え? そうだったの?? 認知症 その3

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ダーリン & KiKi が同居介護をしていた約半年、最初にめげたのは「寝かせてもらえない」ことでした。  そして次に精神的に滅入らせてくれちゃったのは「何でも拒否症状 with 暴言 & 暴力」でした。  知り合いやらご近所さん、親戚の方たちなんかに

「ご両親も KiKi ちゃんには感謝されているわね~♪」

な~んていうことをよく言われたものですが、実態は「感謝」なんていう言葉とは程遠い・・・・・。  何せ、何でも拒否しまくりのうえ、時に暴言や暴力が飛んでくるわけですし、そこまでいかなくても口癖のように言うのは「意地悪された。」、「嫌なことばかり言う。」、「ほっといて!」の3拍子。  別に感謝して欲しいと思っていたわけではないけれど、こちらの善意が悉く通じない相手との共同生活というヤツは「じゃあ、勝手にしろ!」という気分をもたげさせるには十分すぎるわけでして・・・・。

そんなささくれた気分でいる時に、「ご両親も~」みたいな発言を聞かされるとその方に悪意がないことは百も承知なんだけど、正直な所かなり複雑な気分になります。  そのお一人お一人にわが家の生活実態を説明する気力もなければ、ばぁばがそこまで壊れてしまっていることを宣伝するのも悲しすぎるわけで、適当に

「はぁ。  だといいんですけど。」

みたいな受け答えをすることになります。  すると、これまた善意丸出しで

「絶対、そうよぉ~。  そうに決まっているじゃない。  あなたにも生活があるのに大変よねぇ・・・・。  偉いわぁ。」

なんていう念押しまでされちゃうと、返す言葉にも詰まります。  「偉くなんかないよ。  だって今日も『じゃあもう勝手にしろ!』な~んて思ったぐらいだし・・・・・。」と思い出し、自己嫌悪に陥ります。  そして、同居していなかったらできていただろうあれこれが否応なく思い出され、情けなさや焦燥感を感じたり、何をしてあげても感謝されるわけではないことを逆に思い知らされ、その事実に少なからず傷ついたりもします。  でも介護の実際はそんな個人的な想いに浸っている余裕はありません。  だいたい「お茶をゆったりと飲む」ことさえできなかったりもするのです。  今日はそのお話です。

先に挙げた2つに追加で KiKi を滅入らせてくれちゃったのは、「朝から晩までのべつまくなしに続くゴハン攻撃」でした。  要介護4の認知症患者は満腹中枢も正常には機能していない(?)ので自分が食事をしたか否かは覚えていません。  だから、最初のうちはばぁばのこのゴハン攻撃は 「何かを食べさせてほしい」という意思表示だと思っていました。  でも、しっかりと3度の食事はしていたので食べ過ぎでお腹を壊してもいけないと思って、このセリフを聞くたびに「ふわふわのお煎餅を2枚ぐらい」 とか 「りんごを一切れ」とか、いわゆる「おやつ」を出したりしてみました。  それでも結局

「ごはん、ゴハン、ご飯」

と言い募ります。  これが食事から30分とか1時間以上経過しての発言だったらまだいいんだけど、たった今ご飯を食べ終わり、ようやく食器のあと片付け終わって「さてお茶でも一服・・・・・」と椅子に座りかけた時なんかにもやられるわけです。  そこで仕方なく

「朝ごはんは今、食べたのよ。  忘れちゃった??  お昼ごはんまではまだ4時間以上あるから、しばらくはご飯のことはお休みにしない?」

な~んてことを言ってみるわけですが、返ってくるのは

「私は食べていませんよ。」

という返事か

「あら、そうなの。  じゃあ、もうちょっとしたらお昼の支度をしなくちゃね。」

のどちらかで、「食べていない」という時はとにかく何かを食べさせなければ治まらないし、「もうちょっとしたら」という時は、そのもうちょっとが1分と立たないうちに経過して、また

「今日のご飯は?」

と言い続け、これがエンドレスで続きます。  これにはほとほと参りました。  でもね、そうこうしているうちにこの「ゴハン攻撃」にはいくつかのバリエーションがあることに気がつきました。  「今日のご飯は?」で終わってしまうことが多いんですけど、ごく稀にそれにもう少し長いセンテンスが続くんですよ。  それはね、

「今日のご飯は何を食べたいですか?」 

「今日のご飯は何人ですか?

「今日のゴハンはもう仕掛けてあるんだったかしら?

