え? そうだったの?? 認知症 その1

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さて、ここで退院して以降のばぁばの日常生活の様子をすこしお話しておきたいと思います。  認知症の人の生活って実際に同居して一緒に暮らしてみないとわからないことがいっぱいあります。  昨年の12月のばぁばの緊急入院まで、KiKi は時折実家に帰省してはじぃじとばぁばの様子をそれなりに注意して観察していたつもりでした。  

でも、ひょっとしたら KiKi が訪ねた際にはある種の緊張状態でばぁばの症状が隠されていた部分があったのかもしれません。  もっとも、じぃじの話によれば入院前と退院後のばぁばでは別人のようになってしまったということだし、入院初日に看護婦長さんが仰っていたように KiKi の目から見てもばぁばは入院生活により一挙に認知症が悪化したとしか思えないところもあるんですけどね。

さて、入院生活中、ばぁばは数多くの問題行動をしでかしちゃったわけですが、これにどんな理由があるのか?を考えてみると「自分が思っているような排泄ができない」ということがきっかけになっていることが多かったように感じられました。  考えてみれば「排泄」という行為はある意味で人が人として生きるための根幹にある行為とも言えます。  何もわからない赤ちゃんならいざ知らず、オムツや尿取パッドで用を足すというのはある意味では屈辱的だし、昔はトイレのことを「はばかり」と呼んでいたように、どこか羞恥心と密接に関わる行為でもあります。

どんなに小さな子供でもトイレに入っているところを覗かれるのはイヤなものだし、まして見つめられている中で用を足すな~んていうのはせっかく出そうだったものも引っ込んじゃうということは自分にあてはめてみても容易に想像できることです。  ですから KiKi はある意味では自宅に帰って、使い慣れたトイレで、自分1人で用を足す(その後水洗で流して処理をするところまで含めて)ことができるようになればばぁばの問題行動は激減するのではないかと期待していました。

確かにあれほど繰り返された「おしっこ問答」は必要なくなったし、トイレと居間は隔離されているから不快感も激減したし、用を足す際には個室に籠ることもできるので羞恥心を刺激することもなくなったわけで、その部分では落ち着きを取り戻したのは事実でした。  でも、「排泄」の問題が解決しても次の問題が勃発するということがあっという間に表面化してきました。

その第一が屋内の徘徊でした。  せっかくじぃじとばぁばの居室を1階に移したものの、かつての自分の部屋が2階にあったということもあってか(でも、その家が自分の家であることさえわからなかったりもするんですけど・・・・・)、とにかく歩き回るんですよ。  

「階段は危ないからできるだけ使わないでね。」

「何で?」

「足の骨を折っちゃったこと覚えてる??  左足の付け根のあたりは、まだ痛いでしょ?」

「そうなのよ、何でこんなんなっちゃったのかしら?  歳をとるっていや~ね。」

「痛いのは歳をとったからじゃなくて、足の骨を折っちゃったからよ。  今はまだ完全には治っていないの。  だから階段で又転ぶと大変なことになっちゃうでしょ。」

「そうね。  わかりました。  階段は使わないようにします。」

そう言った30秒後には又、階段を上ったり下りたりし始めます。  退院してから3日ぐらいは我が実家の階段には手すりが装着されていなかったので、危なっかしいことこのうえない。  ダーリンがホームセンターで手すりを購入してきて、間に合わせに装着するまでは四六時中目を離せませんでした。

  

しかも、何か用事を思い立って動き回っているのかもしれないけれど、3歩も歩くと何のために歩いていたのか本人も忘れちゃうから結果としてただひたすら歩き回っているだけ・・・・・という結果に陥ります。  1日に何度も何度も繰り返すこの階段の上り下り。  何度 KiKi は階段に鍵付き扉をつけようと思ったことか・・・・・。  最初のうちはまだ KiKi の疲労度もさほど蓄積されていなかったので、ひたすら後をついて歩くこと自体はさほど負担ではなかったのですが、意味もなく家の中で階段の上り下りを繰り返すという動作は溜息モノです。

