白狐魔記5 天草の霧 斉藤洋

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すっかりお気に入りとなった「白狐魔記シリーズ」も5冊目となりました。  調べてみると既刊は6巻みたいなんだけど、生憎吾妻郡図書館には5冊しか収蔵されていません。  購入していただくために第6巻の予約申し込みをしてきました。

白狐魔記5 天草の霧
著:斉藤洋  偕成社

51PfLJ83rpL._SL500_AA300_.jpg  (Amazon)

白駒山の仙人の弟子となり、修行ののち、人間に化けることができるようになった狐、白狐魔丸の人間探究の物語。  江戸に幕府がひらかれ30余年。  九州島原で、飢饉や重税、そして信仰の弾圧に苦しむ農民が一斉蜂起した。  一揆の大将は不思議な術と眼力をもつ若者。  名を天草四郎時貞という。  (単行本扉より転載)

この物語、「人間に化けることができるようになった狐、白狐魔丸の人間探究の物語」となっているけれど、とどのつまり白狐魔丸の人間探究っていうのは、「人はなぜ争わずにはいられないか?」という問いかけだったんですねぇ。  もちろん時代が時代だから戦(いくさ)と無縁の話にはなりえないわけだけど、「武士は嫌い」「人が死ぬのは見たくない」と言いつつも、結局のところ戦場に身を置くことになる白狐魔丸が見ているものは戦場とか戦そのものと言うよりは「人は何のために戦うのか?」というバックグラウンドのような気がします。

第1巻の源平合戦では「兄弟の争い」と「主君のために命を投げ出す家臣の姿」を、第2巻の元寇では権力の座にあるはずの「北条家の内紛」と「海外からの侵略に対峙する幕府」を、第3巻では「幕府と朝廷の覇権争い」を、第4巻では「一向一揆」という武士ではない人たちの争いを、そしてこの第5巻の「島原の乱」では「外来の宗教とそこに絡む西欧列強の思惑」やら「信仰のための戦い(と言いつつも実は飢饉と重税に喘ぐ一般の人の反乱)」を、それぞれ描いています。

「島原の乱」というやつは、KiKi の思い込みの世界では「キリスト教徒への江戸幕府の弾圧」というイメージが強かったんだけど、実はこの反乱で担ぎ上げられた大将が「天草四郎」だったことと、最後まで抵抗した人たちがクリスチャンであったことを除けばどちらかと言えば「市民革命的な事件」という側面もあったことを今回の読書で再認識しました。  もちろん時代背景として「宗教弾圧」の空気がなかったわけではないにしろ、白狐魔丸と一緒にKiKi 自身も「人は何のために戦うのか?」について、改めて考え直してみる1つのきっかけになったように思います。    

今作で嬉しかったことの第一は、360年というなが~い年月を経てようやく白狐魔丸のお師匠様である白駒山の仙人がご帰還されたこと。  そして第二は白狐魔丸の成長を認めた仙人様が新たに「白狐大仙(びゃっこだいせん)」という大層なお名前を授けてくださったこと。  そして第三は晴れて白狐魔丸に「押しかけ弟子」(笑)ができたことでした。

久々のご登場の仙人様は相も変わらずのマイペースで、白狐魔丸とのやりとりなんぞはおよそ「ボケとツッコミのやりとり」といった風情です。  で、仙人様のご帰還と共に雅姫(つねひめ)の出番がなくなってしまうのか?といえばさにあらず、やっぱり色気も必要(?)ということで、今回も雅姫は歴史上のキーパーソンのお側近くに侍っておられました(笑)

かなりびっくりしたのが「宮本武蔵」の登場で、日本人の、それも特に日本男児にはファンも多い武蔵さんを白狐魔丸が体憑依して操っちゃうな~んていうプロットには意表をつかれました。  著者である斉藤さんはこのテのヒーローはあんまりお好きじゃないのかしら??

天草四郎の描き方に関しては、KiKi にはとても説得力のある描写だと感じられました。  もちろんホンモノの天草四郎時貞がどんな人物だったのか?に関しては、少なくとも KiKi が知る限りでは「よくわかっていない」というのが現時点での定説なんだろうと思うけれど、少年の身で反乱のシンボルに祀り上げられるあたりからしても、どこか「フツーじゃなかった」ことだけは確かなんだろうと思うんですよね。  そういう意味では「狂信的」と言ってもおかしくないような言動をとってもそれはそれで説得力があるんじゃないのかなぁ・・・・と。  実はこの物語の天草四郎の描写を読んでいる時、KiKi は以前読んだ岩波少年文庫の「ジーンズの少年十字軍」で描かれていた羊飼いニコラースのことを思い出していました。

ただ、天草四郎の最期の場面でキリストと同じ「エリ、エリ、ラマ、サバクタニ(主よ、主よ、なぜ私をお見捨てになったのですか?)」というセリフを吐かせたのはちょっと悪ノリしすぎのような気がしないでもなかったけれど・・・・・・。  

さて、次作は「元禄の雪」ということなので忠臣蔵がらみの物語になりそうです。  図書館から入荷の連絡があるのが今から待ち遠しいです。

  

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このページは、KiKi (Brunnhilde)が2012年11月21日 11:36に書いたブログ記事です。

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