チェーザレ 破壊の創造者の最近のブログ記事

KiKi がこの Blog にこの漫画の Review を書き始めたのは今年に入ってから。  直近で書いたエントリーは第7巻のもので、2010年9月13日でした。  で、そのエントリーを書いてから暫くはこの漫画に感化されてダンテの「神曲」に取り組み、「地獄篇」「煉獄篇」は何とかなったものの、「天国篇」は挫折しっぱなしという苦い(?)思い出もまだまだ生々しい今日この頃・・・・・。  そうこう言っているうちに、第8巻が発売されました。  ま、てなわけで本日の KiKi の読了本はこちらです。

チェーザレ 破壊の創造者(8)
作:惣領冬実 監修:原基晶  講談社 モーニングKCDX

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世界が揺れた、1492年が始まる。  ヨーロッパによる新大陸の発見。  キリスト教によるスペイン国土回復運動、レコンキスタの終結。  この年、中世が終わった。  神の時代から、人間の世紀へ。  その時、17歳のチェーザレは何を思うのか。

年が明けて、1492年。  チェーザレは本国スペインの歴史的勝利レコンキスタの終結を祝うため花の都フィレンツェへと向かう。  だが真の目的は、ロレンツォ・デ・メディチと彼の弟殺害の容疑者ラファエーレ・リアーリオとの同盟を成立させること。  メディチ家を襲った悲劇から14年。  かつての因縁が選ぶのは新たな平和か、混迷か?  ルネッサンス史上最大のミステリー パッツィ家の陰謀事件の真実を描き出す。  500年間隠され続けた真の黒幕とは・・・・・。  (漫画本帯より転載)

前巻が出てから1年強という長~~いお休みがあり、満を持して・・・・という感じでようやく発売されたこの第8巻。  今回も実に美しく、そして読み応えがありました。  KiKi の心の恋人(?)チェーザレ様は美しくも大人びた美青年からあっという間に脱皮し、表舞台に出る直前の助走期間の になっていました。  なんというふてぶてしさ!!  そしてなんという鮮やかさ!!  さて、一応 KiKi は高校時代に「世界史」を専攻していたはずなんだけど「レコンキスタ」こそは記憶にあったものの、「パッツィ家の陰謀」っていうのは正直、知らなかったなぁ・・・・・ ^^;  今号の巻末の解説でじっくりとお勉強させてもらっちゃいました。  なんでも「ルネッサンス時代の研究をしている人ならば誰もが知っているような有名な事件」とのこと。  KiKi はそれなりに「ルネッサンス絡み」の本を読んできたつもりだったんだけど、まだまだダメですねぇ・・・・・。  まぁ、うっすらと、イル・マニーフィコが若かりし頃に反メディチ派に襲われた云々っていう話があったのは覚えていたんですけど、あれが「パッツィ家の陰謀」だったんですねぇ。

この時代のイタリアってあまりにも複雑でよくわからないんですよね~。  権謀術数の花盛り~っていう感じで・・・・・。  ついでに群雄割拠でグチャグチャだし・・・・・。  でも、そういう時代だったからこそチェーザレみたいな早熟の天才(?)が生まれる土壌があったと理解すべきなんでしょうね。  

今号を読んでいてもう1つ感じたこと。  それは私たちが歴史の流れの中の必然と考えている数多くの事件、さらには、その事件の発生した背景や別の事件との因果関係を理解していると思っているいくつかの事件はひょっとしたら、ある人の何らかの目的のための働きかけがあって始めて成ったことがあったのかもしれない・・・・ということです。  まあ、これは逆の意味からすると機を見ることに聡い人間が時の動きに巧く乗じて自分の目的を果たしている・・・・ということでもあるわけですが。  KiKi がそんなことを考えたのは、「レコンキスタ」の終結がロドリーゴ・ボルジア(チェーザレのお父さん)の教皇選への1つの布石であったことは確かなことだったように思えたからです。

