え? そうだったの??  介護保険 その5

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さて、「え? そうだったの?? 介護保険」のシリーズ・エントリーはだいぶ時間が空いてしまいましたが、久々にこのトピックに戻りたいと思います。  因みにこのシリーズで書いたこれまでのエントリーの一覧はこちらです。

え? そうだったの?? 介護保険 その1
え? そうだったの?? 介護保険 その2
え? そうだったの?? 介護保険 その3
え? そうだったの?? 介護保険 その4

さて、ようやくばぁばの介護保険は認定が下り、様々なサービスが使えるようになったと一安心したのも束の間、物知らずだった KiKi が思い知らされたのは、「同居家族が1人でも自立なら生活支援系のサービスは一切受けられない」という事実でした。

わが家の場合、齢89のツンボのじぃじはこの時点では介護保険認定を受けていなかったので「自立」、まして住民票こそ移していないもののダーリン & KiKi が実質同居という形だと利用できるサービスは実質的には「デイ・サービス(日中預かってくれる)」、「ショートステイ(お泊りさせてもらう)」、「訪問看護(自宅に訪問看護士さんが来て、医療的なサポートをしてくれる)」、「訪問リハビリ(自宅に理学療法士さんが来て、リハビリ体操をしてくれる)」ぐらいとのこと。  

ばぁばの退院からほぼ1か月。  たまたまダーリンの通院のためどうしてもLothlórien_山小舎に帰宅しなければならなかった KiKi たちは自分たちの留守中のじぃじ & ばぁばの生活を何とかすることを考える必要性に迫られました。

まだリハビリ継続中のばぁばの足のことを考えると、本来なら日常生活の中で何かと注意が必要なばぁばを余所へ預けることは躊躇われました。  でも「家事ヘルパー」さんの助けを得られないとなると辛うじて「自立」のじぃじには1人で何とか1週間ほどの生活を乗り切ってもらって、ばぁばはどこかへ預けてじぃじの負担を軽減するぐらいのことしかできません。  そこでケアマネさんと相談の上、「お泊り付きデイ・サービス」を提供している会社にばぁばを預けてみることにしました。

とは言え、ばぁばの立場になってみると、それまで普通のデイ・サービスさえ利用していなかったのがいきなり「お泊り」までついちゃうわけですから、不安定になることが十分予想されました。  これはあまりにもハードルが高すぎます。  そこで、まずはその会社が提供する「お試しデイ・サービス」を受けてみることにしました。

この「お試しデイ・サービス」の朝はできるだけばぁばを刺激しないように、ダーリン & KiKi & じぃじの3人でばぁばを施設までお見送り。  とにかく1日預かってもらって、帰りは施設の方に自宅まで送っていただきます。  これは肝心要の「お泊りデイ・サービス」の際には施設の方に送り迎えをしていただく必要があるので、その前に「どのくらい記憶に残るか?」は定かじゃないものの施設の方 & 施設の車に慣れてもらうことを意図していました。

ところが、いざ施設に着いてみるとじぃじがそこの雰囲気が気に入りません。  スタッフさんにばぁばを預け、とりあえず暫くはじぃじにもばぁばに付き添ってもらって、KiKi & ダーリンが施設の事務スタッフさんと事務手続きの打ち合わせを2階でしているところに、見るからに不機嫌そうなじぃじがふらりと現れました。  そして

「あの人がもう帰りたいと言っている。  このままだと興奮状態に陥り、こちらにもご迷惑をおかけするから連れて帰ろう。」

と言い出しました。  「やっぱりそう来たか!」と内心は思いつつも、「どうしても連れて帰りたいならそれはいいけど、来週からの4日間はどうするの??  お母さんを預かっていただくところがないと24時間お父さん1人で介護が続くことになるし、家事全般、全てお父さん1人でやらなくちゃいけなくなるのよ。  お母さんはお風呂だって介助が必要だし、着替えだって今はもう1人じゃうまくできないのよ。」 と説得にかかる KiKi & ケアマネさん。  「だいたい、今日はお試しなんだから、そのお試しさえも遂行しないでどうするの?」と聞くと、無言です。


