我儘なじぃじ

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じぃじは大正生まれ。  7人兄弟の末っ子です。  戦争体験があるうえに子供時代に住んでいた池袋のお屋敷は東京大空襲で焼け落ちてしまったので人並みの苦労はしてきているのですが、それでも父親(KiKi の祖父)がお金持ち(但し早世)だったため、静岡県は興津なる町(西園寺公望の別邸やら井上馨、伊藤博文の養子の博邦、松方正義らの別荘があった所)に別荘を持っていたので復員後に帰る家はあったし、その別荘という名前のお屋敷にもお手伝いさんがいたりした、いわゆるお坊ちゃん育ちです。  金持ちの末っ子で年長の兄弟とは親子ほども歳が離れ、お手伝いさん付きですから当然のことながらかなりの我儘です。

祖父が金持ちだったとは言え、本人はしがないヒラの教員だったし、祖父の遺産はその大半が戦争で失われてしまったため、KiKi が育った環境は決してお金持ちのそれではなく、いわゆる普通のサラリーマン並みの生活でした。  でも、じぃじは独立するまで「お坊ちゃん」として育てられた人なので、どこか金持ち趣味的なところがあります。

その金持ち趣味が顔を出すのはまずは食べものです。  着る物や時計・靴といった装身具系、車というような道具系にはまったく拘りを持たない人で、スーパーの安売り製品や大衆車で満足できちゃうんですけど、食べ物に関してはちょっとうるさいんですよね。  キャビアやらフォアグラといった高級食材に対する拘りはないけれど、お茶なんかはスーパーのお徳用とか玄米茶は論外だし、コーヒーもインスタントはダメ。  紅茶も日東紅茶はダメだし、ティーバッグも許せない。  牛肉は輸入肉は論外で黒毛和牛の切り落としならOKみたいな感じです。

そんなじぃじなので、当然のことながら老人ホームの食事が口に合いません。  現在入居している老人ホームは体験入居の際から「食事が口に合わない」と言っていたのですが、認知症を患い要介護4のばぁばと一緒に入居できる環境だったために「食事はそのうち慣れる・・・・」と言って自分で複数の候補の中から選択した場所であるにもかかわらず、KiKi が訪問するたびに文句を言っています。

さて、そんなじぃじの所に、実家で暮らしていた頃に資料を集めた中の1つの老人ホームからお手紙が届きました。  当時、その老人ホームは満床で受け入れてもらえる余裕がなかったため、候補から外されていたところだったんですけど、たまたま今回空き部屋ができたので、勧誘のお手紙を実家に送って下さったのです。  現在、実家は留守宅になっているので、郵便局に郵便物の転送依頼を出してあります。  結果、老人ホームにその手紙(宛名は KiKi 宛)が転送されてきたわけです。

そのホームは住み慣れた静岡県であるうえ、じぃじの大好きなエリアでもある「伊豆高原」にあります。  そして同封されたパンフレットには静岡県ならではの駿河湾で採れた魚のお刺身やら天ぷらの写真が載っていました。  そんなものを見ちゃった暁にはじぃじの我儘癖がムクムクと頭をもたげ、いてもたってもいられなくなっちゃうこと間違いなしです。  そして案の定、前回 KiKi がばぁばのひざかけをお届けしに老人ホームへ行った際に、「ここを見てきてくれ」とのたまいました。


パンフレットを見る限りでは確かに食事はご馳走っぽいし、何よりエリアが悪くない。  群馬県はどこか田舎臭いところがあるけれど、伊豆高原にはコジャレ感があります。  しかも温泉付きです。  これはじぃじにとってはパラダイスに見えても不思議じゃありません。  でも問題は「温泉付き」ということで、このことはお部屋には個別のバスがついておらず、大浴場しかないことをも意味しています。  そして現在ばぁばは辛うじて部屋風呂であれば何日かに一度は入るものの、入居して以来施設の大風呂に入ることを拒否しまくっています。

実はばぁばは昨年末の大腿骨骨折での入院後、一度もお風呂で洗髪していません。  自宅で在宅介護している時も KiKi が何度かトライしたのですが、拒否が激しくて洗髪だけはどうしてもさせることができませんでした。  仕方ないので、ドライシャンプーで数回汚れを落としたけれど、それであってもかなり嫌がりました。  介護の素人の KiKi にはできなかったけれど、老人ホームの介護の専門職の方なら何とかなるのかな?と期待していたのですが、報告を聞く限りでは失敗続きとのこと。