当時の笑い話を1つご紹介しておきましょう。  週に2回通っていたリハビリで担当の理学療法士さんがばぁばの歩きっぷりを評してこんなことを仰いました。

「凄いですね、○○さんは。  僕の期待以上の回復ぶりですよ。  基礎身体能力が高いんですね。」

これに対する KiKi の答えは

「まあ、昔からよく歩いている人でしたから基礎身体能力は普通の人より高いかもしれませんね。  でもね、それだけじゃなくて、いえそれ以上に毎日、毎晩、家の階段で猛烈な自主トレをしていますから・・・・・・。」

というものでした。  さて、このばぁばの自主トレですが、冗談を言っていられるうちは良かったんです。  こちらの気力と体力に余裕があって、昼間にひたすら付き合っているだけならば・・・・・・。  問題は夜。

とにかく寝ないんですよ。  お風呂介助の後、1時間ぐらい妄想話にお付き合いして、ようやくベッドに誘導しても、すぐにベッドから降りてきて玄関の戸締りを確認に行きます。  それも何度も何度も・・・・・。  たった今、戸締り確認をして自分の寝室に戻ろうと数歩歩いたところで又

「あれ?  お玄関の戸締りはできていたんだったかしら?」

と言いながら又、玄関に逆戻り。  湯冷めをしようが何をしようがそんなことはお構いなし。  パジャマ一枚、素足のままで廊下をウロウロ、ウロウロ。  1時間ぐらいウロウロするのにお付き合いした挙句、ようやくベッドに戻ったことを確認して、KiKi がお風呂に入っていると、今度はいきなりお風呂のドアが空き、ばぁばが覗きこんでいます。

「あら?  あなた、お風呂に入っていらしたの?  電気が点けっ放しだったからちょっと心配になって覗いてみたんだけど・・・・・。」

「そうなの。  私、今、お風呂をいただいているの。  電気は私が後でちゃんと消しておくから、心配しないで休んで頂戴。」

「あ、そう。  じゃあよろしくお願いしますね。」

と言ってお風呂のドアを閉める・・・・・と同時に浴室の照明がスイッチ・オフ。  真っ暗なお風呂の中で(何せ時は真冬。  体を温めた後でなければ電気をつけに行く気力もわきません)ため息1つ。  これが日課となりました。  

さて、ようやく KiKi がお風呂から出てみると、今度はベッドではなく台所でボケ~っとしているばぁばがいたりします。  放っておくわけにもいかないので、「どうしたの?」と声をかけると、再び妄想話が始まります。  仕方なく付き合っている間にこちらもすっかり湯冷めして、元々「末端冷え症」の KiKi の足の指先も手の指先もジンジンしてきます。  ここでさらに1時間ぐらいばぁばの妄想話にお付き合いしてから再びベッドに誘導します。  

「じゃあ、私ももう寝るから、○○さんもゆっくり休んでね。」

「はい、お休みなさい。  あれ?  お玄関・・・・・・」

「ええ、私が鍵は見ておくから安心して。」

「そう、じゃあお願いします。」

という会話の後、一応鍵を確認して大丈夫であることを伝え、ダーリン & KiKi の寝室である2階に行くために階段を5段位上ったところで、背後から声がかかります。

「お玄関は閉まっているのかしら?」 

「ええ、今確認したら締まっていたわよ。  安心して。  ねえ、もう寝ましょうよ。」

「はい、おやすみなさい。」

何せばぁばのお風呂介助からすでに3時間以上が経過しているわけですから、時計は夜中の12時付近を指しています。  年寄り(というよりじぃじ)は朝早起きで4時ぐらいからゴソゴソし始めるので、これでそのまま睡眠に入ることができたとしても、4時間ぐらいしか眠れません。  だから「これ以上は付き合いきれん!」とばかりに放置しておくと、相変わらず階下で玄関と寝室を行ったり来たりしている物音が絶えません。  その音が耳について結局、眠れません。  何度かはベッドに誘導しようと試みるも何を言っても無駄なわけで、しまいには本人が満足する(もしくは飽きる)までやらせておこうと放置しておくことにします。  すると、今度は真っ暗な階段を電気も点けずに