ようやく口を開けば「何とかなる。」「買い物さえ誰かに手伝ってもらえれば食うものは何でもいい。」「風呂なんて4日ぐらい入らなくても季節は冬だから大丈夫だ。」「外に出るわけじゃないから着ているものがヘンチクリンでも構わない。」とまるで駄々っ子のような発言が連発されます。  

聞いているこちらは内心「そりゃ、4日間だけのことを考えるならそれでもいいかもしれないけれど、現段階でまだ同居という結論が出ているわけじゃなし、もっと言えば、仮に同居して KiKi が介護を全面的に引き受けるとしても、たまには介護から解放される時間がないとこっちが参っちゃうんだけど、そういうこと、わかってる??」と思うものの、ばぁばの状態でオロオロしているじぃじにそんなことをぶつけることはさすがに気が引けてぐっと飲み込みます。

それでも何とかじぃじを説得している間にばぁばのトイレが終了。  顔を合わせてしまえば帰りたがって興奮状態に陥るのは目に見えているので、ばぁばがトイレに行っている間にこそっと姿を消し、とにかく1日預かっていただくことを目論んでいたのですが、その計画もおじゃんに。  挙句、帰るきっかけを失った KiKi たちを探し求めて今度は ばぁばがウロウロし始めました。  その様子に、じぃじのオロオロはさらにエスカレートしていきました。  

そうこうしているうちにその施設にいたもう1人の認知症の方とばぁばが連鎖反応を起こしたかのように興奮し始めました。  ついには階下から「私はもうこんなとこにいたくないって言ってるでしょ!  もう家に帰るんです!!」と叫ぶばぁばの声が聞こえてきました。  何とかばぁばの興奮状態を静めようと階下に降りた KiKi の姿を見つけるや否やばぁばが

「あなた、どこへ行っていたの?  良かった・・・・・。  私、ダメなの・・・・・。」

と泣き出しました。  抱きしめてあげると子供みたいに激しく泣きじゃくり、とてもじゃないけれどこのままここへ置いておける状態ではありませんでした。  横でじぃじも「帰る、帰る」を連発しています。  連鎖反応を起こしていたもう1人の認知症の方は相変わらず大騒ぎです。  これにてゲーム・セット。    

こうして失敗に終わった「初めてのデイ・サービス」の翌日、じぃじが KiKi のところへ来て語り始めました。

曰く、「昨日の所は何となく雑然としているし、プライベート空間がなさすぎる。」

曰く、「ちゃんと個室があって、談話室みたいな所がある場所がいい」

曰く、「あそこだと玄関からフラフラと出て行ってしまいそうで安心できない」

曰く、「シティ・ホテルぐらいの設備のある場所がいい」 etc. etc.

要するにお世話になる当事者であるばぁばもさることながら、その亭主であるじぃじがあの施設はどうにもこうにも気に入らなかった様子です。  じぃじにしてみれば長年慈しんできた大切なばぁばを預けるわけですから、その場所の環境や雰囲気にじぃじなりの強い拘りがあるのは理解できます。  もちろん可能な限りそれは尊重してあげたいと思う気持ちが KiKi にもあります。   とは言うものの・・・・・です。  環境や雰囲気がじぃじには気に入らないだろうなということは薄々分かっていたもののその施設で「お試し」してみようと思ったのには理由がありました。

じぃじはどちらかと言えば一人遊びが得意なタイプですが、ばぁばは一人遊びが苦手な人です。  さらに言えば今のばぁばの状態はどこにいても誰といても、常にそこは見知らぬ場所、見知らぬ人で健常者である私たちには想像できないほど深い不安を抱えています。  でもじぃじにはその切実さがどうもわかっていないようです。

実際のところ、じぃじは口では「老老介護」なんてことをよく言うのですが、ばぁばの感情の起伏についていけなくなるとすぐにばぁばとは別の部屋に避難し、1人読書に耽り始めてしまったりすることに躊躇しません。  その間、ばぁばがヒステリックに文句を言い続けていてもまったく聞く耳を持ちません。  (← と言うより、聞こえていないと言った方が正確かもしれませんが ^^;)  で、その間、ばぁばが何をしているのかには殊更無関心を装うのです。