その報告によれば、お風呂の前まではスタッフさんの誘導に素直についていくものの、その入口付近で抵抗を始め、挙句大騒ぎとなってしまい、結局洗髪(& スタッフの見守りつきの入浴)を断念しているらしいんですよね。  まあ自宅介護の際にもお風呂に入れるのは一苦労だったので、 KiKi にしてみれば

「おやまあ、介護のプロでもばぁばを入浴させるのは難しいんだ・・・・・。  それじゃあ KiKi が苦労したのも無理ないか・・・・・」

てな感じなわけです。  で、じぃじは自宅で暮らしていた際にはばぁばが入浴したかどうかなんて気にもしていなかったし、そのためにどれだけ KiKi が悪戦苦闘していたのかも興味なし。  さらに言えばばぁばがほとんど入浴していなくても気がつかない もしくは それに気がついていても気にならないというような人なんですよね。  もっと言えばばぁばが何日も着替えをしていなくても気にならないし、ヘンテコな格好をしていても気にならない。  要するにその類のことには全く興味がないわけです。  何せ自分勝手ですから・・・・・(苦笑)

ま、そんなわけで、KiKi としてはますますお風呂に入らなくなるわ、KiKi が訪ねるのが大変になるわ、食事だってじぃじが期待するほどの御馳走になる保証はないわという状況だから老人ホームの引っ越しにはあまり乗り気じゃないわけですが、齢89の爺様が会うたびに食事の苦情を訴えているのに無視するのも可哀想と言えば可哀想なわけでして・・・・・・・。  そこで仕方なく、14日の月曜日から17日まで沼津の実家に帰り、庭の整理やら家の掃除をしつつ、じぃじが執着し始めた「伊豆高原の老人ホーム」の見学に行ってきました。  台風が直撃した直後だったけど・・・・・。  

さて、一番肝心なお食事に関してですが、見学にお邪魔させていただいた際に ダーリン & KiKi も昼食をいただきました。  そのメニューは?と言えば、昼食だから当然・・・・ではあるけれど「刺身」も「天ぷら」も供されませんでした。  そしてついでに言うならお味の方もさすが静岡県!と感動するほど美味しくもありませんでした。  仮に食事に対する期待ばかりに胸を膨らませてここへ移動してもじぃじがすこぶる満足するとは思えない・・・・・というのが正直な感想でした。

そして極めつけはやっぱりばぁばが要介護4の認知症患者ということで、とりあえず施設長さんと色々お話させていただいた際には「受け入れは多分OK」とのお返事を頂いたのですが、最終的には介護スタッフさんと打ち合わせが必要で介護スタッフのOKが出る確率が100%とまでは言いきれないとのこと。  ばぁばのように認知症の症状だけは悪くて、身体的にはどこも問題がない人(要するに自由自在に動き回る人)というのは実はかなり手がかかります。  下手をするとスタッフさんが1人、張りつき状態にならなければいけないこともあるので、これまでにも多くの施設で「お父様は受け入れOKですが、お母様は入居審査会でOKが出ない可能性があります。」と言われ続けてきています。

「やっぱりねぇ・・・・・」

さて、今回の移動のメインの用事が片付いたので、ついでに18日の金曜日には KiKi の池袋のマンションの DM 廃棄処分とか金融機関巡り・区役所巡りをするために東京に一泊。  そして昨日、東京から2人が暮らす老人ホーム経由でLothlórien_山小舎に帰ってきました。

じぃじに庭掃除の話をしたけれど、ほとんど興味を示さず・・・・・。  そして「伊豆高原の老人ホーム」の報告に入ると、自分に都合の良い思い込み全開のお説を展開し始めます。


「少なくとも刺身や天ぷらを食う機会はここじゃ望みようがないけれど、年に数回なら食えるんだろ?」
(← 知りませんよ。  でもしょっちゅうじゃないことは覚悟しないと・・・・。  少なくとも私たちは刺身も天ぷらも食べませんでした。  そしてあの写真とは雲泥の差のお昼ごはんだったとしか言いようがありません。)

「温泉だったら、ばぁばだって嫌がらないで入るんじゃないか?」
(← そこが「温泉」か「銭湯」かも認識できないばぁばが「温泉だったら嫌がらない」と思える根拠は何??  それはじぃじの価値観です!  試してみてダメだったじゃ済まないでしょ。  ずっと拒否し続けたら抵抗力がなくなるまで延々と入浴なしになっちゃう可能性は否定できないんです。  そっちの方が問題でしょ!  )

