山賊のむすめローニャ A.リンドグレーン

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体調不調からの復帰エントリーの1本目は、NHKアニメの影響というのもあるけれど、やっぱりこのブログの柱である「岩波少年文庫全冊読破企画」への拘りというのもあってこちらの作品を選びました。  本日の KiKi の読了本はこちらです。  (大好きな上橋ワールド、「鹿の王」の Review は後日、もう少し体調の良い日にじっくりと取り組む予定です。)

山賊のむすめローニャ
著:A.リンドグレーン 訳:大塚勇三  岩波少年文庫

Ronja.jpeg  (Amazon)

落雷でまっぷたつになった古城に、2組の山賊が住んでいました。  片方の首領にはひとり娘のローニャが、もう一方にはひとり息子のビルクがいました。  仲よくなった2人は、争ってばかりいる親たちを仲直りさせようとしますが...。  (文庫本裏表紙より転載)

リンドグレーン作品は大好きだったけれど、実はこの物語に関しては KiKi は初読です。  何となく「山賊のむすめ」という設定に子供時代の KiKi には興味が沸かなかったのです。  だいたいにおいて山賊だの海賊だのというのは子供時代の KiKi にしてみれば悪役の筆頭で、当時の勧善懲悪が当たり前というある種のガチガチの倫理観に照らしてみれば、そんな稼業のヒロインにはろくな結末を思い描くことができないし、これが息子ならいざ知らず娘となると同性の KiKi にとってはあんまり有り難くなさそうな臭いがぷんぷん漂っているような気がしたのです。

ま、てなわけでこのブログで「岩波少年文庫全冊読破企画」をぶちあげた際にも、この作品はリストにこそ載せたものの実際に手に取って読んでみるのはず~っと後になるだろうなぁと思っていました。少なくとも「カッレくん」や「はるかな国の兄弟」や「さすらいの孤児ラスムス」よりは絶対後になると確信していました。  そして実際のところ今日まで手を出さずに来ています。  それが今このタイミングで他にも未読本がいっぱいあるのにこの作品に手を出したのはもちろん宮崎吾朗さんのNHKアニメ「山賊のむすめローニャ」放映がきっかけであることは否めません。  

第1回の放送から先週土曜日の第5話までアニメを先行して観終えた後、「これは先に原作を読んでおきたい!」と思わせてくれるものがあったのでついに手に取った・・・・そんな感じです。  そしてそのきっかけになったのはこの物語でもアニメでも出てきたローニャとビルク、2人の実に子供らしい発言がきっかけでした。  その1つ目は一仕事して強奪品を持ち帰ってきた山賊たちにローニャがかける一言

「今日もいっぱいなっていたのね。」

というセリフです。  どうやらローニャは果実が木に実るように強奪品はどこかに実っているものだと思っているらしい・・・・(苦笑)  なるほど山賊稼業の何たるかを知らず、自然の中でのびのびと育てば一味が一仕事して持ち帰るものは言ってみれば山仕事をして山の恵みを手にして帰ってきたと思うのが自然と言えば自然なわけです。  そんな彼女が本当のことを知ったらどう考えるのだろうかということに俄然興味が湧いてきました。

そして2つ目のきっかけは今度はビルクのセリフで、自分たちの住む城をとりまく森を「私の森」、そこに住まう動物たちを「私のキツネ」と呼ぶローニャに

「きみの子ギツネだって!  きみの森!  子ギツネたちは自分自身のものさ、わかるかい?  それに、あの子らがすんているのは、キツネたちの森だ。  その森はまた、オオカミたちのだし、そしてクマたちの、オオシカたちの、野馬たちの森だ。  (中略)  おまけに、これはぼくの森だ!  そして、きみの森さ、山賊むすめ、そう、きみの森でもある!  だけど、きみがこの森を自分ひとりのものにしときたがるんなら、きみは、ぼくがはじめてきみを見た時におもったより、ずっとばかだってことだよ。」

この2つを耳にした時、彼らがこの後成長していく過程でいわゆる「山賊稼業」とどう折り合いをつけていくのか?にとても興味を持ちました。  と同時に「○○は誰のモノ」といういわゆる所有権に対する考え方の相違がある意味で「山賊」とか「海賊」という稼業を成り立たせてもいるわけで、これは昔 KiKi が安直なイメージで「山賊のむすめローニャ」というタイトルから想起していたものとは異なる展開が期待できそうな気がしてきたのです。


実際、今回この本を読んでみたら彼女たち2人は山賊稼業を否定する人物になっていくわけですが、そこに至るまでの実に純粋な子供らしい感覚、さらには親との葛藤、反抗、そして自立の試み、恋と呼ぶにはあまりにも可愛らしいお互いの存在への信頼感と物語に含まれる要素は実に盛りだくさんで、なかなかに楽しい物語でした。

読んでいてふと感じたのはこれってある意味で宮崎吾朗さんの葛藤を描いた物語でもあるのかなぁ・・・・と。  大好きで存在感の大きすぎる父親と自我の芽生えた子供の物語という側面もあるだけに、ちょっと邪推しちゃう KiKi なのでした。

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このページは、KiKi (Brunnhilde)が2014年11月 4日 13:14に書いたブログ記事です。

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