日本人が知らない世界と日本の見方 中西輝政

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14日~19日にかけての群馬→沼津→伊豆高原→沼津→東京→群馬(老人ホーム経由)の旅の間、現在遂行中の「岩波少年文庫全冊読破企画」のための1冊、「二年間の休暇」を持ち歩いていました。  でも結局そちらには手をつけず、実家にいる時しか読むことができない世界少年少女文学全集の中から「ジャングル・ブック」をまずは読了しました。  さてその次は?と考えた時、スケジュールの関係でとても読了できそうになかった「世界少年少女文学全集」のその他の作品は諦め、東京で区役所とか金融機関を歩き回りながら読むのに便利な電子ブックに手を出しました。  本日の KiKi の読了本はこちらです。

日本人が知らない世界と日本の見方
著:中西輝政  PHP電子

BT000015378600100101_tl.jpg  (Amazon)  (Sony Readers)

「戦争の教訓」は第二次世界大戦ではなく第一次世界大戦にあった!  トルコはなぜEUに入れない?  「アンチ・グローバリゼーション」へ向かう世界潮流とは?  社会人を含めて聴講希望者が多く講義録の刊行が待たれていた授業が、満を持してこのたび、書籍の形で世に出ることになった。  解説学問に成り果てた従来の国際政治学の枠組みを超えて、日本の国家像と戦略を指し示すことで、「世界と日本の見方」がクリアになる一冊。  ゆとり教育で学ぶ世代が増え、日本人自身が世界はもちろん、「日本の見方」さえわからなくなっている現在、本書はそれらを知る絶好の機会といえよう。  元となった京都大学での講義は「現代国際政治」と銘打ったものであるが、テーマは近代日本史から戦争の仕組み、革命の正体、世界秩序の構築といったものまで幅広く、読んでいて飽きさせない。  さらに歴史の因果関係や国同士のかけひきを知るなど、大人が読んでこそ楽しめる授業内容である。  (Sony Reader Store より転載)

この本は別に以前から読みたいと思っていたわけでもなく、存在を知っていたわけでもありませんでした。  たまたま9月の末で有効期限が切れてしまう Sony Point があって、捨てちゃうのも勿体ないし何かあれば・・・・と Sony Reader Store を覗いてみたらその切れちゃうポイント見合いの本の中で、「これなら読んでみてもいいかも♪」と思えたのがこの本だけだったので、とりあえず購入してみました。  大学を卒業して早○0年余り。  たまにはアカデミックな本を読んでみるのもいいかなぁ・・・・なんぞと殊勝なことを考えてみたっていうわけです。

実は KiKi は大学時代(2回生から3回生に進学する時)にそれまで専攻していた「英文学」でこのままいくのか、はたまた別の方向に進むのか悩んだ時期があったんですよね~。  その時に考えた別の方向っていうヤツが「国際関係論」で、たまたま大学の一般教養課程で選択した「国際関係論」の授業に嵌っちゃって、学問としてはこっちの方が面白そう!なんぞと考えたんですよね~。  その時は、当時の指導教授(英文学の教授)に相談して、結局は説得されて英文学の道を継続することにしたんだけど、心の中のどこかに「国際関係論」とか「国際政治論」への興味はわずかながらもくすぶり続けていたんですよね。  ま、てな背景があって見つけたこの本だったので、「あの京大での現代国際政治の講義」という帯(電子書籍だから帯はないけど・・・・ ^^;)の文言は実に魅力的だったっていうわけです。

さて、読了してみてまず思うのは、「え?  これがあの京都大学の講義??」ましてや「3回生や4回生も聴講生には含むレベル?」というのが率直なところでした。  何て言うか、「天下の京大にしてこのレベル??」と思っちゃった(苦笑)  もちろん読み物としては面白かったし、アカデミックな世界からは随分遠のいた今の KiKi にしてみれば忘れかけていたあれこれを反芻できて楽しい読書体験だったんだけど、京大みたいな最高峰に位置するとされる大学での講義であってさえも KiKi が卒業した大学のあの「国際関係論」の授業と比較して、決して高いレベルとは感じられない・・・・・。  これが現代日本の知的文化レベルだとするとちょっと将来を危ぶんでしまいそうな想いに囚われました。

