天山の巫女ソニン 巨山外伝 予言の娘 菅野雪虫

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「天山の巫女ソニン・シリーズ」本編を読了したので、引き続き外伝です。  現段階で外伝は2冊既刊されているのですが、今回図書館で借りることができたのはそのうちの1冊のみ。  残り1冊は予約してきたので今借りている人が返したら連絡がくることになっています。  これまでのところ「上橋作品群」、「クロニクル 千古の闇シリーズ」に次いでお気に入りとなった図書館本です。  これはひょっとすると我が家の蔵書として集めてしまうかも・・・・・(笑)

天山の巫女ソニン 巨山外伝 予言の娘
著:菅野雪虫 講談社

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ソニンが天山の巫女として成長したのは美しい四季に恵まれた沙維の国。  イェラが王女として成長したのはその北に草原と森林が広がる寒さ厳しい巨山の国。  孤高の王女イェラが、春風のようなソニンと出会うまで、どのように生きてきたのかを紹介する、本編「天山の巫女ソニン」のサイドストーリー。  (単行本扉より転載)

本編でも一種独特の魅力を放っていた巨山国の王女イェラ。  その強烈な個性から恐らくは多くの読者の心をつかむだろうお姫様なんだけど、彼女ほど「お姫様」という言葉が似合わない王女も少ないんじゃないかしら。  そして読者を夢中にさせる魅力はたっぷりだけど、もしも実際に彼女が存在したとして、お近づきになれるか?と言えば、恐らく世の中の大半の人はムリなんだろうと思います。

それは身分や立場が違う・・・・・というようなことではなく、恐らく彼女に相手にはしてもらえないんだろうなぁ・・・・と思わせる、人を寄せ付けない厳しさ、近寄り難さを放っているからです。  能力の差とかそういう部分もあるけれど、それ以上に彼女の心を閉ざしたかのような自分の律し方という大きな壁の前で普通の人ならどうしたらいいのかわからない・・・・・そんな印象を持たずにはいられない女性だったと思うんですよね。  しかもそれが20代の後半ぐらいで身につけたものならまだいざ知らず、「10代にして!!」というあたり、孤高と言う言葉がこれほど似合う人も滅多にいないでしょう。

多くの場合、彼女が示したような冷静さ、用心深さ、狡猾さというものは「帝王学の教育」の中で、又は「人の上に立つ経験をつむ」中で、育まれていくものだと思うんだけど、彼女のそれの身につけ方は KiKi の想像を超えたもっと壮絶なものでした。  

ただでさえ厳しい自然環境の北の国で、正妃の一人っ子として生まれたにもかかわらず、望まれた男児でなかったが故に、父王からも母妃からも愛されないのみならず存在すら認められずに育ったイェラ。  跡取りは側室の王子達だと誰しもが思っているうえに、誰にもかまわれない立場の彼女は1人でもできること、本を読み、学び、どこか冷めた目で人を観察し、生まれつき持ち合わせていた父譲りの聡明さで、自分なりに多くのことを多面的に考え、答えを導き出すことを常とするようになっていきます。

そんな生い立ちの中で彼女が得た1つの真理が、「溺愛は干渉に、期待は束縛に繋がり、祝福や励ましの言葉は時として呪いの言葉となりうる。」というものだったようです。  だからこそ、本編の彼女はあそこまで頑なな部分を持っていたのですね。

でもそれだけの人だったら恐らく本編でソニンに何か通じるものを感じるようにはならなかっただろうけれど、幸いなことに実に程よい愛情をかけてくれる乳母がいて、父王の3人目の側室の子カナン王子(実は女の子!)と触れ合う時間があり、巨大な犬ムサと出会い、イェラの目をマイナー文化にも向けさせるきっかけとなった天文官のフェソンとの交流がありました。

彼らとの触れ合いの中で権謀術数やら阿諛追従が蠢く独裁王を掲げた宮廷とはちょっと違う精神性を身に着けることができたのだろうと思います。  

それにしてもイェラは凄い!  側室が生んだ王子たちと王位継承権での言い争いが起きた時、正室の子イェラが存在するだけで夜も眠れないと言う兄王子に

「何千、何万という人々の命を左右する立場に立とうという者が、安らかに眠ろうなどと思うな。  一生苦しみ、一生考え続けるがいい。  それが真の王たる者の役目だ!」

と言ってのける。  くどいようだけどこれが20代後半~30代の人が言うならまだしも、10代にして言えるのは半端なことじゃありません。  レベルは全然違うけど、KiKi 自身、所謂「上司」と呼ばれるポジションにつくまで、人の上に立つということがどういうことなのか、全くわかっていなかったことを思えば、10代で、しかも本人には「王位を継ぎたい」という欲もない中で、こんなことが言えるのは、やっぱり単なるお姫様ではありません。

そして結果的に彼女が王位継承者となり、義母が生んだ2人の兄が追放され、その事実に精神を病んだ義母に襲われた時、彼女は実際に「これからはもう安らかに眠ることはできない」覚悟を固め、同時に歴史の中では、権力者は敵を一族もろとも滅ぼしたり、滅んだものは滅ぼされるに値する極悪人だったという「物語」を創るということに気がついていくのです。

いや~、本の装丁に惹かれて読み始めたこの物語群。  期待以上に素晴らしい!!  いずれ孫(まだ3歳になっていない 笑)に薦められるように今から NetOff で中古本を漁ってみようかなと思います♪


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