ばぁばと私

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昨日、とあるエントリーにある方からコメントを頂戴しました。  そのコメントを拝見して、改めて KiKi が意識せずに心の中で強く抱き続けている願望に気が付いてしまったような気がしたので今日のこのエントリーを記録として残しておくことにしました。

このブログでは何度もお話しているように KiKi の母(以後、ばぁば)は昨年末に自宅の台所で転倒し、大腿骨骨頭骨折という大怪我を負いました。  年末と言うこともあり、新年の予定をたてるためにKiKi が実家にたまたま電話をしてみたら、その電話に出たじぃじからいきなりその事故の話を聞かされました。  電話をした時刻は既に午後3時をまわっていたのですが、その日の早朝(それも午前3時頃)、ふと目をさましたじぃじは隣の布団に寝ているはずのばぁばの姿がなかったので、心配になって階下の台所に行ってみたのだそうです。  そしてそこで見つけたのは台所で蹲り「痛い、痛い・・・・。  寒い、寒い。」と言って泣いているばぁばだったというのです。  そこから約半日、ばぁばはずっと台所に蹲り、腰痛持ちのじぃじはどうしようもない時間を延々と過ごし続けているとのことでした。

しかも、朝の6時近くになって「トイレに行きたい。」と訴えるばぁばを何とか助け起こしてトイレに誘導しようとしたものの、立たせようとすると大声で「キャ~、痛い。」と叫び頑として動こうとしないのでどうしようもなかったこと、結局その場でいわゆる「おもらし」をさせるしかなかったこと、更にはその時に何とか下着を脱がせたものの、着替えさせようとするとまた痛がって叫ぶので下半身丸出し状態で台所に蹲り続けさせていることなどを伝えてきました。

冷静に考えれば、じぃじ1人ではどうしようもないことだけは明白なのに、それでも何一つ手を打っていない(KiKi に連絡することさえ忘れている ^^;)じぃじ。  でも、Lothlórien_山小舎から我が実家まではどんなに急いでも4時間弱はかかってしまいます。  まさかそんなに緊急に実家に向かうことになるとは想定外だったので、その電話を受けてから支度をして出かけるともなれば5時間はかかるでしょう。  そうこうしているうちにその日の夜を迎えてしまって、もう誰のヘルプも受けられない時間帯に突入してしまうことが想像できました。  

そこで何かと渋るじぃじをとにかく説き伏せて、町役場の福祉課にヘルプを求めて、最低限でも着替えをさせて寝かせるところまではしておくようにと伝え、それから大急ぎでダーリン & KiKi は帰省準備にとりかかりました。  そして、関越 - 東名とかっ飛ばし御殿場あたりを走っていると KiKi の携帯が鳴りました。  ちょうど KiKi がハンドルを握っている時だったので大急ぎで車載の携帯電話転送装置(正式名称を知らない ^^;  携帯電話とナビがブルートゥースで繋がり、車載スピーカーとマイクでハンドル操作をしながら電話できる装置)を操作し、電話に出てみると母が担ぎ込まれた病院の看護婦さんからの連絡でした。

聞けば渋々ながらも町役場の福祉課に電話をしたじぃじの要請に応え、地域統括支援センターというところの職員の方たちが実家を訪問し、その方たちの判断で救急車が呼ばれその病院に運ばれたとのこと。  母は大腿骨を骨折しており、そのまま入院・手術となること。  今は睡眠薬と鎮痛剤で穏やかに寝ていることなどが報告されました。  翌日、病院に伺うことを約束してその日はとにかく実家に直行することに決め、さらに車を走らせていると今度はじぃじから電話がありました。

とりあえず、病院からの電話で状況は把握していること、今日は病院には向かわず実家に直行すること、KiKi は実家の鍵を持っていないので申し訳ないけれど起きて待っているか玄関のカギを空けたまま先に休むか、じぃじの判断で決めて欲しい旨を伝えました。  でも、何せ相手は半分ツンボですからなかなか話が通りません。  それでも辛うじて最低限の用件だけは伝わったことを確認し、ようやく人心地。  私たちが実家に辿りついた時刻は午後8時をまわっていました。


そして翌日。  看護婦さんから言われていた通り午前9時過ぎにじぃじ・ダーリン・KiKi の3人は病院に向かいました。  大急ぎでばぁばの病室に飛び込んだ KiKi でしたがそこで第一の衝撃がKiKi を襲いました。  ばぁばはいきなり病室に飛び込んできた KiKi が誰だかわからなかったのです。  実はその前の11月にダーリン & KiKi は実家を訪ねていました。  その時も既に認知症の症状を呈していたばぁばではあったのですが、少なくともその時は、ばぁばは KiKi が誰なのかわかっていました。  KiKi の名前もわかっていました。  でも、この日のばぁばは KiKi の名前も KiKi が自分の娘であることもわからなかったのです。

ばぁばのお母さん(KiKi の祖母)も晩年は認知症を患いました。  そして祖母もばぁばや KiKi のことのみならず、同居介護をしてくれている家族のことさえもわからなくなったのを見てきていたので、ばぁばが認知症に罹患していることがわかった時から KiKi はある程度の覚悟はしていたつもりでした。  でも、こんなにも突然にまったくわからなくなってしまうとは思っていなかったのでこの時のショックたるや半端なものではありませんでした。

それでもその日はあんな事故にあってばぁば自身も気が動転しているだろうし、いきなり病室に飛び込んできた娘を見てもわからないことはあるかもしれない・・・・などと自分を誤魔化しながら4人で色々お喋りをしたりして過ごしました。  でも、1時間経っても2時間経ってもばぁばは KiKi のことを自分の娘とは認識せず、言葉遣いからして「よそいき」でした。  

