シューマン 森の情景 Op. 82

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最近のクラシック音楽関連エントリーは、ず~っとモーツァルトのカルテットだったんですけど、今読み進めている村上春樹さんの「ねじまき鳥クロニクル」に触発され、今日はこんな曲を聴いてみました。

シューマン 森の情景 Op. 82
ASIN: B00005S0G3  演奏:シプリアン・カツァリス(pf)

41TA71K7TQL._SL500_AA300_.jpg  (Amazon)


「森の情景」、「森」、と言えば、我がLothlórien_山小舎はまさに森のすぐ脇にある山小舎なんですよね~。  で、音楽のお話に触れる前に本日現在の我が窓から見える「目の前の森の情景」をまずはご紹介しておきたいと思いますね。(笑)

2012_Nov02_001.JPG

KiKi がPCの前に坐り、PCが置いてあるテーブル越しにその向こうの窓を眺めると、今まさにこんな風景(↑)が広がっています。  目と鼻の先に日々色づいていくモミジを眺めるっていうのはなかなか乙なモンなんですけど、最近ではこれが「当たり前」となりつつある KiKi です ^^;  ここに山小舎を構えた初年度には「ワォ~!!」と歓声をあげたんですけどねぇ・・・・。

2012_Nov02_003.JPG

さすがに座ったまま & ガラス窓越しというのはいかにも横着のし過ぎだよなぁ・・・・・とばかりに窓を開けて、今一番美しいと思われる部分を撮影したのがこちら(↑)です。  数日前まではまだまだ緑色部分が多かったんですけど(そしてまだまだこの木の下の方の葉っぱはそんな緑色がチラチラしているんですけど)、着々とお色直しが進んでいます。


さて、今日ご紹介しているCDは実は KiKi が持っているものとはジャケットが異なるんですけど、まあテルデックのCDで録音年代も演奏者も同じだから、現在市販されているものはこちらなんだろうと判断してこのブログにも載せています。  このCDにはOp.82 の「森の情景」だけではなく、Op. 15 の「子供情景」、そして Op. 124 の「音楽帳」というシューマンの比較的小規模なピアノ組曲3つがカップリングされています。

個人的に、KiKi は「子供の情景」に関してはホロヴィッツ盤の方が好きなんですけど、ことこの「森の情景」に関してはこのカツァリス盤がベストな選択だと思っています。 



      

シューマンのよく知られているピアノ曲の多くは、彼の妻にして当代随一といってもいいようなピアニストでもあったクララ・ヴィークと結婚する前、20代に書かれたものです。  そんな中で、この「森の情景」は、歌曲や室内楽を次々と生み出した時期を経た後、ピアノ作品としては実に10年ぶりに作曲されました。

各曲にはロマン派の詩人たちが描いた「森」をモチーフにした詩を添える予定だったのだそうです。  ところが出版に際しては、第4曲の「気味の悪い場所」にフリードリヒ・ヘッベルの詩が添えられているのみです。  その詩がちょっと・・・・と言うか、かなり異様な雰囲気なんですよね~。

そんなに高く伸びた花も ここでは死のように青白い。
真ん中の一本の花だけが くすんだ赤い色で咲いている。
その色は太陽から得たものではない。
それは太陽の光さえ受けたことがない。
その色は大地からのもの。
その色は人間の血を吸い込んだものなのだ。

というものなんだけど、妖しく美しく、うら寂しいいっていう感じがプンプンしてきませんか??  すでに精神病がシューマンを悩ませていた時期に書かれた作品ということもあって、簡素な中にも奇怪な幻想が見え隠れするような気がします。  若い頃のピアノ作品と比べると、ロマンティックで憧れに満ちた楽想のように見えなくもないんだけど、何とも言えない暗い感情が潜んでいて時にそれが病的にまとわりつく・・・・そんな気がします。

第1曲: 森の入り口
シューマンのピアノ曲は「組曲」という形をとっているものが多いんだけど、多くの場合冒頭の第1曲はその組曲全体を特徴づける音楽が置かれています。  この曲も例外ではなく、スタートは牧歌的というかメルヘンチックというか、お子ちゃま向けグリム童話的というか・・・・・。  ほのかに薄暗い、でもまだまだ日が射している森の入り口っていう感じでしょうか??  安心して聴いていられる1曲だと思います。