ただ逆に言えば、大学を卒業して何年も経って、学究の道からは遠く離れてしまって、逆に一当事者として現在の国際社会の中で目の前に提示された命題に取り組み、何らかの活動をしてきたような社会人にはいい本だなぁと感じました。  つまりとかく些末な部分に振り回されがちな現実問題から一歩下がってもう一度「現在」や「現在に至る流れ」を振り返り、そこに流れる思想的潮流やら文化的変貌を整理して考え直すとっかかりには非常に適したテキストだと感じました。

著者の意見に100%賛同するわけでもなかったけれど、第1講の「戦争の仕組み」と第4講の「アングロサクソンとは何か」は無条件に面白かったと思います。  KiKi も「戦争責任とは何ぞや?」とか「平和教育が本当に平和をもたらすのか?」というあたりは常々考え続けていることだし、まして「実は恐ろしい民主主義」というのも感覚的にはそう考えているところがあるので(だからといって「独裁制がいい」とは思っていません 念のため)そういう意味では「そう、そう」と頷けるところが多々ありました。  又、40代以降は「時代が進めば世の中は進歩していく」と楽観的には考えられなくなってきているし、「正義という言葉ほど胡散臭いものはない」とも思うようになってきているので、そういう面ではかなり共感することができる部分もありました。

「パクス・ブリタニカ」→「パクス・アメリカーナ」な~んて言う言葉はもう久しく使っていなかった(だって日常生活では必要ないし・・・・ ^^;)けど、久々に接して懐かしさみたいなものを感じました。  個人的には相変わらずアメリカは世界の超大国ではあっても「パクス・アメリカーナ」はとっくに終焉していると考えているので、今の時代をどう呼べばいいのかに興味があります。  ただ、今現在も国際社会の中で起こっている様々な出来事にはアメリカの思惑が見え隠れするし、相変わらず彼の国は「自由」「民主主義」「市場主義」を標榜し、それを画一的に広めようとしているし、そのツールとしての「グローバル・スタンダード」なるものの布教活動にも熱心だから、まだまだアメリカが世界をリードしていくように見える覇権構造は続くのでしょうけど・・・・・。  (もっともかなり行き詰まっている気配も濃厚だけど・・・・・ ^^;)

さて、ちょっと残念だったのは、ここからさらに一歩進んで何かを考察するのに適するテキストの紹介が全くと言ってないことでした。  著者も仰るように日本のマスメディアにはそれはあまり期待できないと KiKi も思っているので、せっかくこの本で興味を持ったテーマ(実に網羅的、巨視的、文明論的なんですよね)をさらに突っ込んで考えるための読者サービスがあってもいいのではないか?と感じました。  まあ、この本の成り立ちが講義録の書籍化ということなので、講義の際には「このことに興味があれば、別途質問にいらっしゃい」で終わってしまっているというのもあるから故の中途半端さだとは思うんですけどね。  

文中に過去の「国際関係論」関係の論文はいくつか紹介されているんですけど、それってこっちの分野に興味のある人にとってはある意味でおなじみのものばかり・・・・・。  できれば最近の資料の紹介が欲しかったなぁ・・・・と思うわけです。  と言うのも、社会人の場合(というより KiKi 個人の場合か?)は他にも何かと忙しいわけで、世に出る論文を片っ端から読む余裕はないうえに、そればかりを追いかけてもいる時間も経済的余裕もありませんから・・・・・・。

いずれにしろ KiKi 個人は現代社会、それもパクス・アメリカーナにどっぷり浸った英・米・日の社会(ドイツ、フランス、ロシア、中国あたりは表面的なことしか知らない ^^;)をとりまく問題の多くの根っこは「プラグマティズム偏重」にあるのではないかと思っているので、そのあたりを今後もあれこれと考察してみたいと考えています。  久々に「児童文学」からちょっと離れてみるとこれはこれでなかなか刺激的で面白いものでした。    

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このページは、KiKi (Brunnhilde)が2013年10月21日 11:04に書いたブログ記事です。

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