天山の巫女ソニン 1&2 菅野雪虫

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昨日のエントリーで「めっきりペースダウンした読書」と書いたばかりなのですが、昨日は何故か読書が捗り(あまりの酷暑で他のことを一切する気がおきなかったとも言える・・・ ^^;)、図書館から借り出してきた本を2冊、一気に読了してしまいました。  ま、てなわけで、本日のエントリーは2冊まとめての Review となります。

天山の巫女ソニン 1.黄金の燕
著:菅野雪虫 講談社

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生後まもなく、巫女に見こまれた天山につれていかれたソニンは、十二年間の修行の後、素質がないと里に帰される。  家族との温かい生活に戻ったのもつかのま、今度は思いがけない役割をになってお城に召されるが...。  三つの国を舞台に、運命に翻弄されつつも明るく誠実に生きる、落ちこぼれの巫女ソニンの物語、第一部。  新しいファンタジーの誕生!  (単行本扉より転載)

天山の巫女ソニン 2.海の孔雀
著:菅野雪虫 講談社

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隣国「江南」のクワン王子に招かれた「沙維」のイウォル王子とソニンは、豪華な王宮や南国の華やかさに目を見張る一方で、庶民の暮らしぶりがあまり豊かでないことに疑問を持つ。  対照的な二人の王子の間で戸惑いながらも、真実を見失わずに自らの役目を果たそうとする、落ちこぼれの巫女ソニンの物語、第二巻。  三つの国の新たな歴史が動き始める!  (単行本扉より転載)

図書館で KiKi が真っ先に訪れるのは「児童書」のコーナーです。  カラフルな本が多い中、このシリーズが目を引いたのは白地に銀色の文字というシンプルさがあったように思います。  そして表紙の絵もそのシンプルさを後押しするかのように水墨画を思わせるモノトーン。  図柄はアジアン・テイストとなかなかに魅力的なものがありました。  とは言え本の場合大切なのは中身です。  最低限の情報を得ようと表紙を開いてみると、扉部分にある解説に KiKi を食いつかせるに足るキーワードがありました。

巫女  三つの国  落ちこぼれ  新しいファンタジー

この中で KiKi の関心を最も引いたのが「落ちこぼれ」です。  と言うのも KiKi はここLothlórien_Blog を開設する前、「落ちこぼれ会計人の独り言」、「落ちこぼれ会計人の Music Diary」、「落ちこぼれ会計人の本棚」という3つの Blog を運営しており、長らく「落ちこぼれ会計人」というハンドルネームを使っていたからです。  で、「落ちこぼれ」という文字を見た瞬間にこの物語の主人公ソニンのことがもはや他人とは思えず、ついつい借り出すことにしてしまったという訳です。

このシリーズは全5巻、外伝を含めると7巻が発刊されているようで、図書館でも本編5巻が並んで書棚に鎮座していました。  思い切って5巻まとめて借り出そうか?と思いつつも、万が一つまらなかった時のことを考え、とりあえず3巻を、貸出上限5冊のうち残り2巻は「都会のトム&ソーヤ」(こちらは評判がいいというただそれだけの理由で)を借りてきました。

さて、読み始めてみるとこれが期待以上に面白い。  そもそもソニンが修行していた天山の巫女の数が12人と聞けば何気に「十二国記」を思い出すし、ソニンが仕えることになった沙維の国の王子が7人で、謀略により燕になっちゃうあたりでは何気にアンデルセンの「白鳥の王子」を思い出すしとそこかしこにデ・ジャ・ヴ感を漂わせながらもオリジナリティがあるのが読んでいて楽しかったです。

わかりやすい勧善懲悪な物語・・・・・となりそうなところを、ベースは勧善懲悪なんだけど、脇役たちもそれぞれの立場から善いことも悪いこともするあたりが結構気に入りました。  と同時にソニンのお父さんの言葉や悪役のレンヒ(彼女も実は落ちこぼれ天山巫女だった)の言葉がなかなかに深くて、唸らされます。 

主人公のソニンは12年間も巫女修業ということで一般人とは隔絶した環境で育った割には、色々な物への順応力が高く、同時に巫女になるためには情に流されてはいけないという教育を受けてきたが故に、普通の人間社会で起きる様々なことにどこか淡々としている印象です。  でも決してしらけているわけではなくて、身の回りで起きる様々な出来事に対し、激しい拒絶・偏見もなければ極端な思い入れも持たず、常にある種の「ぶれない視点」を持って対峙している・・・・そんな印象で、設定年齢よりはどこか落ち着きを漂わせています。  そういう意味ではこのシリーズ5冊の中でどんな風に成長していくのか楽しみでもあります。 

「落ちこぼれ巫女」という設定の割にはソニンには暗さがなく、自分のあるがままを素直に受け入れ、その時々で自分が置かれている立場で、自分に考えられる最善を尽くす姿が好印象です。  自分に与えられた環境の中で最善を尽くすというのは簡単なようでいて実はかなり難しく、同時にそれなりの知性が必要となる行いであることをさりげなく語っている物語だと感じました。

さて、主人公のソニン以上に気になる存在が、彼女が下野して最初にできた友人という設定のミンです。  働かない父親、早くに亡くした母、自分が面倒を見なければならない弟という環境の中で、必死に生きているミンはある意味で普通とは言えない環境ばかり(天山然り、王宮然り)で暮らしているソニンと一般人を繋ぐパイプ役のようなところがあり、彼女自身がソニンと知り合ったことにより堕落からは免れたようなところもありで、この先も気になる存在です。

派手なアクションも強力な魔法もない物語だけど、そうであるだけに逆にある種のリアリティを醸し出すことに成功しているファンタジーだと感じました。  登場するのが3国だけ(?)なので、物語がどこまで広がるのか?は現時点では不明ですが、楽しみにシリーズ全巻を読んでみたいと思わせる作品になっていると思います。


 

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このページは、KiKi (Brunnhilde)が2014年7月26日 11:00に書いたブログ記事です。

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