というようなもので、まるでお母さんが子供や亭主に問いかけているような雰囲気なんです。  この時点でばぁばは全くと言っていいほどお料理ができなくなってしまっていたし、仮にばぁばに1人で食事の支度をさせてみると、冷蔵庫に入っているもの(時には食材そのまま)をテーブルに並べてボンヤリしているのが関の山だったので、KiKi は無意識のうちに「ばぁばにはもう食事の支度はできない」→「食べさせてあげるのが当たり前」→「ばぁばも食べさせてもらうのが当たり前だと思っている」と決めつけていたようなところがあったんだけど、どうやらばぁばはできる・できないは別にして「食事の支度をして食べさせてあげたい。」と思っているのではないか?  そんな風に思い当りました。  多くを忘れ去った記憶の残骸として「主婦のつとめを果たさなければ」という意識だけは残っているんだ・・・・と。  

自分がもう料理はできないことは忘れていて、仮に上記の質問に「今日はトンカツがいいかな。」「今日の食事は全部で4人よ。」「ゴハンはまだ仕掛けていないからよろしくね♪」と返事をしたとしても、それが実行できるわけではないけれど、それでも「何かを作って食べさせたい」という意識だけはものすご~く強いのかもしれない・・・・。  そうだとしたらとにかく何かを作ってもらう(一緒に作るというべきか?)のが一番かもしれない・・・・・。


そこで可能な限りばぁばと一緒に台所に立つことにしてみたんだけど、これはこれで大変であることがすぐに判明します。  例えばお味噌汁なんかはできれば食事の直前に作りたいわけだけど、「ゴハン攻撃」が始まった時の時間つぶしの1つとして作り置きすることに決めて

「じゃあ、お味噌汁を作りましょうか?」

と言ってみます。  すると嬉しそうに台所に立つんですけど、まず最初のステップで早速躓きます。

「お味噌汁はこの鍋でいいかしら?」

と取り出すのが大型のパスタ鍋だったりします。  要するにお味噌汁のイメージはあるものの、それを作るのに適したサイズの鍋がどれか?はわからないんです。  そこで、昔からばぁばがお味噌汁用に使っていた鍋を取り出し、

「そのお鍋だとちょっと大きすぎるからこっちにしない?」

と言うと、その場では「そうね、ちょっと大きすぎたわね。」な~んていう返事が返ってくるものの、今度は適当な水の量がわかりません。  そして、

「お水はどれくらいならよかったんだったかしら?」

と、こうきます。  これが「だしはどうする?」、「そのだしはどこにある?」、「具には何を入れる?」、「具材はどこにある?」、「包丁とまな板はどこにある?」、「具材はどれくらいの量をどのくらいの大きさに切ればいい?」、「お味噌はどこにある?」、「お味噌はどれくらいの量を入れればいい?」、「どれくらいの時間火にかけておけばいい?」 とお味噌汁を作る時のステップの一つ一つで判らなくなり、時にその判らなさに荒れ、興奮状態に陥りそうになります。  

そこでできるだけプロセスのシンプルな作業をさせようとお魚を焼くことを任せてみると、ああいう待ち時間のある作業はばぁばには無理であることが判明します。  お魚を焼いている最中だということを忘れちゃうので、適当な時間になったらひっくり返すということができません。  真っ黒焦げになるか、半焼き状態の焼き魚が出てきます。

お米を研いで炊飯器を仕掛ける作業を任せてみると、炊飯器のタイマーを弄繰り回した挙句予想外の時間に炊き始めちゃったり、炊飯中の炊飯器の蓋を開けて何とも不思議なゴハンが炊きあがっちゃったり・・・・・。  更には少し前に一緒に作ったばかりの味噌汁に何故か醤油やらお味噌の追加を入れたり・・・・・。  そんなことが繰り返されると結局、何もやらせることができないと思わざるをえなくなって、「やっぱり私が作るから待っていて」と言う結論になったりもするわけですが、その問答の直後こそ「わかりました。」な~んていう殊勝なことを言うものの、食事の支度が整って声をかけた時には不機嫌モード Max になっていて

「そんな知らない人が作ったゴハンを食べるくらいなら、私は餓死します!」

な~んていうことを言い出します。  結局、何か台所仕事をやってもらうようにしなくちゃいけないんだけど、やってもらう作業を見つけるのが一苦労です。  あれこれ試行錯誤の末、同居介護の最後の頃には「ひたすら豆の筋を取る」とか「ひたすら野菜を刻む」とか「ひたすらサラダをかき混ぜる」といったような、作業自体に待ち時間が発生せず、手を動かし続けるような作業をお願いするようになったんですけど、そうなるとこういう作業はそれほど時間がかかるものでもないので、常識的な食事の準備時間で終わってしまうから、それ以外の長~い昼間の時間帯に四六時中言い続ける

「ゴハンはどうしますか?」

には耐え続けるしかありません。  朝から晩までゴハンのことを言われ続け、作業をお願いした時には目を離せず、とにかく機嫌を損ねないように気を遣いまくっていると普通に食事の支度をする何倍も精神的に疲れます。  そして後片付けを終えて「ちょっとお茶でも一服」と思えば又「ゴハン!」。  ゴハンよりもお風呂・・・・と誘導してお風呂に入れたら石鹸を投げつけられ、お風呂からあがって寝間着に着替えさせようとすると足蹴が飛んできて鼻血、ようやく自分の順番が来たとのんびりバスタブに浸かっていると浴室の照明を消され、布団に倒れ込むようにして飛び込むと寝かせてもらえずに叩き起こされる・・・・・・。  これが毎日、毎日、飽きもせずに繰り返されるのです。  

そうこうしているうちに KiKi は本気で

「このままではこっちが持たない・・・・・・。」

と感じ続けるようになっていきました。



to be continued ...........

       

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このページは、KiKi (Brunnhilde)が2013年10月23日 10:35に書いたブログ記事です。

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