北方謙三の最近のブログ記事

北方水滸第19巻(最終巻)の2周目です。

水滸伝 19. 旌旗の章
著:北方謙三  集英社文庫

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最終決戦の秋が訪れる。  童貫はその存在の全てを懸けて総攻撃を仕掛けてきた。  梁山泊は宋江自らが出陣して迎え撃つ。  一方、流花寨にも趙安が進攻し、花栄が死力を尽くし防戦していた。  壮絶な闘いによって同志が次々と戦死していく中、遂に童貫の首を取る好機が訪れる。  史進と楊令は、童貫に向かって流星の如く駈けた。  この国に光は射すのか。  漢たちの志は民を救えるのか。  北方水滸、永遠の最終巻。  (文庫本裏表紙より転載)

まずは恒例の各章のサブタイトルとその星が表す豪傑の名前の列挙からです。

地満の星: 玉旛竿・孟康
天威の星: 双鞭・呼延灼
地醜の星: 石将軍・石勇
地明の星: 鉄笛仙・馬麟
天捷の星: 没羽箭・張清
天魁の星: 呼保義・宋江

この巻単体で物語の評価をするなら正直なところ KiKi にとってはさほど面白い本ではありませんでした。  過去にも似たような記述を読んだような気がする戦闘シーンが全体に占める割合が多く、さもなければ続編に続く布石の物語のオン・パレードという印象なんですよね。  滅びの物語だから仕方ないとは言え最後の3巻ぐらいは好漢たちの死にざまの描写もどこか淡々としているし(まあ数が多いうえに戦場のお話だから仕方ないとも言えるけど ^^;)、周辺情報の描き方も物語の最初の頃に比べるとやっぱり雑さ加減が散見されます。

よくよく思い出してみるとこの印象は2周目だから・・・・・というよりは初読の時にも感じていたような気がするんですよ。  ただ初読の時はこの世界全体の結末がどうなるのか早く知りたくて、どうせ革命第一世代の物語は残念な結果に終わってしまうことは見え透いていたので最後の方は KiKi 自身が半ば飛ばし読みしていたような気がするんです。  つまり北方さんもそうだったのかもしれないけれど読者である KiKi 自身の気持ちの方もとっくに「楊令伝」に飛んでいた・・・・・そんな気がするんですよね。  

でもね、今回は2周目の読書なわけです。  そういう意味ではこの「水滸伝」の世界、革命第一世代の物語をもっともっと堪能したいと思って2周目に手を出したはずなのに、途中から「楊令伝」への布石のお話(しかもそれが結構唐突だったりする)がボロボロと出てくると、何て言うかちょっと冷めちゃうんですよ。  特にこの最後の最後に至っていきなり子持ちであることが判明する花栄とか 呼延灼の話なんかは、「はぁ??」っていう感じ・・・・

北方水滸第18巻の2周目です。

水滸伝 18. 乾坤の章
著:北方謙三  集英社文庫

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童貫軍の猛攻撃が始まった。  呼延灼は秘策をもってそれを迎え撃つ。  梁山湖では李俊ひきいる水軍が、巨大な海鰍船と対峙していた。  梁山泊に上陸される危険を背負いながら、幾百の船群に挑む。  一方、二竜山も陥落の危機を迎えていた。  趙安の進攻を一年以上耐え抜いた秦明は、総攻撃を決意する。  楊春、解宝が出撃、そして、青面獣の名を継ぐ楊令が初めて騎馬隊の指揮を取る。  北方水滸、死戦の十八巻。  (文庫本裏表紙より転載)

まずは恒例の各章のサブタイトルとその星が表す豪傑の名前の列挙からです。

天敗の星: 活閻羅・阮小七
地獣の星: 紫髯伯・皇甫端
地速の星: 中箭虎・丁得孫
天哭の星: 双尾蠍・解宝
地奴の星: 催命判官・李立
地平の星: 鉄臂膊・蔡福
地角の星: 独角龍・鄒潤

童貫さん、相変わらずありえないほど強いです。  でももっとビックリなのは楊令君です。  この段階でいくつなのかよくわからないのですが、王進スクールを卒業しいきなり梁山泊の新兵養成所に姿を現したと思ったら、入門試験で試験官をなぎ倒し、挙句あっという間に上級将校扱いです。  そして戦に参加したらいきなり相手の大将を討ち取ってしまうという活躍ぶりです。  もちろんこの手柄は手柄であるのと同時に規律を重んじる軍隊では許されることではない越権行為だったんですけど、その罰を受けるといきなり今度は正規の指揮官に、そしてふと気が付けば梁山泊本体の騎馬隊を任されちゃっています。

おまけに梁山泊入りして早々に林冲と手合せ、騎馬での駆け比べをしちゃってあの林冲をして「老い」を感じさせ焦らせちゃうというこれまたありえない成熟ぶりを示してくれちゃいます。  ますますもって世代交代を意識させられるストーリー展開にちょっと苦笑い・・・・・。  ところが苦笑いしている暇にふと気が付けば二竜山がいよいよもって危なくなっていて、楊令の養父といってもいいような梁山泊第7位、霹靂火・秦明が命を落とします。

  

北方水滸第17の2周目です。

水滸伝 17. 朱雀の章
著:北方謙三  集英社文庫

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童貫と鄷美が、怒涛の猛攻を開始した。  董平率いる双頭山が総力を挙げて迎え撃つが、次々と同志は討たれていく。  更なる禁軍の進攻を止めるため、侯健は偽の講話案を進めていた。  巧みに高俅を信じさせるが、そこには思わぬ落とし穴が待ち受けている。  一方、致死軍と高廉の軍の決戦が間近に迫っていた。  闇の中で、両者は息を潜め、刃を交える時を待っている。  北方水滸、悲泣の十七巻。   (文庫本裏表紙より転載)