 

先日このエントリーでお話した、KiKi に「ああ、ダンテの神曲を本当に一度は読んでみなくては!」と思わせてくれた記念すべき第7巻に入りました。  本日の読了本です。  

チェーザレ 破壊の創造者(7)
作:惣領冬実 監修:原基晶  講談社 モーニングKCDX

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独裁者の青春。  世界はカオスであり、調和である。

中世ヨーロッパ最大の事件「カノッサの屈辱」。  イタリア文学史上最重要古典「神曲」。  皇帝と教皇が最高権力をかけて争った時代、生き残る者は頂点に立った者だけだった。  若き司教チェーザレはピサ大聖堂に封印された政争の真実を知る。  そして迫る次の教皇選。  チェーザレ・ボルジア、16歳のクリスマス。  

ついに漫画は歴史の新説を生んだ。  世界遺産ピサ大聖堂に眠る、中世ヨーロッパの真実を暴く衝撃の超美麗ルネッサンス絵巻。  (単行本帯より転載)

いやはや、今号は本当に読み応えがありました。  やっぱり今号の白眉は「新説(? でもないか・・・)カノッサの屈辱」と「チェーザレ vs. ランディーノ教授の『神曲』談義」ではないでしょうか?  世界史の授業で学んだ「カノッサの屈辱」とこの漫画で描かれる「カノッサの屈辱」では結構違いがあるのもなかなか新鮮だし(とは言えども、これに似た話はどこかで読んだことがある記憶はあるのです。  その時はこの解釈にはちょっと懐疑的だったんですけどね 笑)、ピサ大聖堂に安置されているハインリッヒ7世の墓を見、そしてダンテの神曲を読んで、こんなにも多くのことを考えたチェーザレに驚嘆したりと KiKi にとってはなかなか刺激的なエピソードが満載でした。

その話に入る前に描かれている降誕祭のシーン。  こちらも秀逸です。  KiKi はクラシック音楽も大好きで殊に40代に入ってからはいわゆる「宗教音楽」にもかなりやられちゃったクチなのですが、このシーンでは本当に多くの「キリエ」が絵から流れ出て、頭の中でリフレインしているような不思議な感覚に捕われました。  惣領さんのすごさを感じたのは、単にミサの雰囲気を精緻に映した描写をされているのみならず、その「キリエ」がキリスト教徒のみならず、ユダヤ人(ミゲル)、マラーノ(ユダヤ教を偽装棄教し表面上キリスト教徒となったユダヤ人;チェーザレの護衛の面々)、そして街の片隅でぼろをまとって恐らく亡くなった(?)と思われる貧民の上を流れていくという描写をされていることで、このシーンでは多くのことを考えさせられました。

 

さて、「チェーザレ」も現在発売されている単行本としては残り2冊。  ああ、まだまだ終わって欲しくないなぁ・・・・・。  と言いつつも、こちらの Review です。

チェーザレ 破壊の創造者(6)
作:惣領冬実 監修:原基晶  講談社 モーニングKCDX

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過酷な宿命。 されど、どこまでも華麗なる天才。

広場では模擬戦の祝勝会が開かれていた。  学生時代最後の思い出に仲間と興じるチェーザレ。  その頃アンジェロは真犯人の痕跡を見つける。

夜の闇は潜伏者たちの影を隠すのか、それともかすかな月明かりが真実を照らすのか。  そして、友との間を永遠に分かつ一撃が振り下ろされた。  (単行本帯より転載)

今号で再びこの時代の庶子というのがどういう存在であったのかを思い知らされました。  考えてみると不思議ですよね~。  日本ではどちらかと言えば殿様の血を残すことに重点が置かれ、いわゆる側室を持つことが支配者階級であれば言わば常識であったのに、海の向こうでは逆に正式な婚姻を経ていない男女間に生まれた者であれば、仮にそれがそこそこの立場の人であったとしても「人としての存在そのもの」が認められないとは・・・・・・。  確かにミゲルが言うとおり「それが教義」であり、その教義をベースにした信仰生活を否定しない以上「それがお前たちが望んだ世界」と言われてしまっても仕方ない・・・・とは思うけれど、何だか複雑な気分です。

