敵は身内にあり

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初めてのデイ・サービスが失敗に終わった翌日、父が KiKi のところに来て語り始めました。


曰く、「昨日の所は何となく雑然としているし、プライベート空間がなさすぎる。」

曰く、「ちゃんと個室があって、談話室みたいな所がある場所がいい」

曰く、「あそこだと玄関からフラフラと出て行ってしまいそうで安心できない」

曰く、「シティ・ホテルぐらいの設備のある場所がいい」 etc. etc.


要するにお世話になる当事者である母もさることながら、その身内である父があの施設はどうにもこうにも気に入らなかった様子です。  父にしてみれば長年慈しんできた大切な母を預けるわけですから、その場所の環境や雰囲気に父の価値観をベースにした強い拘りがあるのは理解できます。  もちろん可能な限りそれは尊重してあげたいと思う気持ちが KiKi にもあります。

とは言うものの・・・・・です。  環境や雰囲気が父には気に入らないだろうなということは薄々分かっていたもののその施設で「お試し」してみようと思ったのには理由があります。  母の場合、今の状態は放っておかれることに対して著しい不安反応を示すんですよね。  

父はどちらかと言えば一人遊びが得意なタイプですが、母は一人遊びが苦手な人です。  さらに言えば今の母の状態はどこにいても誰といても、常にそこは見知らぬ場所、見知らぬ人で健常者である私たちには想像できないほど深い不安を抱えている様子が伺えます。  実際のところ、父は「老老介護」と言いつつも母の感情の起伏についていけなくなると、すぐに母とは別の部屋に避難し、1人読書に耽り始めてしまいます。  その間、母がヒステリックに文句を言い続けていても聞く耳を持ちません。  (← と言うより、聞こえていないと言った方が正確かもしれませんが ^^;)  で、その間、母が何をしているのかには殊更無関心を装います。

放置された母は不安に耐えかねて、家庭内徘徊を始め、結局 KiKi の側にへばりつきます。  こうして1日の大半の時間、KiKi は同じ話を繰り返し繰り返し聞かされ、それなりの返事(決して母の言うことは否定せず、時には嘘をつきながら母の不安感を増長させないよう細心の注意を払った返事)をし続けます。  これ、たまの1日とか1日に数時間だったら決して苦痛にはならないんですけど、毎日毎日、お布団の中にいる時間以外はず~っと続けられるとやっぱり精神的に消耗するんですよね~。

そんな母の状態をよく察してくださっているケアマネさんが、その施設を紹介してくださったのは、少なくとも今回「お試し」しようとした施設であれば、プライベート空間はない代わりに一人ぼっちになる時間が少ない施設だという理由がありました。  要するにスタッフさんの誰かが常に側にいて(その施設に預けられている要介護の人はどんなに多くても8人ぐらい)、それなりの対応をしてくださる施設だったのです。


孤独に強い父は「インフラ部分」に拘りが強く、認知症になる前の母なら父と同じように「インフラ部分」に対する拘りの方がより強かったと KiKi も理解しているのですが、今の母は「インフラ」よりも「ソフト」が大切な状態にあると KiKi には思われるのです。  事実、母は「我が家」にいてもそこが自分の家であることをもはや理解しておらず、誰も話し相手になっていない時間が続くと「家に帰る」と言い始めるのですが、誰かが話し相手をしている限りはそこですっかり落ち着いてしまうのです。

今の母はプライベート空間に1人取り残されると不安感を増長させ、精神的不安定さをこれ以上ないほど表面化させます。  (叫んだり泣いたりその他色々・・・・・)  こじゃれた施設では定期的な見回りやら時間を決めての何等かのイベントがある以外は、個室に取り残されることが多いというお話を聞いた KiKi とケアマネさんの共通の意見として、それよりは終日誰かと接していられる施設の方がいいのではないか?  そんな結論に落ち着いて選択した施設でした。

と同時にいわゆるお泊りの「ショート・ステイ」と日中預かっていただける「デイ・ケア」のそれぞれを単体で請け負ってくださる施設は数多いのですが、今回の施設は「延長お泊り付きデイ・ケア」を請け負ってくださる施設でした。  つまり「デイ・ケア」で日中は様々な活動(認知症を患う人向け)をしたうえで、場所を変えることなく泊まってくることができます。  あちらこちら連れ回されることにも不安感を募らせる母にとって場所を変えずにすむということは「インフラ部分」以上に大切なことです。  ここで言う「場所」には物理的な場所のみならず、そこにいる人が変わらないという意味も含んでいます。

でも、父にはそういう理屈はどうしても受け入れがたいみたいなんですよね~。  そしてもっと言うなら、父は母のことを認知症を患った病人としてではなく、正常だった頃の母と同じように扱おうとしてしまう癖がどうしても抜け切れません。

認知症を患う前の母は感情よりも理屈で納得して動くタイプの人間だったので、父はとかく母を説得にかかろうとします。  これに加えて、元教師という職業柄からか、話が長い。  今では長々とした話を聞かされると聞いている先から忘れてしまう母にとって、これは混乱を呼び起こし、ますます不安感を募らせる結果を生むのですが、そんな母の様子を毎日見ていても、父にはそれが自分の話し方・接し方に原因があることを分かろうとしません。

う~ん、悩ましい。  父は父なりに努力も我慢もしていることはわかるだけに、あまりきついことは言えないし、かと言って言わなきゃわからない(というより言ってもわからないというのにかなり実態は近いのですが ^^;)し・・・・・。  「敵は身内にあり」と言う言葉が身に沁みる今日この頃です。       

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コメント(2)

 お邪魔します。色々と大変だったご様子。kikiさんの介護生活は始まったところなんですね。

 私の場合は、不幸中の幸い、といったところだったでしょうか。(実は完全に過去形で語れない事情もあるのですが・・・)

 私、母と同居の期間は、相当に疲労しましたし、今でも何だか燃えつき症候群みたいなところが残ってはおりますが、それでも、私よりもはるかにひどい状況に陥っている人は多いと思います。母はもともと大人しい方の人で、症状もそれほどひどくなかったようで、粗暴な振る舞いもありませんでした。家に一人でいても平気だったようです。

 もちろんデイ・サービスも利用しました。お風呂はすべて施設で入れてもらいました。私は入浴介助は一度もしたことがありません。最初の頃は、進んで出かけて行ったのですが、症状が進むにつれてわがままを言うようになり、迎えの車が来ているのに行かないと言うことも出てきました。そこで、朝ヘルパーさんに出かける準備を手伝ってもらうようにしましたら、それ以降は速やかに出かけられるようになりました。身内にはわがままを言うとのことですが、うちの場合もまさにそうでした。

 それでは今日はこのあたりで。何とぞお体をお大事に。息抜き、手抜きは悪くありません。 

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このページは、KiKi (Brunnhilde)が2013年2月23日 10:30に書いたブログ記事です。

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