昧です。

当時の KiKi にとって賢治の言葉っていうのはかなり難しくて、それは彼が使っている方言に理由があったり、ちょっと古めかしい言葉であることに理由があったりもしたんだけど、要は彼の言葉で描写されているものの漠然とした雰囲気だけは伝わってくるものの、それが表現している事象そのものの輪郭がどこかぼやけている感じがして、言葉を読んでそこからクリアな映像が頭の中で描けるわけではない曖昧さ・・・・みたいなものに随分悩まされたものでした。

そういう意味では賢治の作品を「わかったつもりになっていた」年齢は中学校高学年ぐらい、ある意味で「感性」もまだまだ柔らかくてそれでいてどことはなしに「夢見がち」であることが許されていた年代だったように思います。  高校生になって大学受験だの進路だのという世界が身近になる頃にはどことなく・・・・ではあるんだけど「今は封印すべき作品を書いた作家」というイメージで捉えていたように思います。  

再び賢治を手に取ったのは大学生の頃だったんだけど、その頃は彼の童話集を KiKi は「童話」というよりは「詩」として鑑賞していたように思うんですよね。  そもそも一つ一つの作品のタイトルからして何気に詩的だと思うんですよ。

どんぐりと山ねこ
狼森(おいのもり)と笊森(ざるもり)、盗森(ぬすともり)
注文の多い料理店
からすの北斗七星
水仙月の四日
山男の四月
かしわばやしの夜
月夜のでんしんばしら
鹿踊(ししおど)のはじまり

単に単語を並べて「と」とか「の」という接続詞で繋いだだけのように見えなくもないタイトルなんだけど、何か読む者に期待させるものがプンプンまとわりついているような感じがすると思うんですよね~。  

そして物語の中で出てくる擬態語が素晴らしい!!  これって音の洪水が溢れている都市部では絶対に出て来ない擬態語だと思うんですよ。  青空や夕焼け空の中を突き抜けるように響く鳥の声、すべての音を吸い込んでしまったような深い雪の中、枯葉の舞う音だけが響き渡る林の中、そんな環境に身をおいた時に初めて「そうそう、これしかない!!」と思わせるような擬態語ばかりだと感じます。

と同時に、これらの物語はひょっとしたら農耕民族だらけだった時代の日本へのある種のオマージュなのかもしれない・・・・・とも感じられるんですよね。  

1つだけはっきりしていることは、社会人になってから東京のマンションで読んだこの短編集とここLothlórien_山小舎で読んだこの短編集とでは描かれている世界への共感度が大きく異なるということです。  今、このエントリーを書いている KiKi の目の前の窓では山のモミジの大木が風に揺られてさわさわとリズミカルな音を奏でているんだけど、こういう音をBGMにこの短編を読んだ時の方が東京のマンションで美しい夜景を眺めながらこの物語を読むよりもいっそう、かれの選んだ一つ一つの言葉の音・リズムに説得力のようなものを感じます。  相も変わらずどこかしら彼の描く事象は輪郭がぼや~っとしていたりはするんですけどね(苦笑)


最後に、恒例の宮崎さんの推薦文を転載しておきます。

この人の作品はすべてたからものです。  あわてて読んではいけません。  ゆっくり、なんども読んで、声を出して読んで、それから心に響いてくるものや、届いてくるものに耳をすませて、場面を空想して、何日もたってからまた読んで、何年もなってからも読んで、判らないのにどうして涙が出てくるのだろうと思い、ある時はなんだか見えてきたような気がして、とたん、スウッときえていくのです。  そういう美しいものがあることを教えてくれるのです。


うんうん、この推薦文は名文だと思います。  

トラックバック(0)

トラックバックURL: http://poco-a-poco.chu.jp/mt/mt-tb.cgi/1338

コメントする

2015年2月

1 2 3 4 5 6 7
8 9 10 11 12 13 14
15 16 17 18 19 20 21
22 23 24 25 26 27 28

Current Moon

CURRENT MOON

東京のお天気


山小舎のお天気


Booklog



ブクログ

アーカイブ

ウェブページ

Powered by Movable Type 4.261

TrackbackPeople

クラシック・ピープルの Trackback People Site


チェロ ラヴァーズの Trackback People Site


Piano~ぴあの Trackback People Site


ピアノオススメ教本の Trackback People Site


ピアノ教室の Trackback People Site


Book Love Peopleの Trackback People Site


本好きPeople・ぴーぷるの Trackback People Site


今日読んだ本の Trackback People Site


ファンタジーが好き♪の Trackback People Site


この絵本がすごい!の Tackback People Site


児童書大好き♪の Trackback People Site


ハヤカワepi文庫の Trackback People Site


岩波少年文庫応援団の Trackback People Site


薪ストーブの Trackback People Site


週末は田舎暮らしの Trackback People Site


野菜育てPeopleの Trackback People Site


ガーデニングの Trackback People Site


パッチワークキルトの Trackback People Site


あなたの訪問は?


日めくりカレンダー


Real Time News


カテゴリ

ノルンはいくつ?

本が好き!


読書メーター

KiKiさんの読書メーター
KiKiさんの読書メーター

最近読んだ本

KiKiの最近読んだ本

今読んでいる本

KiKiの今読んでる本

読了目標





今やってるゲーム

KiKiの今やってるゲーム

このブログ記事について

このページは、KiKi (Brunnhilde)が2012年10月13日 23:38に書いたブログ記事です。

ひとつ前のブログ記事は「トム・ソーヤーの冒険(上)(下) M.トウェイン」です。

次のブログ記事は「田焼き」です。

最近のコンテンツはインデックスページで見られます。過去に書かれたものはアーカイブのページで見られます。

高速運賃





Edita

ブロガー(ブログ)交流空間 エディタコミュニティ

名言黒板


作家別タグ