第2曲: 待ち伏せする狩人
いかにもシューマンらしい怪奇と幻想に満ちた音楽です。  森の入り口が穏やかだったのに一転して激しさが全曲を貫きます。  聴いていると待ち伏せというよりはすばしっこい獣を追い回しているように聞こえないでもない・・・・・ ^^;

第3曲: 寂しい花
可憐な小品っていう感じの音楽です。  子供向けの練習曲(ブルグミューラーとか)にありがちなシンプルで美しい楽想の音楽だと思います。  雰囲気としては背丈が高く葉の数がさほど多くない木の根元にひっそりと佇むように咲いている小花っていう感じでしょうか??

第4曲: 気味の悪い場所
詩の内容そのままに、不気味な雰囲気を持つ曲になっています。  その雰囲気は、休符を活かしたリズム、メロディー、多声的な書法等々から導き出されていると思うんですよね。  イメージとしてはよろめきながら徘徊している亡者っていう感じでしょうか??  いずれにしろ死臭が漂ってくるような、何かがうごめいているような、そんな曲です。

第5曲: なつかしい風景
前曲とはうって変わって、可愛らしくのびやかで明るく、そして簡潔な音楽。  気味の悪い場所を通って寒々とした気分を味わったら反射的に明るいことを考えずにはいられなかった・・・・そんな感じでしょうか??

第6曲: 宿屋
どうやらこの森は案外(ドイツの森だから案外ということはないか? 苦笑)深いらしい・・・・。  ほっと一息できる宿屋に到着でやれやれっていう感じ。  この宿屋で主人となのか他の狩人となのかはわからないけれど、会話をしている・・・・・そんな雰囲気の音楽です。

第7曲: 予言の鳥
単独でリサイタルのアンコールなどにも取り上げられる、いかにもシューマンらしい、少し不気味な幻想と怪奇が巧みに表現された音楽です。  「ねじまき鳥クロニクル」の第2部の副題にも用いられました。  「予言の鳥」というのがどんな鳥なのか、ドイツ文学の中でどんな位置づけにあるのかは残念ながら KiKi はよく知らないんだけど、何かの本か楽譜の注釈だったかで、「森に住む夜鶯の鳴き声だともいわれているが、それよりも、この世のものでない、神秘の領域に属する得体の知れない鳥の鳴き声ともいわれる」というような解説を読んだことがあります。  曲の半ばで何の前触れもなくホモフォニックなコラール風の短い音楽が挿入され、それが又ふっと消えて冒頭の音楽が戻ってきます。  このムラッ気も聴き様によってはどこか病的です。

第8曲: 狩りの歌
前曲で何が予言されたのかさっぱりわからないまま、普通に、イメージ通りに、健全に(?)狩りが始まります。  でも前曲のイメージが耳に残っているからなのか、それとも何かあるのかは釈然としないのですが、どこか寂しげな影がよぎるように聞こえます。  角笛が吹き鳴らされ、勇壮なんですけどねぇ・・・・。

第9曲: 別れ
どこかシューベルトを思わせるような、あるいはメンデルスゾーンの「無言歌」を思わせるような1曲です。  順次進行と跳躍進行とを交互に織りあわせたメロディーに、和音が添えられただけというような雰囲気のシンプルなつくりの音楽です。  シンプルなんだけど、どこか予測不可能なところがある・・・・・そんな気がするんですよね~。  フレーズとして素直に繋がって行かないというか、繋がりそうでするっとかわされているような雰囲気があると思うんですよね。

この曲、タイトルこそ「森の情景」だし、グリム童話に出てくるドイツの森の雰囲気はビンビンなんだけど、個人的には「森」というよりは「人の心情」を描いている音楽に聴こえるし、演奏者の心情も正確に反映する音楽のように感じられます。  そして、その演奏者の心情がそのまま聴く者に伝播するような音楽でもあるんじゃないかな・・・・と。          

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コメント(2)

こんにちは。
子供のころ、エッシェンバッハの録音で聴いたときには
「なんだかよくわからない曲だなあ」という印象で
「子供の情景」のほうが好きだったのですが、
最近やっと少ない音で深遠な世界を描いた
魅力的な音楽であることがわかってきたような気がします。

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このページは、KiKi (Brunnhilde)が2012年11月 2日 10:31に書いたブログ記事です。

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