まずは恒例の各章のサブタイトルとその星が表す豪傑の名前の列挙からです。

天立の星: 双鎗将・董平
地巧の星: 玉臂匠・金大堅
天巧の星: 浪子・燕青
地捷の星: 花項虎・龔旺
地狂の星: 独火星・孔亮
地損の星: 一枝花・蔡慶

童貫さん、ありえないほど強いです。  こんなに強い人が軍部のトップにいたのに、これまでの地方軍をはじめとするその他の軍のメタメタさ加減は何だったんだろうと思わずにはいられないほど強いです。  これは前半で梁山泊軍を強く描き過ぎちゃったために、そのぶんラスボスは徹底的に強くしなければならなくなっちゃったとしか思えません。  まるである時期までのファイナル・ファンタジーのラスボスみたい(倒すのに運と時間が必要)な状態です。  そんなラスボスもついこの間梁山泊入りしたばかりの張清さんの飛磔を食らって肩に負傷(あんど 戦線離脱)というお茶目(?)な一面を見せてくれたりもするんですけどね(笑)

さて、とは言うものの、残り3冊となったこの巻ではこれまで以上に多くの方々が鬼籍に入られてしまいました。  特に盧俊義と魯達の死はひとつの時代が終わったことを否応なく感じさせられます。  ここから先は「梁山泊・滅びの世界」です。  でも、そんな中、わずかな希望があるとするならばそれは次世代の人々の成長ではないでしょうか?  もちろんその筆頭にいるのは楊令です。  楊令はいよいよあの「吹毛剣」を手に取り、病身の魯達を子午山に運んできた黒旋風・李逵の得意技、板斧で石を切りつつ研ぐ技を見ただけで吹毛剣の研ぎかたを会得しちゃったりもする只者ではないオーラを放っています。

  

北方水滸第16巻の2周目です。

水滸伝 16. 馳驟の章
著:北方謙三  集英社文庫

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梁山泊は戦によって、潰滅寸前にまで追い込まれていた。  回復の時を稼ぐため、侯健と戴宗が偽の講和案を持って高俅に近づく。  また、晁蓋を殺した史文恭が再び動き出した。  名を変え、商人になりすまし、次なる標的のそばで暗殺の機を待ち続けている。  それに対し、公孫勝は袁明の首を狙っていた。  堅牢な守りをかいくぐり、いま、致死軍が青蓮寺を急襲する。  北方水滸、暗闘の十六巻。  (文庫本裏表紙より転載)

まずは恒例の各章のサブタイトルとその星が表す豪傑の名前の列挙からです。

天貴の星: 小旋風・柴進
地雄の星: 井木犴・郝思文
地壮の星: 母夜叉・孫二娘
地数の星: 小尉遅・孫新
天牢の星: 病関索・楊雄
地陰の星: 母大虫・顧大嫂

大戦直後、しかも回復の時を稼ぐための「講和」を模索している真っ只中のお話ということで、表面的には梁山泊 vs. 官軍のお話はちょっとなりをひそめた1巻だったと思います。  こういう時に発生するのは当然のことながら裏工作のお話・・・・となるわけで、晁蓋を暗殺した史文恭が再登場。  隠居生活を送っていたような老人(しかも健康食品やらジム通いで若さを保つ余裕がある現代の老人ではない!)が30代ぐらいの若者に化けるというのは時代的にもちょっと難しいんじゃないかと思わないでもなかったけど、まあお話の世界だからいいでしょう。

で、この史文恭、さすが・・・・と言うべきか何と言うべきか、宋江や呉用には結局手が出せずじまいだったけれど、今では梁山泊の兵站・物資のすべてを担っていると言っても過言ではない序列第10位の小旋風・柴進と第47位の鉄面孔目・裴宣の暗殺をやり遂げてしまいます。  もっともその直後に史文恭暗殺をライフワーク(?)としていた赤髪鬼・劉唐にやられちゃうんですけどね。  「暗殺者」というお仕事はさておき、個人的には敵陣の中でかなりお気に入りの人物だった史文恭の死というのはちょっと・・・・というか、かなり残念な気がしました。 

 

北方水滸第15巻の2周目です。

水滸伝 15. 折戟の章
著:北方謙三  集英社文庫

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どの寨が崩れても、梁山泊は潰滅する。  極限状況の中、各寨は必死の防戦をしていた。  特に激しい攻撃に晒された流花寨は、花栄らが死を覚悟して闘い続ける。  しかし、官の水軍の進攻が始まり、それも限界が近づいていた。  一方、宣賛は起死回生の策を考え出す。  密かに李応や索超、扈三娘を北京大名府に急行させた。  梁山泊の命運を握る作戦が今、静かに始まる。  北方水滸、危局の十五巻。  (文庫本裏表紙より転載)

昨日のブログ・エントリーでもお話していたように、ちょっと色々あって読了日から日にちが経っての Review となってしまいました。  そのためこの巻のお話がどんなお話だったのかはちょっとうろ覚え状態に陥りつつある中でこの Review を書いています。  まずは恒例の各章のサブタイトルとその星が表す豪傑の名前の列挙からです。

天英の星: 小李広・花栄
地煞の星: 鎮三山・黄信
地遂の星: 通臂猿・侯健
天損の星: 浪裏白跳・張順
地察の星: 青眼虎・李雲
地奇の星: 聖水将・単廷珪

前巻から引き続き梁山泊は官軍と総力戦を繰り広げています。  ここまで「やる気的」にも「実力的」にも散々の描かれ方をしてきた官軍ですが、やっぱり正規軍には正規軍の強みがありました。  相変わらず「やる気的」には梁山泊軍の方に歩があるとは言え、物量的にも人材的にも豊富な補給を受けられるうえに、少なくとも上に立つ将軍たちの質がこれまでとは雲泥の差に変貌を遂げている官軍です。  しかもその官軍を裏方で支えている青蓮寺も力を増し、ついでに李富や聞煥章も経験値を積んでいます。  こうなってしまうといくら少数精鋭の英雄豪傑を抱え、一兵卒に至るまでの士気の高さに勝る梁山泊軍と言えども消耗戦に陥っていきます。


北方水滸第14巻の2周目です。

水滸伝 14.爪牙の章
著:北方謙三  集英社文庫

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梁山泊は、威勝の田虎の叛乱が青蓮寺の策略だと看破した。  近くの石梯山に魯達や鄒淵らを派遣し、切り崩しを図る。  しかし、田虎に雇われた張清が、精強な傭兵部隊を率いて立ちはだかった。  一方、官は梁山泊の完全殲滅を決意する。  禁軍・地方軍・水軍あわせて20万の軍兵を投入してきた。  兵力で圧倒的に劣る梁山泊に対し、空前の規模の攻撃がついに始まる。  北方水滸、焦眉の十四巻。  (文庫本裏表紙より転載)

