モーツァルト 弦楽四重奏曲第23番 K. 590

| コメント(0) | トラックバック(0)

いよいよモーツァルトのカルテットも最終曲となってしまいました。  本日の KiKi のBGMはこちらです。

モーツァルト 弦楽四重奏曲第23番 K. 590
ASIN: B0002Z83NO  ズスケ・カルテット

Mozart_SusukeQ.jpgのサムネール画像  (Amazon)

注文主からは6曲のセットものを依頼されていたにも関わらず、3曲で筆を折ることになってしまったモーツァルト。  もちろんそこにはモーツァルトの短い生涯という生命のタイムリミットがあったということも大きな要因だけど、この曲を聴いてみるとそれ以上にモーツァルトはもうこれで「書き尽くした」というある種の達成感と同時に諦念に支配され、もうこれ以上は書けなかったのではないか?  そんな気がしてきます。

KiKi はこの曲を聴いていると、注文主のことを意識している「音楽職人モーツァルトの献呈作品」というよりは、「芸術家モーツァルトの心情告白」という気がして仕方ないんですよね。  実際、この曲は注文主に献呈される前に出版社に売却しているという話をどこかで聞いたことがあります。  何でもプロシアの王様は案外金払いが悪かったらしい・・・・・ ^^;  注文が6曲だったのに対し3曲しかできあがっていないわけだから、「どの面下げて献呈できるか!」という部分もあったのかもしれないけれど、経済的困窮に陥っていたモーツァルトにとっては金払いも悪いし、時間もないし、もう「王様の注文」な~んていうのはどうでもいいことになってしまっていたのかもしれません。

確かにこの四重奏の作曲のきっかけはプロシア王からの注文があったからです。  でも第22番を書いている時点で注文主のことはそっちのけ(苦笑)で、どこか死期を覚悟をした人間の純粋な内面的な音楽しか書けなくなってしまっていたんじゃないかしら。  そしてこの第23番では彼の心情告白はさらに高みにまで登りつめ、人間の本質に迫るような音楽を書き残した・・・・・そんな感じがするんですよね。

まあ、これは後世の時代に生きる KiKi がこの後まもなくモーツァルトの命が尽きることを知っているから、ある意味勝手に解釈している部分もあるとは思うんだけど、「そう感じても仕方ないんじゃないか?」と思わせるに十分な透明感、緊張感、激しさ、口惜しさにあふれる音楽だと思います。

第1楽章: アレグロ・モデラート
ゆったりと上昇する音型と急速に下降する音型の対比に強弱比が印象的なスタートです。  そしてそのあとは軽快に音楽が進んで行くんだけど、途中からヴァイオリンとチェロの掛け合いが何とも心地よい音楽に変貌を遂げます。  モーツァルトらしい優しさにあふれたメロディの後、わずかな激しさを見せ、余韻を残しながら第1楽章は終わります。

第2楽章: アンダンテ
変奏曲風の音楽です。  4つの楽器が奏でる単純な和音の動きが、ふと気が付くと伴奏になり、そこに乗っかって変奏が繰り返されていきます。  どことなく瞑想しているような、思い出にふけっているような趣の音楽です。  ゆったりした音の流れに身を任せていると、次第に胸がしめつけられるような気分になってきて、深くて静かな感動を覚えます。

第3楽章: メヌエット、アレグレット
メヌエットというのはどこか優雅さのある舞曲・・・・のはずなんだけど、このメヌエットは後世スケルツォに分化する片鱗を見せたメヌエットっていう感じがします。  モーツァルトの作品にしては珍しく、声高に、説得口調で自分の口惜しさを訴える・・・・そんな感じです。  出だしは普通のメヌエットを装っているんだけど、途中から感極まって・・・・・っていう感じ。  もちろんベートーヴェンほどの押しの強さはないし、何かを訴えかけてはふと我に返るみたいな逡巡がそこかしこに見られるんだけど、それでもこの楽章を聴いていると「痛み」みたいなものを感じずにはいられない音楽です。  この楽章ではチェロがすっかりなりをひそめちゃった感じがします。