「ああ、もういや!  こんな生活。  どうしてこんなんなっちゃったのかしら・・・・・。」

なんぞと繰り返しつぶやきながら、深夜の自主トレの開始です。  上っては下り、上っては下り。  ひたすらブツブツ言いながらこれを繰り返す姿はスポ根ドラマさながらです。  「ああ、もういや!  こんな生活!」はこっちのセリフです。  そうこうしているうちに、上り下りだけでは飽き足らなくなったのか、10度に1回ぐらいは KiKi たちの寝室に乱入してくるようになります。  これが一晩中、さらには毎日毎日、延々と続くんですよ。  こうしてほとんど一睡もできない日が何日も何日も続きました。

こういう話をすると「じゃあ、お母様がお昼寝なさっている時間に KiKi さんも休んだらいかがですか?」と仰る方がいらっしゃいます。  実際、我が家のケアマネさんも、相談した何人かの介護のプロの方たちにも言われました。  ところがこれは我がばぁば特有の症状なのかどうかは知りませんけど、認知症に罹患した老人の体力を侮ってはいけません。  自分だって夜ほとんど寝ていないはずなのに、昼間も寝ないんですよ。  それで相変わらず昼間も家の中をウロウロ、ウロウロ。  後をついてこちらもウロウロ、ウロウロ。  

とにかくばぁばの場合、「骨折治療中」のため、「転倒、再び!」という事態だけは避けなくちゃいけないという意識が KiKi には働きます。  まして、再び入院するようなことになって、あの精神的にも耐えがたかった看護婦さんたちとの問答(もちろんその原因はばぁばにあるんだけど)は2度と繰り返したくありません。  リハビリに通っている中で、かつてお世話になった看護婦さんが KiKi の顔色を見てとても心配してくださり、既に出されている睡眠剤よりもさらに強力な睡眠剤を使うことを勧めてくださいました。  でもKiKi はどうしてもその薬の変更に同意することができませんでした。

と言うのも、ただでさえ「転倒、再び!」を避けなくちゃいけないのに、より強力な睡眠剤なんかを服用して夜寝てくれるだけならいいけれど、今よりもさらにフラフラした状態で階段の上り下りなんかをされちゃったら、ますますこちらは休めなくなっちゃいます。  少なくともその段階で KiKi は夜眠ることこそできなかったけれど、横になって体を休めることぐらいはできていたのですから・・・・・。  この決断が正しかったかどうかはわかりません。  でも実際問題としてばぁばは3月の末にはずっと処方されていた比較的弱い(?)方の睡眠剤であってさえも、フラフラした挙句(もちろんこれにはばぁば自身の睡眠不足が影響しています)再び玄関で転倒事件を起こしたぐらいです。  

さて、この深夜のばぁばの徘徊中、耳が遠いじぃじはばぁばが自主トレしていることにも気づかず爆睡していました。  我がダーリンもお部屋に乱入された何回かのうち1~2回は起きたものの、基本的には「いつ、どこでも、よく眠れるタイプ」の人のため、それなりに熟睡していました。  一睡もできていないのは KiKi & ばぁばの2人だけです。  これが2週間ほど続いた頃、ばぁばより先にKiKi が疲労困憊してしまい、貧血を起こしてぶっ倒れてしまいました。

KiKi はビジネス・ウーマンとして働いていた頃、かなり数多くの連日深夜残業、連日の徹夜を経験していました。  一番しんどかった経験として2日ほどの深夜作業の末、シンガポールに日帰り出張をし、帰国した日も徹夜というのもありました。  それでもビクともしなかったので、体力にはそこそこ自信を持っていました。  まあ、計算外のこととして、その当時と比べると KiKi 自身が歳をとったこと、さらにはここ何年かは更年期にさしかかっていることがあったんですけどね(苦笑)  でもこの事件で KiKi は「もう若くはない自分」「無理が効かなくなりつつある自分」を嫌というほど自覚させられました。

とにかく「夜、眠る」というただそれだけのことさえできない毎日。  そしてそれに体がついていかない介護者と、そんな状態でも元気ピンピン(?)の被介護者。  

「こんな生活を続けていたら、こっちが先に参っちゃう・・・・・・。」

そう KiKi が実感した最初の出来事でした。 



to be continued ........


       

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このページは、KiKi (Brunnhilde)が2013年10月13日 10:25に書いたブログ記事です。

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