まずは恒例の各章のサブタイトルとその星が表す豪傑の名前の列挙からです。

地急の星: 一丈青・扈三娘
天平の星: 船火児・張横
地短の星: 出林龍・鄒淵
天究の星: 没遮攔・穆弘
地強の星: 錦毛虎・燕順
地猛の星: 神火将・魏定国

この巻は KiKi としてはちょっと中だるみの巻なんですよね~。  それは初読の時もそうだったし、2周目の今回もそうなんですよ。  戦の話もどちらかというと地味目だし(そんな中命を落とす人もいるので地味な~んて言ったら失礼だけど)、恋愛沙汰のお話もさほど色気もないし・・・・・。  要するに素っ裸で暴れまわる史進の話と膠着戦の中で捨石覚悟で戦う燕順の話を除くとどちらかというと盛り上がりには欠ける巻かなぁ・・・・・と。

で、結果的に KiKi のお気に入りは?と言えば手癖の悪い息子に悩む父・張横とそんな自分を本人自身が持て余している息子張平の話が一番心に残ったりするわけです。  梁山泊が誇る通信網の要である張横だけど、決して家庭的には平穏とはいかなくて、奥さんとの仲はビミョーな感じだし、そんなビミョーな夫婦仲を感じて育った張平君は心に満たされないものを抱えて苦しんでいます。

そしてこういう道をちょっと踏み外し気味の青年が出てくればお約束のように登場するのがあの「王進スクール」です。  そこに至るまでの旅の途中で武松 & 李逵の凸凹コンビと出会い、李逵からきついお仕置きを受けちゃったりするあたり、「このままでは終わらないだろう張平」を感じさせるエピソードになっていると思います。


北方水滸第13巻の2周目です。

水滸伝 13. 白虎の章
著:北方謙三  集英社文庫

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官は十万以上の兵で、梁山泊への進攻を開始した。  流花寨には趙安の軍が押し寄せ、呼延灼、関勝、穆弘がそれを迎え撃つ。  呉用は流花寨の防衛に執心するが、官の狙いは別の所にあった。  董万の大軍が息を潜め、急襲の秋を待っている。  一方、孔明と童猛は官の造船所の襲撃を計画した。  強固な防備の中、百名の寡兵で潜入を試みる。  そして、ついに董万が疾風の如く動き出した。  北方水滸、決死の十三巻。  (文庫本裏表紙より転載)

まずは恒例の各章のサブタイトルとその星が表す豪傑の名前の列挙からです。

天剣の星: 立地太歳・阮小二
地祐の星: 賽仁貴・郭盛
地僻の星: 打虎将・李忠
地飛の星: 八臂哪吒・項充
地退の星: 翻江蜃・童猛

前巻の Review で KiKi は

お互いの「譲れないもの」と「国家のありようはこうあるべき」というビジョンを賭けての全面戦争の空気を漂わせて13巻へ進みます。

と書いたわけだけど、とうとうこの巻に至って官軍 vs. 梁山泊の戦いはほぼ全面戦争の様相を呈してきました。  数で劣る梁山泊側にとってみれば「全軍挙げての戦い」はこれが初めてではないけれど、官軍側が多面的に動き始めた最初の戦いと言ってもいいかもしれません。  それでも相変わらず童貫元帥とその直属の精強メンバーはまだまだ様子見のままなんですけどね(苦笑)  この物語の中での童貫元帥の描かれ方はどちらかというと偏屈親父で自分の戦の美学だけに拘り続ける扱いにくい人という印象が強いけれど、この巻ではそれだけではないことを匂わす描写がありました。  曰く、

そもそも帝と帝がおわす都を守ることがその存在目的である禁軍は当然のことながら遠征のための予算は限られている。

このままの表現ではなかったけれど、これ、結構重要なポイントだと思うんですよね。  「都を守る」≒ 「都の近くからは離れない」というほど短絡的なものではないと思うけれど、やっぱり金がなくちゃ戦はできないわけでして・・・・・。  まして地方軍を動かすための軍費は青蓮寺が運営する銀山から出てくるようになったからこそ戦ができている財政基盤状態の官軍です。  武力だけを頼みに後先考えずに戦に赴くわけにはいかないのは総大将であればある種当たり前の感覚だよなぁと思うわけです。

そういう意味では事ここに至って尚、自分の趣味の世界に大金を費やしてノホホンとしている帝はやっぱり暗愚としか言いようがないし、その周りでおこぼれ頂戴に躍起になっている政府高官の皆さんも情けない限りです。

   

北方水滸第12巻の2周目です。

水滸伝 12. 炳乎の章
著:北方謙三  集英社文庫

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青蓮寺は執拗に闇塩の道の探索を続け、ついに盧俊義の捕縛に成功した。  過酷な拷問を受ける盧俊義を救うため、燕青は飛竜軍とともに救出へ向かう。  一方、北京大名府に残る闇塩の道の証拠を回収すべく、宋江自らが梁山泊全軍を率いて出動する。  それに対して青蓮寺は、雄州の関勝将軍に出陣の命を出した。  宣賛と策を練り、梁山泊の盲点を見極めた関勝が静かに進軍する。  北方水滸、極限の第十二巻。  (文庫本裏表紙より転載)

まずは恒例の各章のサブタイトルとその星が表す豪傑の名前の列挙からです。

地健の星: 険道神・郁保四
地傑の星: 醜郡馬・宣贊
地正の星: 鉄面孔目・裴宣
地蔵の星: 笑面虎・朱富
地隠の星: 白花蛇・楊春

この巻のメインは闇塩の道の首魁・盧俊義の受難とそれを助け出す燕青の活躍、そして大刀関勝の梁山泊入りというあたりでしょうか。  でもね、この物語2周目の KiKi にはそのメインのストーリーラインからはちょっと外れている「王進スクール遊学中の楊令の成長」が結構心に残りました。  