もっとも KiKi がキリスト教という宗教をどこかで胡散臭いと感じるのはまさにそういう部分なんですけどね。  「あの当時は○○だった」とか反省するのはいいとしても、やはり「愛」を語る宗教の割には「愛のなんたるか?」みたいな部分に関しては首を傾げることが多いような気がしてしかたない・・・・・とでも言いましょうか。  KiKi は別にキリスト教の信者の方々を胡散臭いとは思わないけれど、宗教として見た時、KiKi 自身は信じられないと言うか、逆に聞きたくなってしまうのですよ。  「あなた方が言う愛って何??」ってね ^^;

ま、それはさておき、例の工場の放火犯がはっきりした今号。  わかってみるとあまりにも悲しい結末でした。  フィオレンティーナの中にそんな人たちがいたこと自体は、ジョヴァンニにとっては辛い話でもまあ KiKi にとってはある種どうでもいいことなんだけど、ロベルトやドラギニャッツォがそれに手を出した動機があまりにも悲しいなぁ・・・・・と。

 

今日はチェーザレの残り3巻をついつい一気読みしてしまいました(苦笑)。  やっぱりこの人物の魅力にはどうにも抗いきれない KiKi。  ま、まとめてエントリーを書くことも考えたのですが、漫画であるにもかかわらず、やっぱりかなり奥深い物語。  今日、明日にかけてやはり1冊ずつエントリーを書いていきたいと思います。  ま、てなわけで、まずはこちらから・・・・・。

チェーザレ 破壊の創造者(5)
作:惣領冬実 監修:原基晶  講談社 モーニングKCDX

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初めての実戦。  最後の青春。

中世の大学、そこは政治の縮図。  イタリアの支配を巡り対立するスペインとフランス。  ピサとフィレンツェの歴史的遺恨も再燃。  名門大学は模擬戦という名の代理戦争に沸く。  そしていつの時代も、若さは血を求める――。

チェーザレ暗殺を命じられた刺客がピサに潜伏した。  黒幕を探るチェーザレは、祭りの喧騒の中、自らの命を餌に危険な賭けに出る。  一方大学ではボルジア家の宿敵一派、フランス貴族のバリュー兄弟が帰還し、十字軍を模した大規模な騎馬試合が開かれることに。  政治、復讐、野心が入り交じり、熱き戦闘が始まる。  史実を精査し圧倒的な画力で再現される、中世の戦闘。惣領冬実の新境地――。  (Amazon より転載)

いや~、今号では絵の迫力にやられっ放しです。  物語としてはさほど進んでいないのですが、ピサ大学で催された騎馬試合の様子がこれでもかっていうぐらい丁寧に描かれているんですよね~。  実写版の大河ドラマ系やら騎士物語系の騎馬試合よりもはるかに迫力があります。  さすが、美大出身の漫画家さんですねぇ~。

それ以外にも読みどころはいっぱいあって、案外・・・・というか、やっぱり女好きなチェーザレの一面が描かれていたり、刺客との勝負で相も変わらずの肝っ玉を見せつけられたり、ミゲルやフランチェスコのちょっとした一言から「まったくもって何てヤツだ!」と思いつつもチェーザレを認めざるを得ない側近たちの心が描かれていたりと、チェーザレ・ファンである KiKi には美味しい設定(笑)が満載です。  後の彼を髣髴とさせる「戦う司教ぶり」は説得力に満ちているし、これだけでも今号を読んだ甲斐があるっていうものです。

