え? そうだったの?? 認知症 その2

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さて、退院して以来、とにかく夜も寝なければ昼も寝ない(つまり昼夜逆転ではない)で、家の中を徘徊して回るばぁばでしたが、これ以外にも「え? そうだったの??」となってしまったことが多々あります。  その中の1つは「何でも拒否症状」です。  しかもこれ、静かに拒否するだけならまだしも、時に暴力(と言っていいかはわからないけど)や暴言がついて回ります。

ばぁばの最初の KiKi に対する暴力はお風呂の中。  退院して2ヶ月ほどは毎日お風呂介助をしていたのですが、その際にとにかく気に入らないこと(しかもこれに法則性のようなものがないだけにタチが悪い)があると、盥を投げつける、お湯をぶっかける、石鹸を投げつける、叩くと様々なことをしてくれました。  さっき法則性がないと書いたけれど、そもそもお風呂に介助者がついてくることが気に入らないのですよ。  でも、大腿骨を骨折して人工骨頭を入れたばかりのばぁばは、とにかくお尻をついてしゃがむことが禁じられていました。  でも、お風呂という場所はしゃがむ機会のやたらと多い場所なんです。

特に我が家の場合、じぃじもばぁばも、何十年というものお風呂の椅子を使ったことがありません。  洗い場でしゃがんで体を洗って80年以上の人生を過ごしてきました。  だから、せっかく介護保険で調達したお風呂グッズの用途を理解しません。  ばぁばにしてみると介護用シャワーチェアーなんぞは洗い場を狭くした邪魔くさいもの以上でも以下でもないのです。  そのうえ自分が骨折した記憶がないから、どんなに説明してもシャワーチェアーに坐ることを拒否します。

0130000002872.jpgのサムネール画像

KiKi としてはお風呂場でしゃがんでから再び立とうとした時に変な力が足にかかって、お医者さんが仰っていたように人工骨頭が外れちゃって再び手術な~んていう辛い思いはさせたくないし、ましてあの看護婦さんたちとの攻防戦を繰り返すのは御免こうむりたいわけで、何とかこの椅子に座ってもらおうと言葉を尽くすのですが、ばぁばにしてみるとこれまでの自分なりのお風呂流儀を踏襲したいうえに、とにかく指図されることが気に入りません。

結果、手近なところにある洗い桶をひっつかんで投げつける、石鹸(ボディシャンプーの類は使わないので、「♪牛乳石鹸、良い石鹸♪」を使用)をひっつかんで投げつける、意味不明のことを叫ぶと大騒ぎです。  体に触れると嫌がることはわかっていたので、KiKi は決してばぁばの身体には触れなかったので物を投げつけられるだけで済んだけど、それでもとにかく拒否が凄いんです。  KiKi が睡眠不足からくる貧血でぶっ倒れた日、じぃじがお風呂介助を交代してくれました。  でもじぃじは「体を触られることを嫌がる」ことを理解しておらず、無理やりこのシャワーチェアーに座らせようとばぁばの肩に触れたらしいんですよね。  要するに力づくで座らせようとしたわけです。  すると、こちらには強烈なピンタが飛んできたとのこと・・・・・ ^^;

時は2月。  正真正銘の真冬です。  毎日、毎日 KiKi はお風呂介助が終わるとなぜかずぶ濡れになっていて風邪をひきそうでした。  これでばぁばの動きからほんのちょっとの間でも目を離しても大丈夫な状態だったら、一緒に裸になってお風呂に入っちゃったほうがよかったぐらいです。  でも、オチオチとお風呂につかっていられる状態でもなかったため結局はこちらは洋服を着たままお風呂介助エプロンを装着してのお風呂介助でした。  さて、ようやく入浴が終わると、今度はそのずぶ濡れ状態のまま、次のお仕事が待っています。  それは着替え介助です。

ばぁばはボタンを留めたり外したり、ファスナーを上げたり下げたりといった着衣の動作にはまったく問題がありませんでした。  ところが問題は別の所にあって、その第一が「何をどの順番で着たらいいのかわからない」ということがありました。  要するに「はい、じゃあまずはこれを着て・・・・・  次はこれね」と順番に手渡していけば1人で洋服を着ることができても、すべてを1人でやらせようとすると、本来下に着るべきもの(たとえば下着)を何かの上に着ちゃったり、目につくところにじぃじの衣類なんぞが置いてあればそれを着ちゃったりとメチャクチャでした。

そのうえ、お風呂介助が必要だった時期は骨折した側の足が上に上げられないので、パジャマのズボンを履くにしろ、靴下を履くにしろ、足を通すところまでは介助が必要でした。  ところがこれが気に入らない。  こちらはずぶ濡れの体を拭く余裕もない中での着替え介助なので、できるだけさっさと着替えさせたいのに、意味不明のお喋りをしてなかなか着替えようとしてくれなかったり、ようやく着替えが始まってもすぐ手が止まっちゃったりもして、とにかく時間がかかります。  そのうえ、ズボンや靴下の足通しの介助をしようとすればそれを拒否するうえに、日によっては足蹴(骨折していない方の足で)が飛んできます。  ばぁばに蹴られて鼻血が出たこと数度・・・・・。

幸い、もう若くはないとは言え、まだまだ反射神経がさほど衰えていない KiKi は辛うじて足蹴をかわすことによって鼻血程度で済んだけど、あれ、当たり所が悪ければどうなっちゃったことやら・・・・・。  しかも悲しいのは鼻血を流している KiKi を見ても、自分が足蹴を食らわせたことは一瞬のうちに忘れちゃっているので