もちろん初読の際には晁蓋を失った以降の宋江の変化やら盧俊義の受難やら燕青の常人離れした活躍にかなり目を奪われていたんですよ。  でもね、基本的にホラー系が苦手な KiKi にとっては盧俊義の拷問シーンな~んていうのは読んでいてさほど気分の良いものじゃない。  しかも今回は読書の最中に体調を崩していたという事情も重なって、そこはちょっと流し読み・・・・・ ^^; 

逆に梁山泊という切った切られたの世界からちょっと距離を置いているようでいて、しっかりと戦士教育を受けている楊令の姿に何かほっとするものを感じちゃったんですよね~。  さらに言えばその目撃者である「地隠星: 白花蛇・楊春」の立ち位置がいいと思うんですよね。  何となく周りの状況に流されて今ここにいる楊春。  「志」もさほど強く持っているわけではないし、何となくずっと一緒にいた仲間たちと一緒にいることが当たり前とだけ思って梁山泊入りした楊春。  でも、そのずっと一緒だと思っていた嘗ての仲間と配属先で切り離され、精神的迷子状態の楊春。  そんな楊春が「王進スクール遊学中の楊令」の成長目撃者というのはなかなか練られた構図だと思うんですよね。


北方水滸第11巻の2周目です。

水滸伝 11. 天地の章
著:北方謙三  集英社文庫

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梁山泊の頭領の対立が深刻化していた。  兵力をもっと蓄えたい宋江。  今すぐ攻勢に転じるべきだと主張する晁蓋。  しかし、青蓮寺は密かに暗殺の魔手を伸ばしていた。  刺客の史文恭は、梁山泊軍にひとり潜入し、静かにその機を待ち続ける。  滾る血を抑えきれない晁蓋は、自ら本隊を率いて、双頭山に進攻してきた官軍を一蹴し、さらに平原の城郭を落とした。  北方水滸、危急の十一巻。  (文庫本裏表紙より転載)

まずは恒例の各章のサブタイトルとその星が表す豪傑の名前の列挙からです。

地然の星: 混世魔王・樊瑞
地全の星: 鬼瞼児・杜興
地楽の星: 鉄叫子・楽和
天地の星: ???

あれ?  あれれ???  天地の星って、このリスト(↑)を作成する際に KiKi がいつも利用しているこちらのサイトにまったく登場しないんですけど???  ついでに岩波少年文庫の第59章「百八の英雄、忠義堂に集まって誓いをすること」に記載されている水滸百八星一覧にも登場しません。  どうやらこれ、どさくさに紛れて(?)北方さんが設定しちゃった「晁蓋の星」らしい・・・・・。  なるほど~、こうやって辻褄を合わせたって言うことですね?  ここまでの Review で水滸百八星の皆さんが次々と亡くなっていく過程で「(水滸百八星に数えてもらえない)晁蓋さんは相変わらずピンピンしています。」の一言で済ませてきた KiKi ですが、実はどんな風に落とし前をつけるのか、ず~っと気になっていたんですよ(苦笑)  そしてこの巻のまさにその「天地の星」の章で晁蓋さんは史文恭さんによって暗殺されてしまいました。

えっと、お話を進める前に実は前巻の Review でその巻で亡くなってしまった人リストを書いていたんですけど、そこに1人欠落している人物がいたことに気が付いちゃったのでそれを修正しておきますね。

地伏星: 金眼彪・施恩
地鎮星: 小遮攔・穆春
地走星: 飛天大聖・李袞

地囚星: 旱地忽律・朱貴

前巻は「呼延灼戦」がメインだったので、その戦で亡くなった方にばかり目がいっちゃって、それとは別のところで亡くなった朱貴さんのことはすっかり失念してしまっていました。

そしてこの巻で亡くなったのは以下のお2人です。

???: 托塔天王・晁蓋
地刑星: 菜園子・張青

全19巻の11巻目にして梁山泊側の108星に数えられる立場の人(+ 晁蓋さん)の中で死者数18名。  それなりの戦を経てきた割には少ないと言えるのかもしれません。  でもでも、早くに亡くなってしまったことにより星に数えてもらえなかった晁蓋さんの前に16名も亡くなっちゃっていたんですよねぇ・・・・・・。  (地刑星: 菜園子・張青さんは晁蓋さんが亡くなった直後、晁蓋さんと同じ史文恭により殺害)  まあ、物語としての説得性はこの「北方水滸」の方が高いからいいんですけど、相変わらずちょっと気になる KiKi です。


北方水滸第10巻の2周目です。

水滸伝 10. 濁流の章
著:北方謙三  集英社文庫

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官はついに地方軍の切り札・代州の呼延灼将軍に出撃命令を下した。  呼延灼は、一度だけなら必ず勝てると童貫に宣言し、韓滔らとともに、戦の準備を着々と進めていく。  凌振の大砲をはじめとして、恐るべき秘策を呼延灼は仕込んでいた。  一方、梁山泊は晁蓋自らが本隊を指揮し、万全の布陣で戦に臨む。  精強な軍同士の衝突が、静かに始まろうとしていた。  北方水滸、血戦の第十巻。  (文庫本裏表紙より転載)

まずは恒例の各章のサブタイトルとその星が表す豪傑の名前の列挙からです。

地威の星: 百勝将 ・韓滔
地軸の星: 轟天雷・凌振
天祐の星: 金鎗手・徐寧
地英の星: 天目将・彭玘
地刑の星: 菜園子・張青

ここまで官軍相手の戦では大きな兵力差をものともせず、連戦連勝を続けてきた梁山泊。  いくら民間伝承をベースにした物語とは言え、さらには官軍が情けない状態であることに助けられていたとは言え、やはりここいらで官軍サイドにも発奮していただかないと、物語に深みっていうモンが出てきません。  青蓮寺という好敵手がいる・・・・・と言えども、あちらは言ってみれば諜報機関 & 特殊部隊。  やっぱり軍隊には頑張ってもらわないと納税者に叱られます。  それに仮に組織がメタメタであちこちに綻びがあるとしても、人が多いということは中には埋もれている人材が必ずいるものです。

で、颯爽と登場するのが梁山泊側からも既に触手が伸びている呼延灼将軍。  楊志が「楊家将」の楊業の末裔なら、呼延灼は同じ時期に「楊家将」に登場した呼延賛の末裔です。  


