小澤征爾さんと、音楽について話をする 村上春樹

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図書館に購入依頼を出してあったRDG最終巻が到着したという知らせを受けて借り出しに行った際に、ふと目に留まって一緒に借り出してきた本を読了しました。  こういう本が出版されていることは知っていたけれど、何とな~く敬遠していた本だったんですけどね(苦笑)

小澤征爾さんと、音楽について話をする
著:村上春樹(with 小澤征爾)  新潮社

41q-jhrRzsL._SL500_AA300_.jpg  (Amazon)

小説家はマエストロを聴き尽くす。  東京で、世界の様々な場所で、時間を忘れ自由に語り合った一年に及ぶ日々。  不世出の指揮者、その煌めく魂に触れる迫真のロング・インタビュー。  (単行本帯より転載)

この本が出版されていることを知りながら、ずっと敬遠していた理由。  それはまさに KiKi の天邪鬼ぶりが発揮された理由なんだけど、何となくビッグネーム2人を並べて「どうだ?」と言われているような気がしちゃってその商魂たくましさみたいなものに反発を覚えちゃった・・・・ということにありました。  偉大な音楽家たちの生き様にはかなり興味のある KiKi だし、そうであるからこそ同じ新潮社が出している小澤さんの文庫本「ボクの音楽武者修行」なんかはこれまでに何度も何度も読み返しているんだけど、そこに村上春樹氏が絡んできた途端に「え~、なんかなぁ・・・・・」と思っちゃった(苦笑)

もちろん氏の小説なんかを読んでいると、彼が結構な「クラシック音楽マニア」であることはそこかしこから察せられていたんだけど、それでもなんか嫌だったんですよね~。  ・・・と言うよりそうであればこそ尚みたいなところがあったんですよ。  それはね、この本の中の「インターリュード」の1番にある「レコード・マニアについて」というところで小澤氏が語っている言葉ともどこか通じるものがある感情だと思うんですよね。

小澤氏、曰く

あのね、こんなことを言うと差し障りがあるかもしれないけど、僕はもともとレコード・マニアみたいな人たちがあまり好きじゃなかったんです。  お金があって、立派な装置を持って、レコードをたくさん集めている人たち。  僕はその昔、お金なんてなかったんだけど、そういう人たちの所に行ったことがあります。  行くと、フルトヴェングラーだとか誰だとか、そういうレコードがずらっと揃っている。  でもね、そういう人たちってなにしろみんな忙しい人たちだから、家にいる暇なんてあまりなくて、ちょこっとしか音楽を聴いていないんです。  (本文より転載)

まあ、お金がなくて数少ないレコードをそれこそ擦り切れるまで聴いていた昔の KiKi ならいざ知らず、少なくともこんなブログ(と言ってもクラシック音楽関係カテゴリ限定だけど)を書くようになった今の KiKi 自身も世間的に言えば立派に「レコード・マニア(KiKi の場合は CD マニアか?)」と呼ばれるグループに入るんだろうし、人のことは言えない部分が多々あることは百も承知なんだけど、実は KiKi も長らく「レコード・マニア」みたいな人たちがあんまり好きではありませんでした。

KiKi が長らく「レコード・マニア」みたいな人たちが好きじゃなかったのには2つの理由があって、その1つ目は KiKi にはとうてい手が出せないようなものすご~く高価な音響機器の良し悪しを論じていたりするところです。  もちろんいい機械で様々な音が聞き取れる環境そのものは素晴らしいし羨ましいと思うけれど、それって何だか「一見さんお断り」的な「安っぽい音で満足している人はお呼びじゃない」的な空気みたいなものがあるように感じちゃっていたんですよね~。  もちろんそういうごく限られた恵まれた人たちが KiKi のような人のことを本当にそう思っていたかどうかは定かじゃなくて、半分以上は KiKi の側のひねくれ根性によるものだったことはわかっているんですよ。  まあ、要するに劣等感とか嫉妬とかの入り混じった負の感情剥き出しだったんです(苦笑)。

そして2つ目の理由はね、自分が楽器を演奏しない「レコード・マニア」の人たちの感想って言うのがどことなく「頭でっかち」というか「耳年増」的に感じられちゃったということが挙げられます。  もちろん楽器を演奏しない人が音楽を愛好しちゃいけないと思っているわけじゃないんだけど、妙に頭で理解しよう、分析しようとし過ぎちゃっているように感じられて「やれやれ(ため息)」と思うことが多々あったんですよね~。  

と同時に KiKi なんかは自分がピアノ演奏で試行錯誤やら苦悩やらをいやっていうほど味わってきているだけに、所謂「残念な演奏」に出会ってしまってもなかなか辛辣にはなれないというか、批判的なコメントを言うことができないところがあるんですよね~。  「好き」「嫌い」「私にはもっとこうして欲しかった」「何を表現したいのかよくわからなかった」とは言えても、それ以上の評論はできない気分になっちゃうんですよ。  そしてそういう評論以上に「この曲をここまでまとめるのはさぞや大変だったのね・・・・」みたいな気分がどうしても先に立ってしまうんですよね~。  

だからマニアの人たちの会話(面と向かってとは限らず)に加わっていると、何だか置いてけぼりを食らったような、自分まで酷評されているような気分になっちゃうところがあるんですよ。  「言いたいことばっか言って!」みたいな気分になることさえあるんです。  これって子供時代から発表会なんかで「残念な演奏」を浴びるほど聴いてきた影響もあるのかなぁ・・・・・。

そういう意味では、この対談集でも村上氏の発言の多くはやっぱり「頭で理解しようとしている」ように聞こえるし、対して小澤氏の発言はもっと感覚的で KiKi には分かりやすいというか、何というか・・・・・。  もちろん楽譜を勉強するという行為には多分に分析的な要素もあるんだけど、KiKi なんかの場合は頭というよりは流れとか間とかルバートのかけ方とか、バランスといったような感覚的な要素が大きいというか・・・・・・。  

多くのマニアの方が用いる曲の表現方法を例える難しい言葉もどこか苦手なんですよ。  KiKi の場合は、表現する側の立場になった具体的な表現になりがちで「○○な時に××をするように」とかそういう言葉で表すことが多くてねぇ。  だから、この対談で小澤氏が何かを伝える際に口ずさみながら言うのは逆にものすご~くよくわかる。  「た~ららら、ウィっと、ウィっと」な~んていう表現は、直感的に「ああ、なるほどね~。  『っと』の部分が大事なのよね。」みたいな感じで・・・・・。 

そういう意味では個人的には村上氏の Music Library を聴きながら二人が交わしているその演奏されている音楽に対する話ではなく、「カラヤン」と「バーンスタイン」にまつわる思い出話の部分や、小澤氏がスイスで毎夏行っている音楽セミナーのお話が個人的には読みごたえがありました。  もちろん音楽を聴きながら交わしている二人の会話も悪くはないんだけど、所詮その場で同じ音源を聴きながら自分も参加している会話ではないし、なんのかんの言っても村上氏の Library をベースに話が進んでいるから、結局「聴き方」みたいな部分は村上氏の主観が前面に出て、小澤氏がちょっとコメントしているのに過ぎないし・・・・・。

それにしても「世界のオザワ」を相手にこんな話ができるなんて、羨ましい限りです。  

  

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このページは、KiKi (Brunnhilde)が2012年12月27日 10:34に書いたブログ記事です。

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