水滸伝 15. 折戟の章  北方謙三

| コメント(0) | トラックバック(0)

北方水滸第15巻の2周目です。

水滸伝 15. 折戟の章
著:北方謙三  集英社文庫

51pXoFyUWhL._SL500_AA300_.jpg  (Amazon)

どの寨が崩れても、梁山泊は潰滅する。  極限状況の中、各寨は必死の防戦をしていた。  特に激しい攻撃に晒された流花寨は、花栄らが死を覚悟して闘い続ける。  しかし、官の水軍の進攻が始まり、それも限界が近づいていた。  一方、宣賛は起死回生の策を考え出す。  密かに李応や索超、扈三娘を北京大名府に急行させた。  梁山泊の命運を握る作戦が今、静かに始まる。  北方水滸、危局の十五巻。  (文庫本裏表紙より転載)

昨日のブログ・エントリーでもお話していたように、ちょっと色々あって読了日から日にちが経っての Review となってしまいました。  そのためこの巻のお話がどんなお話だったのかはちょっとうろ覚え状態に陥りつつある中でこの Review を書いています。  まずは恒例の各章のサブタイトルとその星が表す豪傑の名前の列挙からです。

天英の星: 小李広・花栄
地煞の星: 鎮三山・黄信
地遂の星: 通臂猿・侯健
天損の星: 浪裏白跳・張順
地察の星: 青眼虎・李雲
地奇の星: 聖水将・単廷珪

前巻から引き続き梁山泊は官軍と総力戦を繰り広げています。  ここまで「やる気的」にも「実力的」にも散々の描かれ方をしてきた官軍ですが、やっぱり正規軍には正規軍の強みがありました。  相変わらず「やる気的」には梁山泊軍の方に歩があるとは言え、物量的にも人材的にも豊富な補給を受けられるうえに、少なくとも上に立つ将軍たちの質がこれまでとは雲泥の差に変貌を遂げている官軍です。  しかもその官軍を裏方で支えている青蓮寺も力を増し、ついでに李富や聞煥章も経験値を積んでいます。  こうなってしまうといくら少数精鋭の英雄豪傑を抱え、一兵卒に至るまでの士気の高さに勝る梁山泊軍と言えども消耗戦に陥っていきます。


そんな消耗戦の必然・・・・・と言えば必然ではあるものの、今回の梁山泊 vs. 官軍の戦では戦死者の数が夥しい。  それらの死者たちの最期が美しければ美しいほど、壮絶であれば壮絶であるほど、根っこのところで死を美化することに抵抗を覚えずにはいられない KiKi はある種の恐ろしさみたいなものを感じる読書体験になりました。

何て言うか、次々と豪傑たちが倒れていく様を「さもありなん」と感じ、そこで「でも生き切ることができて良かったね」「こんな死は悲劇だしあなたの死ぬ姿なんて見たくはなかったけれど、悔いはないよね。」と受け入れてしまいそうになる自分を認識するたびに「いやいや、良くはないだろう、良くは・・・・・」と思うんですよね。

KiKi はね、ただ漠然と時を重ねるような生き方が嫌いな人間です。  そういう意味では「生き様」みたいなものに拘りが強いタイプであるといってもいいと自分では思っています。  と、同時に「死」というのは「生」の延長線上にある必然だとも思っていて、そういう意味では梁山泊の豪傑たちが「どうせ死ねば土に還る」とか「生き様とは死に様とほぼ同義」みたいなことを言ったり考えたりしている部分には頭では同意できる部分もあったりします。  それでも、この物語の中で豪傑たちが「志を持って意味ある戦いをしている。  その戦の中で死ぬのは本望」みたいなことを言うと心の中の何かが「いやいや、それは違うだろう」と囁き、どこか落ち着かない気分になるんですよね~。

KiKi は「人は誰もが何等かの役割をもって生まれてくる」と考えているタイプで、そういう意味では「志のために戦い、死ぬ」というのは「そういう役割」と割り切ってしまうこともできる考え方の1つだとは思うんだけど、それでもやっぱり「生死の判定を安易に下すこと」には抵抗を感じるのです。  本人が「ここで死ぬことができれば本望」と思うのはある意味個人の自由(?)だし、そうとでも思えなければ「無駄死に」以外のナニモノでもないとは思うけれど、少なくともそれを読者という立場で傍観しているだけの KiKi が「当たり前」と感じるのは間違っていると思わずにはいられません。  まして、「カッコいい」なんていう風に感じるのは論外です。