北方水滸第9巻の2周目です。

水滸伝 9. 嵐翠の章
著:北方謙三  集英社文庫

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死んだはずの妻、張藍が生きている。  その報を受けた林冲は、勝利を目前にしながら戦を放棄し、ひとり救出へと向かう。  一方、呉用は攻守の要として、梁山泊の南西に「流花寨」を建設すると決断した。  しかし、新寨に楊戩率いる三万の禁軍が迫る。  周囲の反対を押し切って、晁蓋自らが迎撃に向かうが、禁軍の進攻には青蓮寺の巧みな戦略がこめられていた。  北方水滸、激震の第九巻。  (文庫本裏表紙より転載)

まずは恒例の各章のサブタイトルとその星が表す豪傑の名前の列挙からです。

天空の星: 急先鋒・索超
地佐の星: 小温侯・呂方
地微の星: 矮脚虎・王英
地走の星: 飛天大聖・李袞
地暗の星: 錦豹子・楊林

さすがにここまで進んでくると、似たような名前の人たちが頭の中でこんがらがってきて、誰が誰だかわからなくなり始めました(苦笑)  もちろん、間違えようもないほどに印象に残ったエピソードがあって頭に定着しちゃった好漢もいるんだけど、同じ漢字が使われた名前の人はいけません。  特に「李」が付く人・・・・。  黒旋風・李逵と青蓮寺の切れ者、李富の2人だけはちゃんと頭に残っているんですけどねぇ・・・・・(苦笑)

さて、物語の方はあの「祝家荘の戦い」が終わり、ちょっと一段落。  梁山泊側も青蓮寺側も先の戦の総括やら反省やら体制立て直しに余念がありません。  梁山泊は首都である東京開封府を攻めるための戦略拠点であり、既に構築されている二竜山・双頭山・梁山泊の大三角地帯をさらに南西に押し広げて梁山泊の砦の役割をも果たす「流花寨」の建築に踏み切ります。

「大きな戦の直後だから・・・・」、「もっと大きな戦に備えて軍費を蓄えなくちゃいけないから・・・・・」と色々な言い訳はあるらしいけど、この「流花寨建築」に対して官軍側(青蓮寺)がほぼ無反応なのがちょっと不思議です。  ここまでの戦ではほぼずっと負け続けでもあるわけだし、「可能な限り巨大化する前に潰す」な~んていうことも言っていたはずなのに、なんで放置なんでしょうかねぇ。  せいぜいが青蓮寺が新しく作ろうとしている「潜水部隊」の調練を兼ねた攻撃ぐらいしかしてこないとは・・・・・。  ま、「流花寨」よりも梁山泊の糧道、「闇の塩の道」を潰すこと、さらには梁山泊の要となる人材(特にこの段階では林冲)の暗殺の方がプライオリティが高いということで、一応納得しておくことにしましょう。  


北方水滸第8巻の2周目です。

水滸伝 8. 青龍の章
著:北方謙三  集英社文庫

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解珍・解宝父子は、祝家荘に大量の兵が入っていることに気づく。  官軍が梁山泊の喉元に、巨大な軍事拠点を作ろうとしていたのだった。  宋江、呉用らはそれを阻止しようとするが、堅固な守りと、張りめぐらされた罠によって攻め切ることができない。  勝利を確信した官軍に対し、梁山泊軍が繰り出した秘策とは。  最初の総力戦が、いま幕を開けようとしていた。  北方水滸、緊迫の第八巻。  (文庫本裏表紙より転載)

まずは恒例の各章のサブタイトルとその星が表す豪傑の名前の列挙からです。

天暴の星: 両頭蛇・解珍
地異の星: 白面郎君・鄭天寿
天富の星: 撲天鵰・李応
地悪の星: 没面目・焦挺
地勇の星: 病尉遅・孫立

この巻の白眉は何と言っても「祝家荘の戦い」なわけだけど、実は KiKi の印象に一番残ったのはその梁山泊にとって死ぬか生きるかというような戦いが始まる前に、戦ではなく言ってみれば事故で命を落とした豪傑のお話でした。  彼の名は鄭天寿。  この北方水滸では長きに亘って清風山に籠り「闇の塩の道」を守り続けた1人でした。  その清風山の皆さんの活躍はここまでさほど語られることもなく、「厳しい戦いを強いられ続けている」というような言葉であっさりと片付けられちゃってきていた物語的には不遇な1人だったんだけど、ここで思いっきりスポットライトが当たりました。

それにしても彼の人生は哀しい。  子供時代も不遇なら、青年時代も不遇、流れ流れて清風山に辿りつきふとしたことから晁蓋と、さらには晁蓋の仲介で盧俊義と出会い、「闇の塩の道」に関わるようになります。  そして梁山泊に合流。  で、これから・・・・・・という時にまさかの事故死です。  

高熱を出して苦しんでいる楊令の薬になる蔓草を任務の合間合間に探し続けていた鄭天寿は、祝家荘戦の前哨戦とでも呼ぶべき戦で見事に勝利をおさめた直後、その戦場だった岩山の崖の途中に探しても探しても見つけることができていなかったその蔓草を見つけます。  用心深く崖を降り、その蔓草を懐一杯に採集し立ち上がったところで足場が崩れ崖から落ちて落命。  しかもその蔓草がようやく楊令の手元に届くころには楊令は回復していて、「彼の死は何だったんだ??」状態という間抜けぶりです。

でもね、「戦で雄々しく死ぬのだけが梁山泊の男じゃない!」という北方さんのメッセージがそこにあるような気がしました。  何が哀しいって彼の最期の独白が何とも言えず哀しいんですよ。  彼は崖から落ちながら、高熱に苦しむ楊令を思い浮かべ、いつしかその楊令の顔がずっと昔に飢えで亡くした弟の顔と重なります。  そして

いま、持って帰ってやる。  食い物を持って帰ってやる。  兄ちゃん、やるだろう。

と心の中でつぶやくんですよ。  こんな間抜けな死に方はないだろうというような死に方だけど、戦の中で華々しく命を散らす男たちの姿よりも何倍も強烈な死として KiKi の心に残りました。  ホント、惜しい人を亡くしたものです。