結構笑えるのが、刺客に襲われた(というより誘い込んだ?)チェーザレを助けに現れたスペイン団の皆さんの1人(フランチェスコ)が「チェーザレ庶民の生活を知る;社会科見学」の過程でアンジェロに買ってもらった寄木細工のからくり箱を思わず踏み潰してしまった場面。  路面に転がっているのは、壊れたからくり箱 & ミゲルにとどめを刺された刺客さんという状況の中でのチェーザレ vs. アンジェロの会話です。

A: チェーザレ様!  ご無事でしたか?
C: これを見ろ!  せっかくおまえが買ってくれた箱をフランチェスコの奴が壊してしまった!
A: ・・・・・それよりも私は向こうの死体のほうが気になるのですが

ある意味で生きるか死ぬかの闘争真っ只中にいるチェーザレが時折見せるこういう子供っぽさが、実は彼はまだ16歳の少年であることを思い出させてくれます。  う~ん、いくら時代が違うとはいえ、「早熟」が求められる時代(階層?)っていうのはどことなく滑稽というか、いびつな感じがしますよね~。

今日も引き続き「チェーザレ」の Review です。  第4巻にしてようやくルクレツィア(チェーザレの妹)が登場しました。  もっとも彼女がこの漫画にもちゃ~んと登場してくることは第3巻の帯で既に予告済みだったんですけどね(笑)。  まあ、チェーザレを語る際には彼女に触れずに終わることはありえないので当初から「いつ出てくるんだろう??」と期待はしていたのです。  でも、ここまで完成された女としていきなり出てくるとは、さすがに想定外でした。  しかも彼女は齢11歳!!  う~ん、女性っぽい女性っていうのはやっぱり幼い頃から女なんですかねぇ~ ^^;  彼女と似たような(決して同じではない!)感覚を KiKi が持てるようになったのは20代も数年経た位だったような気がしないでもない・・・・。  ま、いずれにしろ本日の KiKi の読了本はこちらです。

チェーザレ 破壊の創造者(4)
作:惣領冬実 監修:原基晶  講談社 モーニングKCDX

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1491年、11月。  フィレンツェの大富豪ロレンツォ・デ・メディチに見込まれたアンジェロは、各国から貴族や有力市民の子弟が集まる名門・サピエンツァ大学ピサ校に入学、一人の青年と出会う。  彼の名はチェーザレ。  スペイン出身で、父は教皇庁のナンバー2という名門貴族。  はるか昔、全ヨーロッパを支配し巨大な帝国を築いた英雄と同じ名を持つ青年は、のちに現代政治学の祖・ニッコロ・マキァヴェッリの名著『君主論』のモデルとなり政治の天才と謳われた人物だった......。  闇に葬られた若き英雄が、今甦る。超美麗ルネッサンス絵巻!

現教皇に死期が近づき、ローマでは次の教皇選を睨んだ戦いが始まっていた。  チェーザレは、ロレンツォとピサ大司教との協調を画策。  工場建設計画を立案し、ジョヴァンニを陰で動かすとともに、アンジェロを工事責任者につけ計画を進める。  そんな中、チェーザレの働きによりラファエーレとジョヴァンニの会食が実現。  両家の因縁は解消したかに見えたが、今度はピサに漂い始めた新たな陰謀の影が、チェーザレに近づいていた。  (Amazon より転載)

第1巻の終わりから第2巻の最初までは「世事に疎いアンジェロのための社会化見学」だったのが、今号では「庶民生活に疎いチェーザレのための社会科見学」っていう感じでしょうか(笑)。  企画:ボルジア、遂行:メディチの産業振興プロジェクトで問題が発生したのを機にチェーザレが工事現場視察(偵察?)に行くエピソードが楽しいです。  政治的なことには年齢を感じさせない「大人顔」のチェーザレが、工事現場視察をほっぽらかしてついでに出向くピサでのお祭り観光では、以前ダ・ヴィンチに見せたのと同じような子供の顔を見せてくれます。

