水滸伝 17. 朱雀の章  北方謙三

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北方水滸第17の2周目です。

水滸伝 17. 朱雀の章
著:北方謙三  集英社文庫

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童貫と鄷美が、怒涛の猛攻を開始した。  董平率いる双頭山が総力を挙げて迎え撃つが、次々と同志は討たれていく。  更なる禁軍の進攻を止めるため、侯健は偽の講話案を進めていた。  巧みに高俅を信じさせるが、そこには思わぬ落とし穴が待ち受けている。  一方、致死軍と高廉の軍の決戦が間近に迫っていた。  闇の中で、両者は息を潜め、刃を交える時を待っている。  北方水滸、悲泣の十七巻。   (文庫本裏表紙より転載)

まずは恒例の各章のサブタイトルとその星が表す豪傑の名前の列挙からです。

天立の星: 双鎗将・董平
地巧の星: 玉臂匠・金大堅
天巧の星: 浪子・燕青
地捷の星: 花項虎・龔旺
地狂の星: 独火星・孔亮
地損の星: 一枝花・蔡慶

童貫さん、ありえないほど強いです。  こんなに強い人が軍部のトップにいたのに、これまでの地方軍をはじめとするその他の軍のメタメタさ加減は何だったんだろうと思わずにはいられないほど強いです。  これは前半で梁山泊軍を強く描き過ぎちゃったために、そのぶんラスボスは徹底的に強くしなければならなくなっちゃったとしか思えません。  まるである時期までのファイナル・ファンタジーのラスボスみたい(倒すのに運と時間が必要)な状態です。  そんなラスボスもついこの間梁山泊入りしたばかりの張清さんの飛磔を食らって肩に負傷(あんど 戦線離脱)というお茶目(?)な一面を見せてくれたりもするんですけどね(笑)

さて、とは言うものの、残り3冊となったこの巻ではこれまで以上に多くの方々が鬼籍に入られてしまいました。  特に盧俊義と魯達の死はひとつの時代が終わったことを否応なく感じさせられます。  ここから先は「梁山泊・滅びの世界」です。  でも、そんな中、わずかな希望があるとするならばそれは次世代の人々の成長ではないでしょうか?  もちろんその筆頭にいるのは楊令です。  楊令はいよいよあの「吹毛剣」を手に取り、病身の魯達を子午山に運んできた黒旋風・李逵の得意技、板斧で石を切りつつ研ぐ技を見ただけで吹毛剣の研ぎかたを会得しちゃったりもする只者ではないオーラを放っています。

  

そのうえ自分の死期を悟った魯達がまるで「これこそ最後のお勤め」とばかりに楊令には徹底的な個人教授を行います。  「替天行道」の心を語り、水滸108星 & 晁蓋を語りとほとんど遺言状態です。  よくよく考えてみると楊令はどこの誰とも知れない出自の子供だったはずなんだけど、あれよあれよと言う間に梁山泊にとってかなり「特別な」存在に育てあげられてしまっています。  しかも王進スクールの優等生というオマケまでついています。  北方氏が延々とシリーズものの布石を打ってきたことがここで疑いようもないほど明白なものになりました。

話は変わって、KiKi にとってこの巻でかなり印象的だったのは公孫勝が語る彼の生い立ちの物語でした。  原典では道術の仙人・羅真人の弟子という設定で、風を呼んだり神兵を呼び寄せたりという妖術使い系の人物で、途中からは梁山泊を抜けて修行の道に戻っちゃったりもしていたわけだけど、こっちの公孫勝は当然のことながらそんな摩訶不思議な人物というわけではありませんでした。  それでも普通の人では決してなかったその背景にあった物語がまるでダンテの「神曲」もどき・・・・・。  KiKi はこの公孫勝の昔語りを初めて読んだとき思わずダンテの神曲、地獄篇の中にあるウゴリーノ公のお話を思い出してしまいました。

と同時に岩波少年文庫の「水滸伝」ではあんなにも頻発していた「人肉食」の片鱗がここにこういう形で出てきたのか!と何とも不思議な感慨をおぼえました。  これまで自分のことを語ったことがなかった公孫勝がこともあろうに「やっぱりお前とは到底合わない」という相手、林冲にこの物語を語った心の中には何があったんでしょうか??  致死軍にとって最後の戦いと言っても過言ではない青蓮寺の高廉軍との戦い。  結果的には高廉軍を殲滅させることができたわけだけど、その戦で多くの部下を失い自身も傷を負ったとは言えども結局生き残った公孫勝。  自分の近くにいて大切だと思っている者は皆、何故か自分の代わりに死んでいく・・・・・そんなやりきれない想いを誰かに知っておいてほしかったのかもしれません。  でも、それに対する林冲のセリフがねぇ・・・・。

「俺は、なにも聞かなかったよ、公孫勝。  おまえは、虫の好かない、いやな野郎のままだ。

ですか・・・・・・ ^^;  ま、林冲らしいと言えば林冲らしいけど、ホント、公孫勝じゃないけど

「いやなやつだ、お前は。」

です(苦笑)。  でも、これが林冲なりの熱い友情の証の言葉であることも何となく感じられるだけに、この言いようもなく重い話に何となくおさまりがつくのも又事実です。

さて、残すところあと2巻。  どこからどう見ても童貫軍には敵いそうにない梁山泊ですが、一挙に滅びの道を突き進むわけではなく、あと2巻分物語は続くらしい・・・・・。  ほとんど見せ場もないままに亡くなった第5位、大刀・関勝はともかく、まだまだ梁山泊には第6位、豹子頭・林冲も第7位、霹靂火・秦明も第8位、双鞭・呼延灼も第23位、九紋龍・史進もいます。  そして第17位、青面獣・楊志の遺児でありあの魯達から後を託された楊令も・・・・・。  残り2巻でどんな物語が語られるのかを楽しみに第18巻へ進みます。


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