え? そうだったの??  介護保険 その4

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さて、半ば病院から追い出されるような形で退院することになったばぁば。  入院中にお願いした介護保険の認定調査を終えるや否や、その翌日にはあたふたと病院を後にしました。  KiKi は事前に約束していた退院時刻の2時間前には病室に行ったのですが、既に全ての荷物が雑然とビニール製の大袋に投げ込まれ、その荷造りの仕方にも「早く出て行ってくれ」と言わんばかりの気配が充満しているようでした。

「お忙しい中、荷物を纏めておいてくれたんだから・・・・」とできるだけ善意に解釈する努力はしてみたんだけど、家に帰って尿取パッドから紙オムツ、着替え、バスタオル、洗面用品といったものが全てゴチャマゼなうえ、順不同(尿取パッド10枚の上に歯ブラシ、紙オムツ5枚の上に着替え1着、尿取パッド10枚の上にバスタオル1枚、紙オムツ10枚の上にコップ・・・・みたいな感じ)に詰め込まれている様子から、いかにも投げ込んだという雰囲気が伝わってきて、とても悲しい気分になったことを覚えています。

ただ、「ばぁばが最後にしでかした事件のことを考えると、文句を言えた義理ではない」と思わざるをえず、結局は深々と頭を下げて「本当にお世話になりました。  入院中はご迷惑ばかりおかけして申し訳ありませんでした。」と挨拶していました。  その気持ちに嘘偽りはないものの、お会いする看護婦さんやヘルパーさんたちが皆一様に晴れ晴れとした表情で、これまで以上ににこやかな様子なのにも何気に傷ついていました。

もちろん「退院を祝う」という気持ちがそこになかったとまでは思いません。  でも、これまでのアレコレからどうしても卑屈な気分になっちゃって、心の中で「厄介払いができてよかったですねぇ」と悪魔の KiKi が囁いているのを止めることまではできませんでした。  そしてそんな自分にも自己嫌悪。  でも、そんなことをゴチャゴチャと考えている余裕はありません。  いざベッドから降りて車に向かうとなったその瞬間から、病室の備品を持ち帰ろうとしたり、訳の分からないことを口走るばぁばを興奮させず、人様にご迷惑をかけさせず、転倒させずに誘導するだけでどっと疲労感が襲ってきました。

リハビリに関しては、まだあと2ヶ月ぐらいは続けた方がいいと言われていて、この時点では介護保険認定も下りていないということもあって、訪問リハビリを受ける資格の問題もあるため、週に2回、病院のリハビリ室に通うということで打ち合わせがしてありました。  と同時に退院後の執刀医の初診断(これが医療保険でリハビリを受けるために必須だということを後で知った)を退院の2日後に予定していると通達されました。  ばぁばの執刀医の先生は週一でその病院にいらっしゃる先生だったので、そのスケジュール自体は理解できたのですが、あと2日で診断だったらそれまで入院させておいてくれてもいいのに・・・・という想いが KiKi の頭をかすめました。  

でもまあ、その2日の間に又、ご近所の病室に不法侵入して用を足すようなことが起こったら目も当てられません。  病院から言われることは全て「はい、はい。」と受け入れ、病院が組むスケジュール通りに動くことが KiKi の中では当たり前になりつつありました。  それに輪をかけて手を焼くのがじぃじの対応で、これまでの病院のやり方に心底怒っていたじぃじは「もうこんな所には来たくもないし、1時間といたくない!」なんぞと我儘なことを言います。  まだまだリハビリでお世話にならなくちゃいけないのに、どこか喧嘩腰なじぃじをできるだけ急かして車まで連れて行きました。

車のドアを閉めた瞬間、誰にも聞こえる大きなため息を1つ。  自宅に帰り着いて、お茶を飲んで、じぃじとばぁばを新しい部屋に誘導して二人きりになった瞬間に、ダーリンが

「お疲れさん。  それにしてもすごい溜息だったなぁ。  車に乗った時。」

と笑いながら KiKi に言ったぐらいです。  

       

さて、自宅に帰ったから・・・・・と言ってノンビリできるわけではなく、今後のことを決めるためには早速ケアマネさんに連絡を入れる必要があります。  その日の午後、既にケアマネさんとアポをとってあったので、じぃじとばぁばをダーリンに任せ、KiKi はケアマネさんの勤務地である病院に向かいました。