たまたま今号にはルクレツィアの回想という形で、大学入学前のチェーザレの幼い姿も描かれているところから、ホント、お祭り見物で見せる好奇心に突き動かされたチェーザレの行動が何とも言えません。  ある意味、年相応とでも言いましょうか・・・・・。  こと政治が絡むと凄みさえ見せるチェーザレが護衛を巻くために屋根伝いに逃亡する際に見せる生き生きとした表情、アンジェロと並んで路上でプルーンを食べ残った種をプッと飛ばす種飛ばしに興じる様子、悪意なく潜り込んだテントで着替え中のダンサーに痴漢扱いされつつも好奇心には勝てずにいつまでも彼女たちの裸体に名残惜しげな様子、十字軍を題材にした芝居の筋立てに思わず口を挟んでしまう様子、屋台の的屋でのドタバタ騒動、寄木細工のからくり箱に真剣に取り組む様子・・・・・。  その全てがチェーザレにとっていかに新鮮な体験でいかに貴重なものだったのかが伝わってきます。

チェーザレの住む大司教邸ではナッツを暖炉にくべて破裂音がしただけで護衛がすっ飛んでくるのですから、この対比たるや凄いものがあります。  しかもその騒動にウンザリしたチェーザレが「何事もほどほどということか・・・・」といった直後のイベントなだけに、ついつい「あれ??  何事もほどほど・・・・じゃなかったんですか?」というチャチャをついつい入れたくなってしまうのは KiKi だけではないのではないかしら・・・・・(笑)。  

 

今日も「チェーザレ」の Review です。  実はすでに登場していたのですが、今号で改めて、はっきりと、マキァヴェッリが登場し、チェーザレの知己を得ます。  マキァヴェッリと言えば「君主論」。  「君主論」と言えば「チェーザレ・ボルジア」。  ようやくここで役者が揃った感じです。  今号の帯には元東京大学総長で学習院大学教授であり、なおかつ、マキァベッリ研究の第一人者である佐々木毅さんの献辞が記されています。  曰く 「史実の十分な考証を踏まえたこの作品において、私の最大の楽しみはチェーザレ・ボルジアとマキァヴェッリの出会いがどう描かれるかである。  チェーザレはどこまでマキァヴェッリのアイドルだったのであろうか。」と。  うんうん、それは KiKi も大いに興味のあるところです。  ま、てなわけで本日の KiKi の読了本はこちらです。

チェーザレ 破壊の創造者(3)
作:惣領冬実 監修:原基晶  講談社 モーニングKCDX

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現代政治学の祖、マキァヴェッリ登場。  死期が迫る教皇。  次期選挙に向け謀略を練る枢機卿達。  ピサではまた1人、策士がチェーザレに近付く。  彼の名はニッコロ・マキァヴェッリ。  この2人の出会いは運命か、それとも宿命か。  (Amazon より転載)

KiKi が歴史上の人物の中でもっとも魅了されている男がチェーザレ・ボルジアであることは以前にもお話しましたが、同時に興味がありつつもまったくその正体が見えない男で、魅力的なのかどうかの評価さえできない人物の1人がチェーザレの腹心・ドン・ミケロット(漫画上のミゲル)です。  いわゆる「暗殺者」という形以外でドン・ミケロットについて触れた日本語の作品を KiKi は見たことがありません。  そういう意味で、この漫画でのミゲルの人物設定には非常に興味を覚えます。  チェーザレの影に常に寄り添い、ダークサイドの仕事を粛々とこなしていく人物。  そんな彼が「ユダヤ」という出自を持ち、あのキリスト教絶対の世界の中で改宗を拒み、チェーザレの傍にいるというその一点でのみ有形・無形の迫害からの解放を見出すことができると感じられるという立場の設定。  これは深いなぁと。  と同時にこれは惣領氏の創作なのかもしれないけれど、ミゲルはこうであって欲しいなぁと KiKi に思わせる説得力・・・・のようなものを感じます。