こうして放置されたばぁばは不安に耐えかねて、家庭内徘徊を始め、下手をすると家出までしでかします。  そうでなければ、結局 KiKi の側にへばりつきます。  こうして1日の大半の時間、KiKi は同じ話を繰り返し繰り返し聞かされ、それなりの返事(決してばぁばの言うことは否定せず、時には嘘をつきながらばぁばの不安感を増長させないよう細心の注意を払った返事)をし続けることになるわけですが、そのことに気がついてもいないし、気がつこうともしません。

そんなばぁばの状態をよく察してくださっていたケアマネさんが、その施設を紹介してくださったのは、少なくともその時「お試し」しようとした施設であれば、プライベート空間はない代わりに一人ぼっちになる時間が少ない施設だという理由がありました。  要するにスタッフさんの誰かが常に側にいて(その施設に預けられている要介護の人はどんなに多くても8人ぐらい)、それなりの対応をしてくださる施設だったのです。

孤独に強いじぃじは「インフラ部分」に拘りが強く、今のばぁばは「インフラ」よりも「ソフト」が大切な状態にあることを理解しようとしません。  じぃじが気に入るような「こじゃれた施設」では定期的な見回りやら時間を決めての何等かのイベントがある以外は、個室に取り残されることも多いのに、そんなことより「プライベート空間が必要だ」と譲りません。  じぃじは今現在もそうなんだけど、ばぁばのことを認知症を患った病人としてではなく、正常だった頃のばぁばと同じように扱おうとしてしまう癖がどうしても抜け切れません。  そしてとかく自分とばぁばの価値観は一緒だと信じて疑うことをしません。

さて、こうして失敗した「デイ・サービス」。  KiKi たちの留守中の2人の生活を何とかするタスクは相変わらず残っていたわけですが、ばぁばを家へ連れ帰ったじぃじはそれで満足してしまい、その後のことを考えようとさえしません。  仕方ないので「自費ヘルパー」の手配をケアマネさんにお願いし、この期間は何とか乗り切ることにしました。  

ただ、KiKi 達が実家に居られない日はこの期間のみならず、その後も何回かは定期的に発生することがわかっていました。  その時の対処も考えておかなければいけませんでした。  そこで、ケアマネさんにお願いしてじぃじの拘りのある「こじゃれた施設」をいくつか紹介していただき、ダーリン & じぃじはそれらの施設の見学に行き始めました。(ばぁばを1人にはしておけないので、KiKi とばぁばはお留守番です。)  そのうちの2つの施設はどうやらじぃじのお眼鏡にかなったようでした。  そこで、その2つの施設の利用を打診してみようということになりました。

ところが・・・・・・・

夜、ダーリンと KiKi が2人きりになった時、ダーリンがポツポツと言い始めました。

「あのな、お義父さんはあの2つが結構気に入ったみたいだったんだけど、ひょっとするとあんまり期待できないかもしれないぞ。」

「え?  どうして?  どういうこと??」

「うん・・・・・・。  お義母さんの要介護度と認知症の話をしたら、向こうは明らかに嫌そうな顔になったんだよ。」

「嫌って・・・・・・どういうこと??  つまり、要介護4の認知症患者は手がかかるから、預かりたくないってこと??」

「多分な・・・・・。  まあ、はっきりそう言われたわけじゃないんだけど、そんなところだろう・・・・。  お義父さんは気がついていなかったみたいだけど、その話になるとトーンが変わったっていうか・・・・・。  向こうは通うのはお義父さんだと最初は勘違いしていたみたいなんだよな。」

「そんな・・・・・・」

「まあ、これは俺の感想だから、間違っているかもしれないけどな・・・・・。」


そしてこれが現実問題として KiKi に襲いかかってきたのはそれからすぐ間もなくのことでした。




to be continued..........

 


     

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このページは、KiKi (Brunnhilde)が2013年11月 7日 11:06に書いたブログ記事です。

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