           

北方水滸第7巻の2周目です。

水滸伝 7. 烈火の章
著:北方謙三  集英社文庫

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聞煥章が宋江の居場所を掴んだ。  宋江は太原府の山中に追い込まれ、一万数千の官軍に包囲されてしまう。  陶宗旺が石積みの罠を仕掛け、攻撃に備える。  官軍は包囲網をせばめ、ついに火攻めを開始した。  飛竜軍、朱仝と雷横の兵、さらに林冲の騎馬隊が宋江の元へ駆けつけていく。  一方、青蓮寺は史進率いる少華山の殲滅を目論む。  その謀略に対して、史進はある決断を下した。  北方水滸、動乱の第七巻。  (文庫本裏表紙より転載)

まずは恒例の各章のサブタイトルとその星が表す豪傑の名前の列挙からです。

地伏の星: 金眼彪・施恩
地理の星: 九尾亀・陶宗旺
地周の星: 跳澗虎・陳達
天勇の星: 大刀・関勝
地賊の星: 鼓上蚤・時遷

前巻で KiKi は

宋江さんの「今の自分が置かれている立場」に対する鈍感さが何等かの悲劇を生みそうな気配がプンプン

と書いたわけだけど、案の定、宋江さんと4人の愉快な仲間たちの「宋国内道中膝栗毛」の顛末として、宋江さんの身代わりとして亡くなる方が出てきてしまいました。  北方水滸の前半の登場人物の中では比較的 KiKi のお気に入りだった天退星: 挿翅虎・雷横さんです。  早くからの同志であり、晁蓋さんたちが梁山泊入りしてからも宋江さんが小役人の隠れ蓑を着ている間はじっと我慢の子を貫き通して官軍に身を置き、その宋江さんが小役人の地位を追われた際にようやく官軍を離脱して影に日向に彼の逃亡を助け、その後は呉用さんプロデュースの梁山泊・新しい拠点づくり(≒ 双頭山)にも尽力したような大切な人です。  そんな人をこういう形で失くしてしまうとは、

「やっぱりこの責任はあんたにある! > 宋江さん」

と KiKi は声を大にして言いたい!!

もっとも、宋江さんご一行がたった5人で山に立てこもり、それを一万数千の官軍に包囲されながらも無事脱出できた陰には、陶宗旺さんの超人的な石積みの技術とその原料調達でこれまた超人的な石切り技術を披露した李逵さんの大活躍があればこそで、その素晴らしさを語るエピソードとしてはなかなかのものがあったのも又、事実なんですけどね。


北方水滸第6巻の2周目です。

水滸伝 6. 風塵の章
著:北方謙三  集英社文庫

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楊志を失った梁山泊は、その後継者として官の将軍・秦明に目を付けた。  秦明を梁山泊に引き入れるため、魯達は秘策を考え出す。  また、蔡京は拡大する梁山泊に危機感を抱き、対策を強化するため青蓮寺に聞煥章を送り込む。  聞煥章は李富が恐怖を覚えるほどの才覚を持っていた。  聞煥章が最初に試みたのは、宋江の捕縛である。  強力な探索網が宋江を追い詰めていく。  北方水滸、緊迫の第六巻。  (文庫本裏表紙より転載)

まずは恒例の各章のサブタイトルとその星が表す豪傑の名前の列挙からです。

地闊の星: 摩雲金翅・欧鵬
地文の星: 聖手書生・蕭譲
地狗の星: 金毛犬・段景住
天猛の星: 霹靂火・秦明
地劣の星: 活閃婆・王定六

前巻で二竜山の頭領だった楊志を失った梁山泊。  とりあえずの頭領代行は林冲だったけれど、案の定、彼は騎馬隊あり、歩兵軍団あり、ついでに集団生活のマネージメントありという組織を動かすジェネラリスト・タイプではなく、結局その後継者を外部からのヘッドハンティングに頼らざるを得ませんでした。  こうしてよく言えば「オーガナイザー」、悪く言えば「人たらし」の名人魯達によるリクルート活動が始まります。  こういうあたり、現代のビジネス社会と同じです。  もちろん人にもよるけれど、往々にして超有能なスペシャリストが必ずしもマネージメントには向かないのとまったく同じ構図です。

北方水滸での秦明のヘッドハンティングの秘策というヤツ。  必ずしもフェアとは言い切れない部分はあるものの、原典でのヘッドハンティングのやり方に比べれば遥かにまともで、彼が官軍を抜けて梁山泊に与するに至るシナリオの説得力は上と KiKi は見ました。  まぁ、これも現代的価値観によれば・・・・・ということではあるんですけどね(苦笑)

北方水滸第5巻の2周目です。

水滸伝 5. 玄武の章
著:北方謙三  集英社文庫

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宋江の居場所が青蓮寺に発覚した。  長江の中洲に築かれた砦に立て篭るが、官軍二万に包囲される。  圧倒的な兵力に、宋江は追い詰められていく。  魯智深は、遼を放浪して女真族に捕縛される。  鄧飛ひとりが救出へ向かうが、幾多の危難がそこに待ち受けていた。  そしてついに青蓮寺は、楊志暗殺の機をつかむ。  妻子と共に闇の軍に囲まれ、楊志は静かに吹毛剣を抜いた。  北方水滸、衝撃の第五巻。  (文庫本裏表紙より転載)

ではまず恒例の各章のサブタイトルとその星が表す豪傑の名前の列挙からです。

地進の星: 出洞蛟・童威
地闘の星: 火眼狻猊・鄧飛
地会の星: 神算子・蒋敬
地空の星: 小覇王・周通

さて、ここまでの巻では梁山泊に集う(必ずしも梁山泊に籠ったわけではないけれど ^^;)豪傑たちはひたすら増える一方だったけれど、この巻ではとうとう亡くなる方が出てきてしまいました。  著者はどこかのインタビューか何かで「俺の水滸伝では人が死ぬんだよ」と仰ったらしいのですが、それにしても早いですねぇ。  

確かに官軍と戦いながらも同志がひたすら増える一方で108人が梁山泊に勢揃いという原典のプロットではあまりにもリアリティがなさすぎだけど、正直なところ KiKi は1つだけ疑問に感じてしまったことがあります。  それはね、原典では1人も欠けずに(晁蓋を除く)108人が勢揃いして、だからこそその108人が108星の生まれ変わりというお話になっているわけで、しかもその108星が道教の世界では結構重要だったりもするわけで、そんな宗教的なバックグラウンドを活かしたお話になっているのに、晁蓋より先に星の生まれ変わりの人たちが死んじゃっていいんだろうか??