第4楽章: アレグロ
ヴァイオリンが奏でたメロディをヴィオラが追いかける形でスタートします。  フェルマータの全員休符と美しい問いかけるようなフレーズの次にヴィオラのシンコペーションが出てくるんですけど、ここから暫くの間、張りつめた緊張感が曲を支配します。  そして、また冒頭の爽やかで軽快な気分に戻ります。  でもそれはさほど長続きせずに今度はヴァイオリン - チェロ - ヴァイオリン - ヴィオラ と引き継がれていく無窮動のメロディに追いまくられます。  激しさ、緊張感に翻弄されているうちに終曲。  モーツァルトの音楽にしてはかなり乱暴(?)に聴く者を放り出して終わっちゃうんですよね~。

モーツァルトの音楽ってどちらかというと終楽章で何かを言いっぱなしっていうことはなくて、最後の最後に聴く者に咀嚼させる余地を与える優しさみたいなものを感じることが多いんだけど、ことこの曲に関してはどこか「言いたいだけ言わせてくれ! どうだ!」みたいなものを感じるんですよね。  そしてこの曲が彼のカルテットの最後を飾る曲となっているのは、「たままた訪れた死期」によるものではなく、「もう十分だ」というモーツァルトの内心の声のような気がするんですよね~。

さて、これでモーツァルトのカルテットの Review は終了です。  次のテーマをどうするか??  今はまだ決めかねているんですけど、今日から数日Lothlórien_山小舎を離れるのでその間にあれこれ考えてみたいと思っています。        

トラックバック(0)

トラックバックURL: http://poco-a-poco.chu.jp/mt/mt-tb.cgi/1363

コメントする

2015年2月

1 2 3 4 5 6 7
8 9 10 11 12 13 14
15 16 17 18 19 20 21
22 23 24 25 26 27 28

Current Moon

CURRENT MOON

東京のお天気


山小舎のお天気


Booklog



ブクログ

アーカイブ

ウェブページ

Powered by Movable Type 4.261

TrackbackPeople

クラシック・ピープルの Trackback People Site


チェロ ラヴァーズの Trackback People Site


Piano~ぴあの Trackback People Site


ピアノオススメ教本の Trackback People Site


ピアノ教室の Trackback People Site


Book Love Peopleの Trackback People Site


本好きPeople・ぴーぷるの Trackback People Site


今日読んだ本の Trackback People Site


ファンタジーが好き♪の Trackback People Site


この絵本がすごい!の Tackback People Site


児童書大好き♪の Trackback People Site


ハヤカワepi文庫の Trackback People Site


岩波少年文庫応援団の Trackback People Site


薪ストーブの Trackback People Site


週末は田舎暮らしの Trackback People Site


野菜育てPeopleの Trackback People Site


ガーデニングの Trackback People Site


パッチワークキルトの Trackback People Site


あなたの訪問は?


日めくりカレンダー


Real Time News


カテゴリ

ノルンはいくつ?

本が好き!


読書メーター

KiKiさんの読書メーター
KiKiさんの読書メーター

最近読んだ本

KiKiの最近読んだ本

今読んでいる本

KiKiの今読んでる本

読了目標





今やってるゲーム

KiKiの今やってるゲーム

このブログ記事について

このページは、KiKi (Brunnhilde)が2012年11月 8日 10:52に書いたブログ記事です。

ひとつ前のブログ記事は「白狐魔記1 源平の嵐 斉藤洋」です。

次のブログ記事は「ノルウェイの森 (上)(下) 村上春樹」です。

最近のコンテンツはインデックスページで見られます。過去に書かれたものはアーカイブのページで見られます。

高速運賃





Edita

ブロガー(ブログ)交流空間 エディタコミュニティ

名言黒板


作家別タグ