小さな人のむかしの話 佐藤さとる

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ついに「コロボックル・シリーズ」も最後の1冊となってしまいました。  本日の KiKi の読了本はこちらです。

小さな人のむかしの話
著:佐藤さとる 絵:村上勉  講談社青い鳥文庫

51PAAQ6NEWL._SL500_AA300_.jpg  (Amazon)

せいたかさんがツムジのじいさまから聞いたコロボックルたちのむかしの話を、古いと思われる順にならべ、神話風のふしぎな話や民話のようなエピソード、また人物伝など、さまざまな形で再現。  「コロボックル物語」完結後に、別巻として書かれた作品。  (Amazon 内容紹介より転載)

こちらの作品はコロボックル物語シリーズの本編ではない、所謂、外伝です。  尚且つ、ツムじぃが集めて年代別に組み直し、更には覚書まで添えた物(この覚書がなかなか気が利いています 笑)をせいたかさん経由で入手した著者が、私たち人間が読んでも面白いと思えるだろうものを厳選した1冊なのだそうです。  そうであるだけに、そこかしこに「日本昔話」的な空気が漂っています。  KiKi なんぞは読んでいる後ろで ♪ 坊や~、良い子だ、ねんねしな ♪ と「マンガ日本昔話」のテーマソングが聞こえちゃう気分がしたぐらいです。

コロボックルの祖先、「スクナヒコサマ」の話は古事記の記述にある程度沿っているようで、それでもやはりオリジナリティというべきか、コロボックル目線の話にお化粧直しされていたり、桃太郎や一寸法師、さらには赤穂浪士を彷彿とさせる物語があったり、左甚五郎(しかもどうやらホンモノの左甚五郎らしい 驚!)な~んていう登場人物が出てきたりと、バラエティに富んでいます。  この物語を読むと、古来日本人が「人ではないもの」とどんな風に関わってきたのか、その精神性を伺わせるような気がして、実に楽しく読むことができました。


そして本の最後には「コロボックル物語余話-読者への長い手紙」と題される1章があり、ここは「コロボックル物語本編」でも「外伝」でもない、佐藤さとる氏が物語の中では語り尽くせなかった愛読者からの質問への返答やら、どうしてさらに続編を書かないのかという説明、さらにはどうやってこのシリーズを生み出したのか?のヒントのようなことが書かれています。

そこを読むと物語作家の物語構築の一端が見えるのと同時に、このシリーズが書かれた時代のある種の空気・・・・みたいなものも感じ、少し切なくなります。  と言うのも、このシリーズが書かれたのは日本が高度経済成長でバンバン発展し、科学的・合理的・論理的ではないものにほぼ見向きもしなかった時代に重なっています。  そんな時代にこういう迷信的なものを扱った物語を書いてきた作者へのある種の風当り・・・・みたいなものを感じずにはいられないからです。

KiKi 自身が子供の頃、母親に「あんたは夢見る夢子ちゃんだから・・・・」と言われた時代、その母の言葉はそれを KiKi の個性として肯定するというよりは「もっと現実的になりなさい」というお説教を含んでいる言葉でした。  そしてそれは我が母特有のものだったかと言えばそうとは言い切れず、それがあの時代の空気だったように思います。  そんな我が家では「受験」の文字がチラチラし始める中学生ぐらいからはいわゆる「おとぎ話系」からの卒業が期待されていました。  そんな事情も手伝って、我が家の本棚にこの「コロボックルシリーズ」が納まることはありませんでした。  

実際、その後の人生の中で KiKi がいっぱしの社会人として過ごしていくためには、女性という性の制約もあったとは思うけれど(当時は就職の面接の際に「あなたはバリバリ仕事をしたい人ですか?  それとも腰掛け的に仕事をしたい人ですか?」な~んていう質問が当たり前だった)、合理的・論理的・効率的な思考を育てることが必須でした。  「夢見る夢子ちゃん ≒ 大人になりきれない未熟者」というような公式が、そこはかとなく漂っているような気がして、ファンタジー大好き人間だった KiKi は意識的な自己改革を自分に課してきたようなところがあります。

そんな経験をしてきた KiKi からすると、この作品群の中で素顔の作者が登場すると(これを感じたのは第5作の「まくあい」部分と今作の「手紙」部分)、何かしら作者の立場の解説的なというか言い訳的な臭いの痕跡のようなものを感じずにはいられないのです。  もちろん作者は「だれも知らない小さな国」で多くの賞をとり称賛も受けたけれど、成功者というのはえてして批判の目にもさらされがちなのが人の世です。

もちろん、だからと言ってこの作品群の価値が減じることはないわけで、この年齢になって初めてこのシリーズを読破した KiKi ですが、実に楽しく読み終えることができたと思うし、今さらながら・・・・ではあるけれど、心の中のどこかで「夢見る夢子ちゃん、そりゃ結構!  何か問題でも??」と逆に開き直った気分にもさせてくれたように思います(笑)。  いずれにしろ我が日本国が生んだこの偉大なファンタジー作家を知ることができたことは、KiKi にとって嬉しい出来事でした。  又、どこかのタイミングでこのシリーズ作を読み返してみたいと思わせてくれる作品群だったと思います。  


   

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このページは、KiKi (Brunnhilde)が2014年7月17日 10:47に書いたブログ記事です。

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