そういう意味では梁山泊と官軍、どちらの側であれこんな風に夥しい屍を累々と築くのはやっぱりどこか間違っているし(仮にそれが戦がなくても飢えやなにやで同じように屍が築かれるとしても)、早くこの戦に終止符を打ってほしいと願い続けて先を読み進めていた・・・・・そんな気がします。

結局この戦は宣賛によるかなりトリッキーな謀略によりとりあえず一段落。  でも、こんな手があるならもっと早くやって欲しかった・・・・・そう思わずにはいられませんでした。

さて、そんな中、やっぱりほっとできるのは「王進スクール遊学中」の楊令 & 張平のお話だったし、成長の跡著しい水軍預かり見習いの趙林のお話でした。  こんな戦の最中であっても生まれ出づる生命もあれば、成長中の生命もある・・・・・そんなそれこそ当たり前のお話に救われたような気分になったこと数知れず・・・・・。  その一方で戦でこそ命は落としそうもないようでも確実に生命の灯を燃やし尽くしつつある盧俊義の「私の死の使い道を考えてくれたら、ありがたいのだが」には胸を打たれました。  

盧俊義ほどのポジションにいる人間であればこそ生まれてくる「死の使い道」であることは百も承知だけど、そうであってもそれが考えようと思えば考えられる「死にざま」になる・・・・・それこそが本当の意味での「生き様とは死に様とほぼ同義」だよなぁと感じずにはいられませんでした。  さて、残すところあと4巻です。  

ところで・・・・・・やっぱりここまで人がどんどん死んでいくことに疲れてきちゃったのか、はたまたここ何日か読書が捗らなかったことによる停滞ムードのせいか、心なしか「北方水滸」の世界に飽きてきてしまったような気がする今日この頃です。  当初の予定では「北方水滸」の Review が終わったら「楊令伝」の2周目にそのまま突入しようと思っていたのですが、ここいらでちょっと一服するのもいいかもしれません。  一応、今のところ次の候補として「口語訳古事記」、「指輪物語」、「岩波少年文庫」の3つが有力候補なんだけど、どうしようかなぁ・・・・・。  そんなことを考えつつも第16巻へ進みます。

トラックバック(0)

トラックバックURL: http://poco-a-poco.chu.jp/mt/mt-tb.cgi/1488

コメントする

2015年2月

1 2 3 4 5 6 7
8 9 10 11 12 13 14
15 16 17 18 19 20 21
22 23 24 25 26 27 28

Current Moon

CURRENT MOON

東京のお天気


山小舎のお天気


Booklog



ブクログ

アーカイブ

ウェブページ

Powered by Movable Type 4.261

TrackbackPeople

クラシック・ピープルの Trackback People Site


チェロ ラヴァーズの Trackback People Site


Piano~ぴあの Trackback People Site


ピアノオススメ教本の Trackback People Site


ピアノ教室の Trackback People Site


Book Love Peopleの Trackback People Site


本好きPeople・ぴーぷるの Trackback People Site


今日読んだ本の Trackback People Site


ファンタジーが好き♪の Trackback People Site


この絵本がすごい!の Tackback People Site


児童書大好き♪の Trackback People Site


ハヤカワepi文庫の Trackback People Site


岩波少年文庫応援団の Trackback People Site


薪ストーブの Trackback People Site


週末は田舎暮らしの Trackback People Site


野菜育てPeopleの Trackback People Site


ガーデニングの Trackback People Site


パッチワークキルトの Trackback People Site


あなたの訪問は?


日めくりカレンダー


Real Time News


カテゴリ

ノルンはいくつ?

本が好き!


読書メーター

KiKiさんの読書メーター
KiKiさんの読書メーター

最近読んだ本

KiKiの最近読んだ本

今読んでいる本

KiKiの今読んでる本

読了目標





今やってるゲーム

KiKiの今やってるゲーム

このブログ記事について

このページは、KiKi (Brunnhilde)が2013年8月23日 11:04に書いたブログ記事です。

ひとつ前のブログ記事は「ダーリンの退院 & チクチク作業経過」です。

次のブログ記事は「本日、5段目繋ぎ中」です。

最近のコンテンツはインデックスページで見られます。過去に書かれたものはアーカイブのページで見られます。

高速運賃





Edita

ブロガー(ブログ)交流空間 エディタコミュニティ

名言黒板


作家別タグ