「伊豆高原だったら観光地も近くにたくさんあるから、ちょっとしたツアーの機会も多いんじゃないか?」
(← だ・か・ら、そういう普通の老人と同じような楽しみをどうしても優先したいなら、ばぁばと一緒に同じ施設に入居することは諦めてください。  じぃじは普通の年寄りだけど、ばぁばは違うんです。  病院からさえも追い出されるくらいなんですから。)

注) 上記()内は KiKi のホンネです。  でも、もちろんこんな言い方はしませんよ。  もっとソフトにやんわりとこれ↑と同じような趣旨のことを言葉を選びながら言います。


さて、この後、極めつけの我儘発言がじぃじの口から飛び出しました。  実は老人ホームというところは現金を持っていなくても暮らせるところです。  例えば週に1度のお買い物ツアーの時など、施設が仮払いをしてくれて、後日月々の経費と一緒に銀行から自動引き落としすることができるのです。  でも、じぃじは「自分で現金を持っていたい人」なので、わざわざお部屋に耐火金庫を入れ、そこに通帳から手持ち現金からを入れて自分で管理しています。  

で、今回、老人ホームに入居するにあたり、それまでのじぃじのメインバンクだった静岡県の地方銀行では「引落手数料」がかかるため、わざわざ「お小遣い口座」として郵便局に口座を作りました。  更にはキャッシュカードも作り(このキャッシュカードを受け取るためだけに、ダーリン & KiKi は群馬⇔沼津の往復までしました)、郵便局がどこにあるかも調べ、そこまでだったら必要に応じてホームが無料で送り迎えしてくれることも調べあげて、手持ち現金の補充方法もちゃんと事前に決めてありました。  ところが・・・・・・

「そうだ。  ところで、そろそろ私の手持ち現金が底をついてきたんだ。  だから沼津の家の側の○○銀行へ行って金を下ろしてきてくれ。

「・・・・・・・  ちょっと!  たった今、沼津から高速を使って帰ってきたばかりなのに、勘弁してよ。  まだ私たちは自宅にも戻っていないのに、又、往復しろって言うの??  だいたい、お小遣い用の口座が必要だからということでわざわざ郵便局に口座を作ったじゃない。  何でそれをわざわざ静岡県まで半日以上かけてお金をおろしに行かなくちゃいけないわけ?」

「・・・・。  でも、郵便局がどこにあるかわからないし・・・・・・。」

「駅前にあるし、そこまでなら施設が送り迎えしてくれることは事前に確認したでしょ。  だからわざわざ郵便局に新しく口座も作ったし、キャッシュカードも作って、そのカードを受け取るためだけにも私たちは一度群馬⇔沼津を往復しているのに・・・・・。」

余りのことに、KiKi もついついポンポンと言い返してしまったんですけど、これってひょっとしてじぃじも「認知症」が始まっちゃった兆候だったんでしょうか??  もしもそうだとしたら、とてもじゃないけれど「現金・預金管理」を本人にさせておくわけにはいかないんですけど・・・・・。  一応、じぃじは「認知症ではない」ことを前提に、本人の希望もあって「現金・預金管理」を任せているんだけど、見直す必要があるかもしれません。

いずれにしろ、爺様の我儘に振り回されっぱなしの ダーリン & KiKi なのでした。


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私が貴ブログの介護・看護シリーズをかじりつくようにして
読ませていただいているのは、私が十年先にどれだけ
周囲の人々にご迷惑をかけることになりそうかという
ことをその中から感じ取ろうとするからです。
これまで読ませていただいて、貴家のケースにおいては
ご尊父様のキャラクターが、状況に大きく影を落としている
のではないかと感じていましたが、やはりKiki様、そのところは
しっかり認識していらっしゃるのですね。
Katz家の"The Jeeji"である私にとっても、他人事では
ないなあ、という感を深くします。
只今齢77の、
Katz of Kuzuha拝

早速のレスポンス、有難うございます。
> じぃじが折れるしかない状況が多発している 
Katz家ではそれが常態化しています。もっともそれが
問題の単純化にどれだけ寄与しているかわかりま
せんが・・・(笑)
『男は“忍”の一字』をモットーとしていますが
しばしば「松の廊下」現象を惹起している、
Katz of Kuzuha でした。

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