そこでまずはばぁばが退院したこと。  認定調査は無事終わったこと。  とりあえず後2ヶ月はリハビリに通う必要があること。  その間は病院に通う足が必要なため、ダーリン & KiKi は実家に滞在することを決めたこと。  ただ、その間にどうしても数日、Lothlórien_山小舎に帰らなければならない予定があること(ダーリンの通院 & 検査のため)。  早急に自宅の段差解消の算段とお風呂グッズの調達が必要であること・・・・などを話しました。

認定調査が終わっただけ・・・・・ということで、この段階ではばぁばの「要介護度」がどれくらいになるのかはわからない状況でした。  ただ、これまでばぁばと面接した認定調査員の方の印象も、病院の対応から判断できる状態も、ばぁばの入院時にお世話になった地域統括支援センターの方の印象もケアマネさんがばぁばを見ての判断も一致していたのは「要支援やまして自立ではありえない。」ということでした。  

そこで、認定調査の結果を待たずして、とにかく自宅の段差解消とお風呂グッズの調達に関しては前倒しで行おうということで意見が一致しました。  これらに関しては万が一ばぁばの認定結果が「要支援」であったとしても、介護保険で補填されると見込まれていたけど実際には補填されなかった金額分を KiKi が後日自腹で支払えばいいだけのことで、認定結果を待つな~んていう悠長なことを言ってはいられない状態だったからです。

その手配をしている時は KiKi は心の底から思っていました。

「介護保険って、何てありがたい制度なんだろう。」

ってね。  確かにお風呂グッズの調達やリホームの際には本当にお世話になりました。  おかげでほとんどのものが1割負担で入手でき、ばぁばが自宅で再び転倒するリスクをかなり軽減できたのですから・・・・・・。  ところが、別のサービスの話題に及ぶに至り、KiKi は「え?  そうだったの??」となってしまう事態に直面することになりました。

上にも書いたように、ダーリン & KiKi はばぁばの通所リハビリの送り迎えというタスクもあったし、とにかく2人の生活を安定させるための家事全般を受け持つ人間が必要だったために「当面同居をする」ということはじぃじとも既に話し合って決めていました。  ただ、将来的に本格的な「同居介護」「在宅介護」でいくのか、はたまた別のことを考えるのかはばぁばのリハビリが終わってからゆっくり相談する(心の中では同居介護になる覚悟はしていました)ということにしてありました。  そんな事情もあって、ダーリンの転院手続きは全てが決まってから・・・・・ということで棚上げにしてあり、そのことは即ち「定期的にLothlórien_山小舎」に帰宅する必要があるということを意味していました。

2ヶ月毎に平均して5~6日、ダーリン & KiKi が群馬に帰っている間のじぃじとばぁばの生活の面倒というヤツだけは早急に何等かの対策を講じておく必要がありました。  しかもばぁばはまだリハビリの真っ最中です。  どこかに預けるのもかなり躊躇われました。  そこで家事ヘルパーを依頼しようとケアマネさんに相談したのですが、その時、 KiKi は思いもよらなかったセリフ(ただ単に KiKi が介護保険のことをよく知らなかった大馬鹿者だっただけのことではあるのですが・・・・・ ^^;)を聞くことになりました。

「あの・・・・ですね。  大変申しあげにくいことなんですけど、お宅の場合介護保険の『家事ヘルパー』はご利用できません。

「は?  どうしてですか?」(この時点ではばぁばの「要介護4」認定は出ていました。)

介護保険の家事ヘルパーはご家族の中に1人でも自立の方がいらっしゃったら、利用できないんです。

「・・・・・・それは、父が介護認定を受けていない、即ち『自立』だから・・・・・ということでしょうか?」

「はい、そのうえ、今はご主人と KiKi さんが住民票を移していないだけで実質同居人と見なされますし・・・・。」

「つまり、私と主人が自分の家に帰るという判断をして、2人を置いてここから出て行って、更に父が介護保険認定を受けない限り、『家事ヘルパー』は使えないという意味でしょうか?」

