ジャングル・ブック R.キップリング

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本日の KiKi の読了本は子供時代の KiKi の宝物、「世界少年少女文学全集」の中の1冊からこちらの作品です。

ジャングル・ブック
著:R.キップリング 訳:西村孝次  河出書房新社 世界少年少女文学全集第4巻 イギリス編3より

2013_Oct15_002.JPGのサムネール画像

インドのジャングル。  赤ん坊の頃、狼の一群に紛れ込んだ人間の少年モーグリ。  熊のバルーや黒豹のバギーラの深い愛情に包まれ、賢く勇敢に成長する。  宿敵の虎シーア・カーンとの命をかけた闘い!  ディズニーアニメの名作の小説版。  (Amazon の同タイトル本の解説より転載)

この本では写真にもあるように「宝島」とこの「ジャングル・ブック」の2篇が収録されています。  そのため、「宝島」の方は全訳なんですが、「ジャングル・ブック」の方は抜粋版となっています。  実は「ジャングル・ブック」というのは長編ではなくて、短編集のような形の物語集です。  その中で「モーグリの兄弟」、「カーの狩り」、「虎! 虎!」の3編は狼に育てられた人間の少年モーグリが主人公となっており、それ以外の「白あざらし」、「リッキ・ティッキ・ターヴィ」、「象トゥーマイ」、「女王さまの召使たち」にはこのオオカミ少年は登場せず、彼が暮らすジャングルとは別の世界のお話になっています。  でも、もちろん作品全体のタイトルが「ジャングル・ブック」であることから明らかなように全ての物語で動物は登場するし、この動物たちが実に「人間臭い動物」たちであるという特徴を持っています。

今回、KiKi が読了したこの「文学全集」の中の「ジャングル・ブック」で取り上げられているのは上記7編の短編のうち「モーグリの兄弟」、「カーの狩り」、「虎! 虎!」 そして 「リッキ・ティッキ・ターヴィ」の4編で、オオカミ少年モーグリの物語は全て、そしてそれに追加でマングース vs. コブラの戦いにハラハラドキドキさせられるお話という構成になっています。  日本にマングースという動物が持ち込まれたのは明治時代で、目的はハブ退治だったらしいのですが、結果は惨憺たるものでハブを退治する代わりにニワトリやアヒル、野鳥などを襲いながら次第に数を増やしていったのだそうです。  そして、ついには沖縄にしかいない貴重な生き物・ヤンバルクイナが生息する森林地帯にまで生息範囲を広げてしまったとのこと。

今では「のだめちゃん」のおかげで私たち日本人にもそこそこ馴染みのあるマングースですが、KiKi 自身、ホンモノのマングースを見たことがなかったのですが、ネットで調べてみると数多くのマングースの写真が出てきます。

image_animal.jpeg
↑ 何気に愛らしいマングース


でも、その気になると実は凄いんです!  こんな写真まで見つけることができました。

image_animal2.jpeg
↑ マングース vs. コブラの死闘(の剥製)


「リッキ・ティッキ・ターヴィ」の描写でマングース vs. コブラの闘いの激しさはかなり認識していたつもりだったけれど、こうやって剥製とはいえ実物の戦いぶりを確認すると怖いですねぇ・・・・・・・。


さて、もちろんマングース vs. コブラの戦いはハラハラ・ドキドキさせられちゃうんだけど、物語として印象深いのはやっぱりオオカミ少年の物語であることは、結局のところ「人間族の限界」っていうヤツなんでしょうか?  ある時、虎に襲われた人間の家族が赤ん坊を置き去りにして逃げちゃって、その赤ん坊がどうやって虎から逃れることができたのかは定かじゃないものの、オオカミの巣に逃げ込んできて、怖いもの知らずのこの人間の赤ちゃんの愛らしさににオオカミ母さんが母性本能をくすぐられて、この子を守り育てる決意をするところから物語は始まります。

オオカミ母さんの尻に敷かれている(?)オオカミ父さんは仕方なく、この子をジャングルの会議に連れて行き「かえるのモーグリ」と名付けたこの子をジャングルの仲間に入れてほしいと頼みこみます。  ジャングルではどうやら合議制が採られていたらしい・・・・(笑)  こうしてジャングルの仲間として認められたモーグリは人間でありながらジャングルの社会で暮らし始めるわけですが、そこはやはり異端児です。  皮膚は弱いし、牙もない。  力だってひ弱です。

その代わりに自由に扱える2本の手があるので、そこが皆の助けになることもあるわけですが、やはり「変わり者」としてはじかれることも多々あります。  モーグリを「ジャングルの仲間」として認めた第一世代の力が弱くなってくると彼の居場所はどんどん狭められていき、彼が本来属すべき「人間の世界」に戻らざるをえなくなるのですが、ジャングル育ちの野性児、ジャングルの掟しか知らないモーグリは当然のことながら「人間世界」でも異端児です。

ジャングルからも、そして人間社会からもはじき出されてしまうモーグリという少年のアイデンティティーはどこにあるのか??  これは必ずしもこの物語の主題ではないんですけど、読んでいて深く考えさせられます。  しかもこれ、いくら考えても解決策が出てくるわけでもないんですよね。

そんなモーグリの生涯をかけての宿敵はそもそも彼が人間社会からはずれてしまう(≒ 親たちに置き去りにされてしまう)きっかけを作ったあの虎(シーア・カーン)なんですが、彼はモーグリをオオカミ母さんに奪われて以来ず~っと執拗にモーグリの命を狙っています。  力でこそシーア・カーンに及ばないモーグリですが、知恵では勝るうえに、ジャングルの中には味方と呼べる生き物も多数います。  こうしてシーア・カーンとの死闘の末モーグリが勝利することになるのですが、その行為はますます彼を人間社会から遠ざける結果を生んでしまいます。

この物語はジャングルで育ったモーグリの物語なので、「物質」と呼べるものは全くと言っていいほど出てきません。  文明とか進化という概念とはまったく別の世界の物語です。  でも、この物語ではそんなジャングルにも「ジャングルの掟」と呼ばれる秩序や正義が存在することが描かれています。  生きるためには、自分以外の他の生き物と戦わなければいけないこともある。  でも、そこには「無差別殺戮」のようなものは存在せず、冗談半分や必要に迫られない状態での殺戮は悪であるという精神が貫かれています。

これはひょっとしたら人間が忘れかけている精神なのかもしれません。  

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このページは、KiKi (Brunnhilde)が2013年10月17日 09:15に書いたブログ記事です。

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