今だから言えること・・・・・

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先日、夕食の際、何気なく見ていたTVで東京電力さんの内部改革の様子を伝える、報道番組が放映されていました。  多くの若手社員がこの不景気の中退職していくという実態や、残った中堅社員の皆さんがまるで「全ての責任は自分たちにある」とでも言わんばかりに反省し、あの事故を防ぐことができなかった企業体質(?)の問題点を洗い出す努力をされている姿が映し出されていました。

あの福島原発の事故は本質的には「あってはならない事故」だったと KiKi も思っています。  でもともすると世間がよってたかって東京電力、ひいてはそこで働く社員の皆さんを糾弾しているかのごとくの印象を与えかねない番組作りに、正直なところ KiKi は違和感を感じずにはいられませんでした。

これは日本人特有の「判官贔屓」みたいな感情から・・・・・ということではなく、長年複数の大きな組織の中で「業務改善プロジェクト」、「危機管理プロジェクト」、「BCPプラン作成プロジェクト」なるものを仕切ってきた立場からすると、「あの悲劇的な事故が起きてしまった今だから言えること」が論調のベースにあるような気がして、正直なところ「じゃあ、あなただったら何ができたのよ??」と言いたい気分がムラムラと湧き上がってきちゃったんですよね~。

もちろん KiKi は「東京電力も被害者だ」な~んていうことを言うつもりはないし、特にあの原発事故以来故郷を離れざるを得なくなってしまった方々、営々と積み上げてきた事業基盤・家庭基盤を失ってしまった方々のことを考えると、胸が痛むのと同時に怒りさえこみあげてきます。  実際問題として福島から遠く(? でもないかもしれないけれど)離れた我が高山村だって放射能汚染とは無縁じゃないし、そういう意味では農業を基幹産業としているこの村の農家の皆さんのご苦労だって半端なものじゃないことも目の当たりにしています。  

そんな折々に、「どうしてあの事故が防げなかったのか??」という想いは大方の日本人と同じように共通して持っていると自負しています。  でも、「効率・利益ばかりを重視し、安全対策が疎かだった」というまとめ方はいかがなものかなぁ・・・・・と。  もちろん、東電ほどの企業であればその傾向は強かったかもしれません。  でも、落ちこぼれながらも会計人だった KiKi にしてみれば、企業が効率や利益を追求するのはある意味で当たり前のことだし、それを否定してしまったら現在の資本主義経済自体が成り立たなくなってしまいます。

昔の日本人のように貧しくてもいいと国民全員が合意しているならいざ知らず、ましてや多くのものを輸入に頼っている現在の日本で資本主義経済そのものを否定するのはそれこそ感情に流され過ぎた議論だと感じずにはいられません。


KiKi の経験からするとリスク管理というやつはとかくお金がかかります。  もちろん、「お金がかかるからやらなくていい」というほどの暴論を吐くつもりはないのですが、多くの場合、それは「死に金」となることが多い(要するに何も生み出さない)お金となってしまうという宿命を持っています。  つまりは「赤字になってまでしてやることはない」とカテゴライズされてしまう運命を本質的に持っているものです。

世の中には「赤字になってでもしなければならないこと」というのがあるのは事実ですが、すべての会社が想定されるリスクの全てに何らかの対策をとったとしたら世の中赤字の会社だらけとなってしまうのも又事実で、そんなことを要求するのは現実的ではありません。  結果的にどこの会社も「リスク管理」を考える際には「何としてでもやらなければならない対策か否か」を決めるにあたり「発生頻度」とか「発生した場合の被害の重要度」を1つの物差しに、別の物差しとして「今、その対策をする経済的・人的・組織的余裕があるか?」という中で議論が行われます。

つまりは福島原発を襲った地震とそれに伴う津波はこの「発生頻度」の方で足切りされてしまった事態であり、先延ばしの対象となった対策ということになっていたことは容易に想定できます。  冷静に考えてみれば福島原発が作られてから40年近くの間にこれに類似した地震やら津波やら事故やらがあったというならいざ知らず、それが起きていなかったという事実以上に重い「発生頻度の推定条件」はなかったわけで、最悪の事態が想定されていなかったからと言って一概にそれを「悪の根源」みたいな論調で批判することはそれこそ「今だから言えること・・・・・」だと感じます。

と同時に、津波対策と言えば多くの人が「防潮堤を作る」というような時間もコストもかかるような対応策を考えがちで、「そんなコストをかけられない」という結論が導き出されるのはある意味、平時であれば当然とさえ言える結論だと KiKi なんかは思うわけです。  でもそれは見方を変えれば「防ぐ」ことばかりを考えているからそうなってしまうのであって、「避けようがなく起こってしまった場合に、最悪の時代を招かないために何ができるのか?」を考えたかどうかが大事なポイントになると思うんですよね。  

今回の番組でもある営業社員(?)の方が東京電力社内の業務改善プロジェクトの中で「防潮堤は無理としても、万が一大津波が起こった場合でも最低限電源が確保できるように、電源の場所をもっと高くしておくというような対応策はできなかったんでしょうか?」という質問をされていて、原子力部門の方(?)が「考えてもみなかった」というような回答をされていらしたのですが、KiKi が一番問題だと思ったのはこの「考えてもみなかった」という姿勢だと感じました。  そして、それもまたありがちなことだよなぁ・・・・・と。  まあ、電源を高い場所に設置してあればあの事故が防げたのかどうかという点に関しては現段階では定かじゃないんですけどね。

現在の私たちの生活(経済活動を含め)は電力を無視しては成り立たないほどまでに電力に依存しています。  その電力を供給している会社を感情論で糾弾していても仕方ないと KiKi なんかは思ってしまうのですよ。  もちろんあの原発事故で経済基盤や家庭基盤を失った方たちが補償を求めて東電に詰め寄るのは当然だと思います。  そんな方たちが助けが必要だと仰っているのなら、何ができるのかを考えるのはやぶさかではありません。  でも、そんな方たちに同調・気持ちを寄せているつもりになって、自分は何一つ失わず、今までと何1つ変わらない生活を続けながら、数を頼りに声を挙げることだけは慎みたいなぁと思ってしまうのです。

少なくとも KiKi はあの事故が起きるまで自分が依存している電力がどのように供給されていたのかに興味を持ったことはほとんどありませんでした。  その一点だけ取ってみても、KiKi には東京電力を批判する資格はないと思っています。  何かが起こりそれを傍観している人間が傍から見てあれこれ言うのは簡単です。  でも、その多くは「今だから言えること・・・・」「傍観者だから言えること・・・・」であることに人はもっと注意を払う必要があるように感じます。

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このページは、KiKi (Brunnhilde)が2012年12月15日 11:20に書いたブログ記事です。

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