「あら、あなた、どうしたの??  鼻血が出ているわよ。  何かにぶつけた??  綿はどこだったかしら・・・・・。  大丈夫??  少し横になった方がいいんじゃないかしら??」


な~んていうことを実に心配そうに言うんですよ。  のど元まで


「何かにぶつけたんじゃなくて、あなたに蹴られたの。」


と出かかるんだけど、その事実を突きつけたところで反省するわけでもなし(だって自分が蹴った記憶がそもそもない)、こちらの言うことを信用するわけでもなし、ただ単に


「私に意地悪なことを言うイヤな人」


という印象だけを残す(不思議なことに何をしたかとかどんなことが起こったかという記憶は一瞬のうちに消えちゃうのに、「あいつは嫌な人」「この人は優しい人」という記憶だけは残るんですよね~、これが)ことになるので、半分涙目になりながら


「大丈夫、大丈夫。」


と答えるしかありません。  この涙、蹴られた痛さ、他でもない自分の母親から蹴られたというショック、その認識のない母へのショックといろいろ入り混じった涙なんだけど、何かにぶつけた痛みか何かだと勘違いしているらしいばぁばは、涙をふくためのタオルを手渡してくれたり、背中をさすってくれたりとやたら優しかったりします。  その姿が逆に哀れで、止まりかかった涙が又噴出してくるので文字通りこちらは全身びしょ濡れです (苦笑)


さて、この「何でも拒否症状」。  お風呂関係だけだったらまだいいんだけど、一日のうちで何度も何度も発生します。  歯を磨くのもイヤ、顔を洗うのもイヤ、薬を飲むのもイヤ、洋服を洗濯するのもイヤ、布団を干すのもイヤ、食事を食べるのもイヤ、お散歩もイヤ、リハビリに行くのもイヤ・・・・・ etc. etc。  「じゃあ、何ならいいのか?」を聞いてみると


「何もしないでボ~っとしているのがいい。」


と返ってきます。  でも別のタイミングでは


「1日中頭の中がボ~っとしていて、自分がどこにいるのか、誰なのか、何をしているのかもよくわからなくて、こういうのはイヤなの。」


なんぞとも言います。  最初のうちは KiKi も何が何やらわからなくて、かなり戸惑ったんだけど、ばぁばを毎日観察していてひょっとしたらこうなのかもしれないと思ったことがあります。  ばぁばは言葉通りの意味で「ボ~っとしているのがいい」わけじゃなくて、何かをしようとしても手順がわからなかったりどこまで何をしたのかをすぐに忘れちゃうのがイヤで、そんなことになるぐらいなら「何もしないでボ~っとしている方がマシ」ぐらいの意味合いで言っているのかな・・・・・と。

何でも拒否するのは、例えば歯を磨いても歯を磨いたことを歯ブラシを置いた瞬間に忘れちゃうんです。  だから1度磨いたから今日は次の食事が終わるまで磨かなくていいんだとは思えない。  結局歯ブラシを前に「磨いたんだったかしら??」と考え込むことになってしまい、挙句考えても考えても、思い出そうとしてもわからない。  何度同じ動作を繰り返しても結局、「(小さな)やり遂げた感」を持つことができないから、終わりが見えない。  だからそもそも歯ブラシが目に入らない方が悩まないですむ ≒ 磨いたってしょうがない(忘れちゃうんだから)・・・・・というような結論なのかなぁ・・・・と。  

認知症に罹患してからばぁばは口を開けば「面倒くさい」「○○したってしょうがない」と言うようになりました。  元々のばぁばは好奇心旺盛な人で多くのことに興味を持っては「とりあえずはやってみるタイプ」の人間でした。  でも、今ではそんな片鱗さえ残っていません。  どうしてここまで変わってしまったのか??  これは結局「やり遂げた感」からくる小さな満足を感じることができなくなってしまったうえに、やっている途中で何をやっているのか、何のためにやっているのかを忘れちゃっている自分に否応なく気がつかされるのが怖くて逃げるようになっちゃったのではないか?  そんな風に感じます。

さて、これらの拒否症状ですが、これに対する時、あまりしつこく「ねぇ、○○しましょうよ。」などと言うとどんな反応が返ってくるかわかりません。  手近なところにある本や新聞が飛んでくることアリ、人を押し退けることアリ、叩かれることアリ。  つまり結果的に本人が「その気」になるまで(≒ 拒否しなくなるまで)、こちらは延々と気長に待ち続けることが必要になります。  1日の中で何か一つだけ拘りがあって、それを待つというならまだ耐えられると思うんですよ。  でもね、これを日常生活のフェーズ、フェーズで片っ端からやられると、普通の神経の人間は参ってきてしまいます。  少なくとも KiKi は参っちゃいました。  

だって例えて言うなら朝起きたら顔を洗って・・・・・・の顔を洗うのがようやく昼過ぎとか夕方だったりするわけですよ。  自分のペースを乱されるという以上にどんどん一般的な、常識的な、絶対多数が日々を過ごしている世界からは異なる価値観、異なる時間軸で動いている世界に吸い込まれていくような感覚に陥るわけです。  まして、介護生活では外部との接点が著しく減少します。  とにかく目を離すことができないから、どこかへ出かけるな~んていうのはもってのほかだし、そもそもほとんど寝ることさえできていないから外出するような体力も気力も萎えています。  そして社会の営みからははずれたところで、自分がどんどん萎んでいく感覚に陥ると先に見えてくるのは燦然と輝く「鬱」の文字だけ・・・・・・。

こうして KiKi は少しずつ少しずつ、自分が病んでいることを自覚するようになっていきました。



to be continued .........


       

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このページは、KiKi (Brunnhilde)が2013年10月18日 06:30に書いたブログ記事です。

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