その後、約1か月の入院中、じぃじ・ダーリン・KiKi の3人は毎日、午前中と午後の2回、病院にお見舞いに行ったのですが、結局ばぁばが KiKi を娘として一時的にでも認識してくれたのはその間たった2回でした。  「私の知っていた母はもうどこにもいなくなってしまって全く別の人格の老婆が目の前にいる・・・・」  そんな風に感じられ、寂しいやら悲しいやらで茫然としてしまうことが何度もありました。  何だか自分の中の羅針盤が欠けてしまったような、どうバランスをとればいいのかわからない不安定さみたいなものを感じ続ける1か月でした。

そして母の退院。  そこから約半年間の自宅介護の日々が始まったわけですが、そこで直面する現実はさらに KiKi を滅入らせるのには十分でした。  以前このブログでもお話した「ゴハン攻撃」然り。  片付けても片付けてもありとあらゆるものが本来あるべき場所から消え去り、信じられない場所から出てくるという生活も然り。  家の中のもの(たとえばコンセントとか)を壊すのは日常茶飯事。  たった今干し終わったばかりの洗濯物が濡れたままとりこまれちゃっていたり、掃除・整理をしている後から別のゴミ(とは言えないものも含まれるけど)で散らかされたり、自分の家の駐車場に車を停めておくと夕方以降「車の電気が点けっぱなし」だと言い続け、外に駐車場を借りなければならなくなったりと、とにかく普通の生活が成立しません。  

そのうえ、KiKi のことはもうすっかり忘れちゃっているから、せっかくご飯を作っても「知らない人が作ったごはんなんて食べない。  そんなものを食べるぐらいなら飢え死にする」と言われたり、「人の家へ勝手に上がりこんでいるカッペがいる。  私はカッぺは大嫌い!」と言われたり、物を投げつけられたり、拒絶の意思表示で叩かれたりと暴言・暴行は数知れず。  でも、否応なく襲ってくる現実と対面するためには悩んだり悲しんでいたりする余裕はありません。  そんな中である種の「開き直り」みたいな感覚が KiKi を急激に変えていきました。 

自宅介護の生活の中で KiKi はばぁばのことを「お母さん」と呼ぶことをやめてしまいました。  KiKi が「お母さん」と呼ぶとばぁばは不審そうな顔をするし、時にはそこから発展して KiKi が娘であることを忘れちゃっていると誰か(ほとんどがじぃじ 苦笑)に指摘でもされようものなら、母の興奮モードにスイッチが入ってしまうことが何度もあったからです。  だから KiKi はもう半年以上ばぁばのことは「○○さん」と名前で呼んでいます。  そしてばぁばは KiKi が目の前にいれば「あなた」と呼ぶし、KiKi が目の前から姿を消せば「いなかった人」として扱います。  老人ホームに訪ねて行ってほんの1~2分何かの用事で部屋から外に出て戻っても「あら~、お珍しい。  あなたいらしてくださったの?  お忙しいのに悪いわぁ~」と最初の訪問時と同じ会話が交わされるぐらいです。 

病院でのショッキングな対面以来、KiKi は心の中のどこかで「私の知っていた母はもういなくなっちゃったんだ。」と思い切ってしまうことで何とか心の安定を保っていたようなところがありました。  とにかく何を言われても何をされても、それに対してこちらが怒ったり悲しんだり感情的になったりしないようにするのに「親子」という意識をできるだけ希薄にしておくことにはそれなりの効果がありました。  だからとにかく、ばぁばが私を「お友達」と言うならお友達に徹しよう。  余計なことは一切考えまいとしてきて、KiKi 自身も自分がばぁばの娘であることを考えないように考えないようにとしてきました。  その延長線上に今の KiKi はいます。

でもね、どうやら KiKi の心の奥底の深いところではず~っと別の感情が燻り続けていたみたいです。  要するに、ばぁばに思い出してほしいと願い続けてきているのです。  ただ1つ、KiKi がばぁばの娘であるというただそれだけのことを・・・・・。  他のことは全部忘れちゃってもいいから、ただそれだけを思い出してほしい。  30分でも5分でもいいから私が覚えている「母の顔」を見せて欲しい。  そう切望していたことに気が付かされちゃいました。

と同時に、ばぁばに存在そのものを忘れられてしまったことにどれだけ自分が傷ついていたのかを初めて徹底的に思い知らされた・・・・・そんな気分になりました。  今まで「お友達」を演じることにより自分で押さえこんでいた「娘としての気持ち」がこじ開けられちゃった・・・・・そんな気分なんです。  今、このエントリーを書いている間も、何度も何度も涙が溢れてきました。  もう何ヶ月も「泣かずにいよう」と思い定め実際そうしてきた気持ちのストッパーとでも呼ぶべきものが外れちゃったみたいに、拭いても拭いても止めようとしても止めようとしても涙が溢れてきます。

一緒に昔のアルバムを見ても、次の写真に目を移せばそのちょっと前に見ていた写真のことも忘れちゃうばぁば。  2人が一緒に写っている1つの写真を前に何度も何度も「これが○○さん。  これが私。」と言っても「あら~、そうなの?  これは私だけど・・・・・。」と言ったきり、写真の中の KiKi さえも自分の子供として認識してくれないばぁば。  そんなばぁばと私が親子として向き合うことがこれから先、一度でもあるのかどうか・・・・・・。  頭ではそれはほとんど絶望的であることはわかっているんだけど、それでもやはり KiKi は心の奥底で切望しているんだと思います。  5分でいいから KiKi のことを思い出して! ってね。  


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このページは、KiKi (Brunnhilde)が2013年9月30日 10:56に書いたブログ記事です。

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