この KiKi の Review では冒頭で108のお星さまと豪傑の名前の一覧表を各巻・各章のサブタイトルに合わせてご紹介しているわけだけど、実はこの108星の中に晁蓋に該当する星はありません。  初期の梁山泊は晁蓋の力によってまとめられていると言ってもいいほど最重要人物の1人であるにも関わらず、梁山泊に豪傑108人が揃う前に戦死してしまうために108星には含まれないということになっていたはずなんですけどねぇ・・・・・。

まあ、現代日本には108星な~んていうのは文化的にもまったく浸透していないわけだし、北方さんもそんな文化的な背景へのある種のオマージュとして各章のサブタイトルにのみこの108つのお星さまを登場させている・・・・っていうことなのかもしれません。

北方水滸第4巻の2周目です。

水滸伝 4. 道蛇の章
著:北方謙三  集英社文庫

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馬桂は愛娘を殺され、悲嘆にくれていた。  青蓮寺は彼女を騙して梁山泊への密偵に仕立て上げ、ひそかに恐るべき謀略を進めていく。  一方、宋江は、民の苦しみと官の汚濁を自らの眼で見るため、命を懸けて過酷な旅を続けていた。  その途中で、純真さゆえに人を殺してしまった李逵と出会う。  李逵は次第に宋江に惹かれていくが、そこに思わぬ悲劇が待ち受けていた。  北方水滸、波乱の第四巻。  (文庫本裏表紙より転載)

ではまず恒例の各章のサブタイトルとその星が表す豪傑の名前の列挙からです。

天退の星: 挿翅虎・雷横
地鎮の星: 小遮攔・穆春
地孤の星: 金銭豹子・湯隆
天寿の星: 混江龍・李俊
天殺の星: 黒旋風・李逵
天速の星: 神行太保・戴宗

第3巻に至るまでは「志」とは関係なく何となく梁山泊に参加しちゃうことになった人物として、安道全(医者)、薛永(薬師)、白勝(養生所 & 薬方所の管理者)がいたけれど、この巻ではさらにそこに湯隆(鍛冶屋)、李逵(怪力男)が加わりました。  李逵はちょっと例外として、実際に武器をとって戦う男以外で梁山泊に入ってくる人はどちらかと言えば「志」には無頓着な人が多いようです。

いわゆるスペシャリスト・個人プレイヤーには極論すれば「志」なんちゅうもんはさほど必要なく、自分のスペシャリティを活かせる機会・場所がまずは優先されるというのは現代社会においても同じです。

逆に自分の命をかけて体制と剣を交えて戦う男(しかも指揮官になろうかというような人間)には「志」というようなある種の Vision が必要になるのは無理もありません。   実際、命令一下でひたすら戦う戦士たちの命を預かるうえで、「何のために戦うのか?」がないような指揮官では単なる無鉄砲、殺人鬼と同じと言っても過言ではありません。

因みに宋江さんの志がどんなものなのかはこの物語の中ではほとんど明記されていないけれど、

自分が駄目だと思っていない人間とは、ほんとうは話し合える余地はなにもない。
自分が駄目だと思っている男の方が、駄目ではないと考えている者よりずっとましだ。  人には、どこか駄目なところがあるものなのだからな。
志は、志なりにみんな正しい。  そして、志が志のままであれば、なんの意味もない。

というような発言から察するに、今風の言葉で言えば「現状に問題意識を持ち」、「その問題を解決するために自分にできることは何かを考えそれを実行する覚悟を持ち」、「実際に動く時には可能な限り無駄なことはせず」、「自分一人がヒーローになろうとするのではなく」、「人と一緒に何かをする(自分にできること、人に任せることをちゃんとわきまえる)」というようなことなのかなぁ・・・・と。


北方水滸2周目も第3巻まで進みました。  本日の(というより実際には一昨日の・・・・なんですけど ^^;)KiKi の読了本はこちらです。

水滸伝 3. 輪舞の章
著: 北方謙三  集英社文庫

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楊志は盗賊に襲われた村に遭遇する。  人々は惨殺され金品は奪い尽くされていた。  何も手を打とうとしない政府に衝撃を受けた楊志は、魯智深と共に盗賊の根城・二竜山に乗り込む。  そして初めて吹毛剣を抜く。  一方、国を裏から動かす影の組織・青蓮寺は、梁山泊の財源である「塩の道」を断とうと画策する。  それに対抗するため、公孫勝率いる闇の部隊・致死軍が動き出す。  荒ぶる北方水滸、灼熱の三巻。  (文庫本裏表紙より転載)

まずは KiKi の北方水滸 Review のお約束、各章のサブタイトルとその星が表す豪傑の名前の列挙から今日も始めたいと思います。

地稽の星: ??
天慧の星: 拚命三郎・石秀
天機の星: 智多星・呉用
地俊の星: 鉄扇子・宋清
地魁の星: 神機軍師・朱武
地好の星: ??
天満の星: 美髯公・朱仝

おや?  おやや??  岩波少年文庫の下巻、59章の108人のリストでも、水滸伝百八星一覧というウィキ・サイトでも該当する星が見つけられない星が2つもありますよ??  これは何なんでしょう??  で、あれこれ調べてみたら、地稽の星は KiKi の手持ちの資料で言えば地羈星: 操刀鬼・曹正のこと、地好の星は同じく地猖星: 毛頭星・孔明のことらしい・・・・・。  結局、天罡星三十六星、地煞星七十二星に関するちゃんとした知識を持ち合わせていないからこうなっちゃうということみたい(?)です。  何が何だかさっぱりわからないけど、とりあえずは整理して一覧表を完成させておきましょう。