今号はチェーザレの半端じゃないリアリスト加減が良くも悪くも描ききれている作品になっているなぁと思います。  父親の教皇選に纏わる票集めでの動き方しかり。  プライドだけは高い猛牛(笑)、フランス団のアンリとの闘牛ごっこにおける本気モード突入後の弁論しかり。  決闘もどきの闘牛ごっこ後の教官からの説教後のつぶやきしかり。  企画:ボルジア家、遂行:メディチ家の産業振興プロジェクトでの人選しかり。  マキァヴェッリとの内密の取引しかり。  アンジェロへの評価(賢く素直、そのうえ行動力もあるのか・・・・  だがお前、その能力の使い道 間違えているぞ・・・・)もしかり。  そしてもっとも顕著なのが、スペイン団の中での会話でアンジェロについて語ったこの言葉でしょう。

(アンジェロを)信用などしていない。  奴は無意識に従っているだけだ。  ということはいずれ無意識に裏切る。  意思を持たぬ者など誰が信じるか!

思うにチェーザレという人は「人間とはどういう生き物か」ということに関して、齢16歳にして既にかなり多くのことを悟っている人なんですよね~。  現段階でアンジェロがチェーザレに憧れもどきの感情を抱きつつ賞賛しているような「いい人」ではないんですよ。  ただ、自分が思うように行動するために、人をどう扱えばいいのか(奴隷のように・・・ではなく、その気にさせるという意味で)を本能的に察知できる人。  だからこそミゲルの評価が出てくるんだと思うんですよ。

だからと言ってチェーザレは友人ではないぞ。  おまえがチェーザレをどう思おうが勝手だが奴をそこいらの貴族の子弟と一緒にはするな。  あれは野生動物のように頑強でずる賢い。  あまりあれのことを信用するな。  あれに傾倒すればするほど、お前はいずれチェーザレに失望する。

言ってみればアンジェロの美化した「いい人イメージ」でチェーザレに憧れるのはとっても危険なんですよね。  この漫画ではチェーザレが美形なだけに尚更です(笑)。
 

KiKi にしては珍しい漫画のエントリー3作品目の「チェーザレ 第2巻」の Review です。  このブログで漫画を取り上げる際にはそれなりに理由があって、最初の「ニーベルンクの指輪 (池田理代子)」は「KiKi の大好きなオペラがらみ」で、2作品目の「のだめカンタービレ (二ノ宮知子)」はこのブログの2つ目の柱「クラシック音楽鑑賞がらみ」で、そしてこの作品はこれからの課題になるのですが「ダンテの神曲がらみ」で取り上げています。  この第2巻でその「神曲」を一度は読まねばなるまいと KiKi に思わせたエピソードが出てきます♪。  ま、てなわけで本日のKiKi の読了本はこちらです。

チェーザレ 破壊の創造者(2)
作:惣領冬実 監修:原基晶  講談社 モーニングKCDX

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チェーザレ・ボルジア、 レオナルド・ダ・ヴィンチ、 クリストファー・コロンブス、ジョヴァンニ・デ・メディチ。  4人の天才達 運命の交錯。  華麗なるルネッサンス絵巻。  (Amazon より転載)

ず~っと昔、何かの本か雑誌で以下のようなお話に出会ったことがあります。  曰く、とあるパーティーでちょっとダサイけれど高名な文学者と、時代の先端を行くようなハイセンスな女性が出会った。  その女性は会話の中でとあるベストセラー作品の話題を出し、その文学者に感想を聞いたところまだ読んでいないという返事だった。  するとその女性は「まあ、先生。  あのベストセラー作品をまだ読んでいらっしゃいませんの?  早くお読みになるべきですわ。  発売されてもう何ヶ月にもなりますもの・・・・」と言った。  するとその文学者はそれを軽く受け流したうえでその女性に「ところであなたはダンテの『神曲』をお読みになりましたか?」と尋ねた。  まだ読んだことがないと答えた女性にその文学者は言った。  「早くお読みになるべきですね。  発刊されてもう何百年にもなりますから・・・・」  この話を読んだときから KiKi の頭の中に「いずれは『神曲』を読まねば・・・・」という想いが残るようになりました。  でもまあ、未だに読んだことがないんですけどね(苦笑)  で、そんな KiKi に再び「これは早く『神曲』を読まねば!」と思わせてくれたのが、な、な、なんと、この漫画でした(笑)

