1973年のピンボール 村上春樹

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「ノルウェイの森」である種のショックを受け、ちょっと若かりし頃の自分の感性を再確認したくなって手に取ってみた「風の歌を聴け」で自分の変化に戸惑い、そしてもうちょっと「自分」を確認してみたくなって読み進めてみたのがこの作品です。

1973年のピンボール
著:村上春樹  講談社文庫

217G08QD70L._SX230_.jpg  (Amazon)

さようなら、3フリッパーのスペースシップ。  さようなら、ジェイズ・バー。  双子の姉妹との「僕」の日々。  女の温もりに沈む「鼠」の渇き。  やがて来る一つの季節の終り ― デビュー作『風の歌を聴け』で爽やかに80年代の文学を拓いた旗手が、ほろ苦い青春を描く三部作のうち、大いなる予感に満ちた第二弾。  (文庫本裏表紙より転載)

前作の「風の歌を聴け」が物語と呼ぶよりはかなり散文詩的だったのに対し、かなり物語的に変貌しているのがこの第2作です。  でも扱っている空気・・・・というか風潮みたいなものはどちらも共通していると思います。  自分固有の世界観(ものさし)が世の中の趨勢からしてみるとあまりにも「取るに足らないもの」であることに苛立ち、反面そのような独自のスタイルを持たなくても生きてしまえることのできる「生」をイージーなものと捉えるある種の絶望、でもそんなものは「生」とは呼べないんじゃないかと疑問を抱き続けざるを得ない消すことのできない違和感。  そんなものが「春樹節」とでも呼ぶべき一種独特の筆致で描かれた物語だと思います。

この2作目を再読してみてようやく、前作の Review でも書いた KiKi の感想

初めて村上作品に出会ったのは KiKi 自身が「まだナニモノにもなっていなかった時代」だったし、「ひとかどのモンにはなれそうにないことを骨身にしみて自覚し始めていた時代」だったし、「KiKi とはまったく関わりのないところで世の中は動いていると否応なく思い知らされていた時代」だったから、その虚無感みたいなものにストレートに感電することができたように思うんですよね。

が正しい認識だったことを確認できたように思います。  ある意味で80年代って、そしてその時代に「モラトリアム」していられた世代にとっては特に、イージーな時代だったと思うんですよね。  景気は良かったし、物には不自由していなかったし、就職だって売り手市場(除く女子大生)だったし・・・・・。  そんな中で浮かれていてもそこそこ生きていけちゃったりもしたわけだけど、心ある者は胸の中のどこかで

「世の中、そんなに甘いもんじゃないんじゃないか??」

という燻るような懐疑心を抱いていたように思います。  ただ、その懐疑心は深まりも長続きもしなかった・・・・・そんな時代だったように思うんですよね~。  (それともこれは KiKi だけだったのかなぁ??)


それはさておき、今の若い世代の方はこの物語のタイトルにもなり、ついでになかなか意味ある小物として扱われている「ピンボール・マシーン」なんて、とんとお目にかかったこともなかったりするだろうから、ご紹介しておきましょうね。

180px-Addams_family_pinball.jpg         

こ~んなマシンで、70年代~80年代の初頭にかけてはゲームセンターやらアメリカ風を気取るようなカフェ、バーなんかでたま~に見かけるシロモノでした。  KiKi なんかにとってはこういった「ピンボール・マシーン」は実物を見るというよりは、アメリカ映画に登場するバー(それもどこか場末っぽい香りの漂うバー)には必ず置いてあったゲーム機という印象の方が強いんですけどね。

実際に KiKi が実物を見たのは外人が多い六本木とか横浜・横須賀エリアのバーがほとんどだったし・・・・・。  そういう意味では小説のタイトルに「ピンボール」な~んていう言葉が出てくるだけで、どこか「アメリカナイズされた」空気を感じたものでした。  そして学生時代の KiKi は半端じゃなくアメリカに憧れていたし・・・・・・ ^^;


ここまで何作か、村上作品を読んできてふと思ったことに

村上春樹の小説の中の主人公(もしくはそれをとりまく人物)のセリフって、どこかツィートと通じるものがあるなぁ

ということがあります。  どことなく短い言葉、しかも言いっぱなし(つぶやきっぱなし)、会話として成立しているような成立していないような・・・・・・。  ひょっとしたら現在「ツィッター」なるものが流行っている背景には氏の小説の影響もなきにしもあらずなんじゃないか・・・・・。  そんなことを感じました。

と、同時にツィートという行為とどうにもこうにも相性がよくない今の KiKi と村上作品はもはや相性がよくないのかもしれない・・・・・・  そんなことを感じました。


さて、立て続けに村上作品を読んできて、まだまだ「積読状態」の村上本は山とあるんですけど、正直なところ、ちょっと辟易としてきたのも否めません。  ここいらでお口直しに・・・・・ということで、次の読書は「カズオ・イシグロ作品」にいってみたいと思っています。 

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このページは、KiKi (Brunnhilde)が2012年11月16日 09:49に書いたブログ記事です。

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