ルリユール 村山早紀

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今日、2つ目のエントリーです。  こちらは「天山の巫女ソニン・シリーズ」の残りの本を借り出そうとした際に、外伝の1冊が貸し出し中だったため、そのかわりに借りてきた1冊です。

ルリユール
著:村山早紀 ポプラ社

51w75q5fVML._SL500_AA300_.jpg  (Amazon)

黒猫工房では、あなたの大切な本を修復いたします。  魔法のような手わざ、傷んだ過去の思い出も、静かに包み込んで―  本を愛するひとの美しく不思議な物語。  (単行本帯より転載)

「ルリユール」という言葉を KiKi が初めて知ったのは、いせひでこさんの「ルリユールおじさん」という絵本で、でした。  この絵本を読了した時、KiKi はそれまで絵本を読んで味わったことがなかった深い感動を覚えました。  と、同時にその「ルリユール」という職業にある種の憧憬を覚えました。  子供時代から本は大切に扱うように教育を受けてきた KiKi の実家には多くの本があるけれど、さほど痛みのない状態のものがほとんどで、「必要に迫られていない」から実際に自分でやってみようとまでは思わなかったけれど、今ではソフトカバーの本が多いだけに、本当にお気に入りの本は補強という意味も兼ねて自分でもやってみたいと思うほどには興味があります。

時代の流れの中で、電子書籍もそこそこ活用している KiKi だけど、やっぱり紙でできた本の魅力は捨てがたく、本当に気に入った本は可能な限り「本」で揃えたいと考えがちな KiKi。  装丁が美しい本にはついつい引き寄せられがちな KiKi。  そんな KiKi にとって「ルリユール」の仕事は収入の多寡は知らないけれど、本当に素敵な職業だと感じられます。

さて、そんな「ルリユール」と題されたこの作品。  ルリユールの技に関しては期待していたほどには描写されていなかったのですが、物語全体に流れる穏やかな時間とどこか鄙びた風景、そして登場する人たちのちょっと切ない人生にホロリとさせられる作品だったと思います。

 

思い入れのある本を「クラウディアの黒猫工房」で修復してもらうと、その本にかかわる人々が抱えている悩みや重荷、心の傷といったものが癒される・・・・・。  本が持ち込まれ修復されているまでの描写にはとても優しく暖かい時間が流れ、「物を大切にする」、「手作業で直す」という行為が本質的に持っている「真心」とか「物を介しての人と人のつながり」とか「思い出を大切に守り伝える」という感覚を呼び起こされるような気がします。

物語は以下の4章で構成されています。  どのお話にも気持ちがほっこりするものがあったのですが、特に KiKi のお気に入りだったのは第3章の「黄昏のアルバム」でした。

第1章: 秋のアリア~宝島
第2章: 星に続く道
第3章: 黄昏のアルバム
第4章: 魔人の夢~ボスポラスの人魚

災害で被災した智史君が被災する前に虐待を受けていた猫を拾い、その猫を飼うために一家で引越しをしたんだけど、その家のある場所が土砂崩れにあいやすい場所でした。  たまたま災害があった日、本当だったら家族みんなでドライブに行く予定だったのをちょっとしたことで拗ねていた智史君の我儘で予定が変更となり被災。  智史君を除く全員(猫も含め)が亡くなり、そのことに傷つき自分を責め続けていた智史君の姿に、亡くなった猫が心を痛め自分が拾われて以来幸せだった時代の記憶を写真にしてアルバム制作を依頼にきた・・・・・というお話です。  

「みよ子は幸せな猫でした。  あの二年間、智史君の家で家族として暮らすことができて、幸せだったんです。  むしろ、自分のために大切だった家族を死なせてしまったと、ずっと思っていました。  みよ子がいなければ、智史君の家族は、あの家に引っ越さなくてすんだんですから。  そのアルバムを見てごらんなさいな。  おうちで暮らした、二年間の日々の思い出です。  みんな笑っているでしょう?  あなたもお父さんとお母さんも。  (中略) だから、あなたはこれからも幸せでいてください。  その写真と同じに、笑っていてください。  (中略)  みんな幸せだった。  みよ子が見ていました。  この2つの目で。」

そんなアルバムなんて非現実的であることは百も承知だけど、ルリユールが本を修復する際には依頼人の思い入れの深さに応じて使う素材の色や柄を選び、二度とほつれたりしないように可能な限りの技を尽くす姿勢に通じる精神・・・・・みたいなものがこの逸話には切々と描かれている、そんな風に感じました。  と、同時に手仕事全般に通じる「使う相手を思う気持ち」「作業の一つ一つにかける時間と手間にこめられる作り手の思い入れ」をあらためて感じました。

さて、とりあえず修復の必要な本を持たない KiKi は、この手仕事に対する暖かい気持ちが冷めないうちについこの間購入したばかりのこちらのキット(↓)の製作にでも励もうかな。  老人ホームで暮らす、じぃじ & ばぁばのどこか殺風景なお部屋のインテリアにする予定なんですよね~。  喜んでくれるといいんだけど・・・・・。

IMG_37161.jpg  IMG_37252.jpg



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このページは、KiKi (Brunnhilde)が2014年7月31日 12:54に書いたブログ記事です。

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