この第2巻ではチェーザレがコロンブスと接点があったり、レオナルド・ダ・ヴィンチと初邂逅を果たしたり、サヴォナローラが登場したりと、ある意味で読者サービス的なエピソードが満載なのですが、KiKi の興味をもっとも引いたエピソードはそれらではなく、別の2つのエピソードです。  その1つ目はアンジェロと出かけた社会科見学での途上でチェーザレが語る言葉です。  ピサの貧困地区の現実をアンジェロに見せたチェーザレは自分を抑えきれなくなって叫びます。  

本当に忌々しき問題はこの現状が彼らの招いたものではなく、教会 - ドメニコ会によって作られたものということだ。  この地域の貧者を悲惨な状況に追い込んでいるのはドメニコ会の連中だ。  奴らは神の名を巧妙に利用して貧者を救う術を隠している。  本当に彼らを救済しようと思うなら残飯を与えても意味はない。  本当に与えねばならないのは働く場であり技術を身につけさせることだ。  だが連中はそれをしようとはしない。  貧民が豊かになれば人々は地獄を信じなくなる。  地獄を恐れるからこそ神に救いを求めるのだ。  だから教会はその力を発揮できる。  つまり教会には恐れ苦しむ人間が必要不可欠なのだろうな・・・・・。  彼らから光ある未来を取り上げ与えるものはたった一欠片のパンのみ。  そして祈れと言う。  祈れば救われると・・・・・。  神に祈ることで救われるなら何故あの者達は毎夜飢えて残飯を漁らねばならぬのだ。  何故母親が生まれたばかりの我が子を水に沈め、殺さねばならぬのだ。  それを見ても彼らはただ祈れと言う。  祈れば腹がふくれると言うのか。  祈れば温かな寝床で眠れると言うのか。  聖職者の名を語るあのくずどもが!

これって決してチェーザレがイマドキの価値観で言う「いい人」だから・・・・という発言ではないと KiKi は思うんですよね。  KiKi がチェーザレという人間に興味を持ってやまないのは要するに「教会側」の人間であるはずのチェーザレが、当時の「教会の教え」を盲目的に信じるのではなく、そこに存在する矛盾を冷徹に見つめ、そのうえで「民心をいかに教会に向けるか?」を考える人ではないというところ。  このエピソードのような考え方をしているうちに、彼は「聖職者よりは政治家向きの自分」を自覚していくんだと思うんですよ。  そのうえで政治家としてのある種の「優先順位」というか、「価値観」というか、「立ち位置」をこういうエピソードの積み重ねによって確立していったタイプの人間だったんじゃないのかな・・・・・と。  そしてね、彼がもっとも凄いと思うのは、「政治家としての自分を生かすために教会の権威の利用の仕方を考える(≒ 民心掌握術)人間」だったんじゃないかなと思えるところなんですよね~。 

今日も引き続き現在絶版中の岩波少年文庫を読み進めている KiKi ですが、同時並行で久々にとあるお気に入りの漫画も再読しています。  KiKi はね、漫画世代に属する人間ではあるのですが、どちらかというと漫画というヤツをあまり好みません ^^;  漫画よりも文字と挿絵だけの本の方が子供の頃から好きでした。  でも、そんな KiKi でも大好きだった漫画が1つありました。  それは池田理代子さんの「ベルサイユのばら」でした。  フランス革命を描いたあの大巨編は KiKi が小学生の頃に「週刊マーガレット」という女性漫画誌に掲載されていたのですが、これが言ってみれば KiKi の漫画開眼の記念碑的(?)作品です。 