「そうです。  それに・・・でも・・・。  お父様は私がお会いして拝見する限りでは自立と判定されてしまうと思います。」

「でも、父は88歳で、ケアマネさんもご存知の通り耳が遠くて普通の生活と言うにはかなり危なっかしい状態で他人様とのコミュニケーションにもトラブルを抱えているうえ、元気で体調の良い日はともかく、布団から1人では起きあがれない日もあるのに??  そんな日にスーパーに買い物なんかに行ったらいつ何時倒れちゃうかわからないぐらい足元もおぼつかないのに、それでも自立なんですか?  要支援でさえありえないと??  しかもあの時代の男の人は料理も洗濯も掃除もできないのに??」

「ええ。  耳が聞こえないのは『要支援』の要件にもなりませんし、足元がおぼつかないと言っても車いすが必要なわけでもないですよね。  料理・洗濯・掃除というあたりはやる気さえあればできることですから・・・・  実際、皆さん、それまで一切家事をやらなかった男性もこういう状態になったら、頑張ってやっておられるんですよね。」

「はぁ・・・・・・。  なるほど・・・・・・。」

KiKi は実家の町役場のHPにある介護保険の説明ページを、ばぁばが入院して以来、何度も何度も穴があくほど読み込んでいました。  でも、そのどこにも「同居家族の中に1人でも自立判定の人がいたら『生活支援サービス』は使えない。」な~んていうことは書いてありませんでした。  書いてあったのは介護保険で使えるサービスにどんなものがあるかということだけで、それを使うための要件まで詳細に記載されているページは、この会話の後、もう一度じっくりと探し直してみても見つけることができませんでした。  

「それに・・・・  もっと言えば、『家事ヘルパー』のみならず、ご家族の中に1人でも自立の人がいらっしゃる場合、『生活支援関係のサービス』はご利用できません。  例えば『給食サービス』とか『お掃除ヘルパー』、『お洗濯ヘルパー』、まあ要するに『生活を支えるサービス』全般がご利用いただけないんです。  お母様の場合、使えるのは『デイ、ショートステイ、訪問看護、訪問リハビリ』ぐらいだと思っていただければ・・・・・。

「でも現実問題として、88歳の爺さんが『要介護4』のアルツハイマー型認知症のばぁさんを抱えて、生活が成り立つわけじゃないと思うんですけど・・・・・。」

「はい。  でも年齢は考慮されませんから・・・・・。  残念ながらそういう制度になっているのでこればかりは・・・・・・。」

「じぁあ、うちと同じような状況の方たちは、皆さん、子供さんが同居するか、施設に入居させるかの2つしかない選択肢の中で選んでいらっしゃるわけですね?」

「あ、介護保険の適用ができないという意味で、自費で『家事ヘルパー』を頼むことは可能ですよ。  ただ、その場合、全額自費となるわけですから、経済的負担はかなり大きくなりますが・・・・・。」

「なるほど・・・・・・。」

こうして、ダーリンと KiKi がLothlórien_山小舎に帰っている間のじぃじとばぁばの生活をどうすればいいのか?は暗礁に乗り上げてしまったのでした。  そしてこの時点では、KiKi はこのケアマネさんが KiKi の質問「子供が同居するか、施設に入居させるかの2つしかない選択肢で選ぶことになるのか?」という質問に対しては、ある種の逃げをうった返答をしていることには気がついていませんでした。



to be continued ...........

   

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コメント(2)

> 介護保険って、何てありがたい制度なんだろう。
つい数日前、ウチが、還付金詐欺にあやうくひっかかり
そうになりました。
その話を友人のグループにメールしたらそのうちの一人が、
『我家にはまだ掛かってきませんが、かみさんの話に
よると方々に掛かっているようです。
75歳以上の人で介護保険を利用したことのない人は
還付されると云うものだったそうです。』
というコメントを返してきてくれました。
いかにもありそうなことを言ってくるから、油断も隙も
なりません。
以上老爺心ながらお知らせまで。
「自分に限って大丈夫」というのが如何に脆いものかを
思い知らされた、
Katz of Kuzuha です。

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このページは、KiKi (Brunnhilde)が2013年10月12日 10:50に書いたブログ記事です。

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