まあ、この作品と同時期に同じ週刊マーガレットに「エースをねらえ!」というテニス漫画が掲載されていて、この2つが KiKi にとっては結構嵌った漫画だったのですが、その後あまり興味をそそられる漫画には出会いませんでした。  大学生になった頃遅ればせながら「キャンディ・キャンディ」に出会い、「タッチ」に出会い、「ガラスの仮面」に出会い・・・・・・  まあ、そのあたりが KiKi の漫画遍歴と言っても過言ではありません。  池田理代子さんの作品も、「ベルばら」以降はリアルタイムでは読んでおらず、こちらは大人になってから「漫画文庫」で「オルフェウスの窓」やら「栄光のナポレオン」やら「女帝エカテリーナ」やら「天の涯まで ポーランド秘史」やらに出会いました。  そしてつい最近、「のだめ」に出会った・・・・  要するにこれが KiKi の漫画暦です。  で、そんな自分の漫画遍歴を見ていて気がついたのは、KiKi が好む漫画は「歴史モノ」か「音楽モノ」の漫画がやたら多いということです。  で、本日ご紹介する漫画もご他聞にもれず、「歴史モノ」の一品です。

チェーザレ 破壊の創造者(1)
作:惣領冬実 監修:原基晶  講談社 モーニングKCDX

51WQ11TG7WL__SL500_AA300_.jpeg (Amazon)

歴史の闇に葬られた人類史上、最も美しき英雄、チェーザレ・ボルジアの真実が甦る。  新鋭ダンテ学者・原基晶が監修。  世界的に最も定評のあるサチェルドーテ版チェーザレ・ボルジア伝のイタリア語原書を翻訳し、精査を重ね生まれた全く新しい物語。  (漫画本カバーより転載)

とにかく KiKi はこのチェーザレ・ボルジアという人物には半端じゃなく興味を持っていました。  過去に「歴史上の人物の中で誰が好き?」というような問いを投げかけられたとき、「チェーザレ・ボルジア」と答え、「誰、それ??」と逆に聞き返されたことの何と多かったことか!!  歴史の教科書にも出てこない彼の存在をどうやって知ったのかはもう覚えていないし、何にそんなに惹かれたのかは今もって定かではないんだけど、何故かこの男、KiKi の興味を捉えて離さないんですよね~。  で、高校生ぐらいの頃にマキャベリの「君主論」がチェーザレをモデルにして書かれていたりもするということを知ったときには、何だかマキャベリさんに妙な親近感を持ったことを今も覚えています。

とは言え、チェーザレ・ボルジアが実際のところどんな人物だったのかを紹介している本ってさほど多くないんですよね。  大人になって塩野七生さんの「チェーザレ・ボルジア あるいは優雅なる冷酷」が世に出たときは本当に嬉しかった!!!  思えば KiKi が塩野さんのファンになったのはこの「チェーザレ繋がり」があったればこそ!と言える様な気がします。

で、そういう意味では本来であればこの漫画のベースになっている「サチェルドーテ版 チェーザレ・ボルジア伝」をこそ KiKi は読みたいのですよ。  日本語にさえなっていれば!!!  でもね、生憎 KiKi はイタリア語はさっぱりだし、今からイタリア語を1から学んでまでして読もうというほどには若さもパワーもありません ^^;。  で、数年前にこの漫画を店頭で見つけたときに思わず衝動買いをし、以来、コツコツと1冊ずつ買い集めているのです。  なかなかゆっくりペースの発刊でいつになれば最終話にたどり着くのか、現在までに市販されている7冊が全体の何%を占めるのか、まったく知らないのですが、じっくりと丁寧に最後まで完成させて欲しい「大人の観賞に耐えうる漫画」だと思っています。   

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