地稽の星: 操刀鬼・曹正
天慧の星: 拚命三郎・石秀
天機の星: 智多星・呉用
地俊の星: 鉄扇子・宋清
地魁の星: 神機軍師・朱武
地好の星: 毛頭星・孔明
天満の星: 美髯公・朱仝
やれやれ、とりあえずリスト化が歯抜けにならず一安心です(苦笑)

北方水滸第2巻の2周目です。

水滸伝 2. 替天の章
著:北方謙三  集英社文庫

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梁山湖に浮かぶ天然の寨には、世直しを志す者たちが集まっていた。  しかし頭領である王倫の堕落により、今は盗賊同然の集団となっている。  宋江の命を受けた林冲は、安道全とともに寨に入りこんだが、そこには幾多の罠が待ち受けていた。  一方、晁蓋は、巨額の税が賄賂として宰相に贈られることを知る。  民の苦しみの結晶であるその荷を奪うための秘策とは。  熱く血がたぎる「北方水滸伝」、第二巻。  (文庫本裏表紙より転載)

せっかく第1巻でもやってみた各章のサブタイトルと、そのサブタイトルが示す人物の相関図からまずは記録しておきたいと思います。

天傷の星: 行者・武松
地幽の星: 病大虫・薛永
天暗の星: 青面獣・楊志
天間の星: 入雲龍・公孫勝
地耗の星: 白日鼠・白勝
天異の星: 赤髪鬼・劉唐
地妖の星: 摸着天・杜遷
地魔の星: 雲裏金剛・宋万

この第2巻の物語としては武松の悲劇 & 虎退治、楊志 vs. 林冲の戦い、公孫勝 & 劉唐による致死軍の創設、梁山泊乗っ取りのためのあれこれ(白勝、杜遷、宋万の働き)といったあたりなので、このサブタイトルと中身がほぼ一致しているといってもいいのではないかしら?

梁山泊に集まってくる一人ひとりの背負う問題、反乱軍に属さなければならない事情といったようなものが浮き彫りにされ、キャラを読ませるという手法で描かれた物語になっていると思います。

基本的に KiKi は水滸伝で集まる108人の豪傑という輩は、国家権力側から見れば単なる反乱軍(一揆と呼んだ方がいいかもしれない)で、実際のところは志もへったくりもなくて、替天行道(天に替わって道を行う≒世直し)な~んていう大きな Vision なんかなかっただろうと思うけれど、あの頼りない宋江(梁山泊のリーダー)の存在意義を高め、説得力をもたせるために「志」なんちゅう実態のよく分からないものを持ってきたあたり、なかなか考えたもんだと感心することしきりです。

そしてこのちょっと鬱陶しいまでに出てくる梁山泊側の「志」の対抗馬として出してきたのが、青蓮寺なる体制擁護派の頭脳集団(別の呼び方をすれば諜報機関)であり、その依って立つ思想が「王安石の新法」ときましたか!!  これは巧い!!  時代的にもピッタリマッチしているだけに妙な説得力があります。


沼津での介護生活の真っ最中、他に読む本もなく床に雑然と置かれていた夥しい父の蔵書の中から拾い上げて読み始めた「北方水滸」。  介護・介護の毎日では読書時間だけを辛うじて捻り出していたもののさすがにブログエントリーを起こすところまでは体力的・精神的余裕もなかったので、読んで放置という状態でした。  それじゃぁさすがに勿体ないと、2周目読書に突入しました。  ま、てなわけで本日の KiKi の読了本はこちらです。

水滸伝 1. 曙光の章
著:北方謙三  集英社文庫

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十二世紀の中国、北宋末期。  重税と暴政のために国は乱れ、民は困窮していた。  その腐敗した政府を倒そうと、立ち上がった者たちがいた―。  世直しへの強い志を胸に、漢たちは圧倒的な官軍に挑んでいく。  地位を捨て、愛する者を失い、そして自らの命を懸けて闘う。  彼らの熱き生きざまを刻む壮大な物語が、いま幕を開ける。  第九回司馬遼太郎賞を受賞した世紀の傑作・北方水滸、待望の文庫版第1巻。  (文庫本裏表紙より転載)

ついこの間、岩波少年文庫の水滸伝を読了した際、KiKi はその Review で「天罡(てんごう)三十六星」「地煞(ちさつ)七十二星」についてちょっと触れたわけだけど、この北方水滸第1巻の章立てがどうなっているかっていうとこんな感じになっています。

天罡の星(北斗星)
天孤の星
天罪の星
天雄の星
地暴の星
天微の星
地囚の星
地霊の星

で、因みにこれを水滸伝で108人に割り当てられた星と豪傑の相関図で結び付けてみるとこ~んな感じです。

天罡の星: 玉麒麟・盧俊義
天孤の星: 花和尚・魯智深
天罪の星: 短命二郎・阮小五
天雄の星: 豹子頭・林冲
地暴の星: 喪門神・鮑旭
天微の星: 九紋竜・史進
地囚の星: 旱地忽律・朱貴
地霊の星: 神医・安道全

必ずしも章のタイトルとそこで描かれる物語が全て一致しているわけではないけれど、まぁ、まぁ、この第1巻で登場する重要な人物とはほぼ一致している感じです。

  

「楊家将」全2巻に引き続き、「新楊家将」という副題を持つこちらを読了しました。

血涙 (上)(下)
著:北方謙三  PHP文庫

51bWKrrzN7L._SL500_AA300_.jpg  (Amazon)

剣が交錯した瞬間、壮絶なドラマが始まった。  「水滸伝」「楊令伝」に登場する宝刀の前史がここに!  (文庫本帯より転載)

宋建国の英雄・楊業の死から2年。  息子たちに再起の秋が訪れる。  楊家軍再興ー。  六郎は、父が魂を込めて打った剣を佩き、戦場へ向かう。  対するのは強権の女王率いる遼国の名将・石幻果。  剣を交えた瞬間、壮大な悲劇が幕を開ける。  軍閥・楊一族を描いて第38回吉川英治文学賞に輝いた「楊家将」の続編でありながら新展開。  「水滸伝」「楊令伝」に登場する宝刀「吹毛剣」の前史がここにある。  (文庫本裏表紙より転載)


51rwyvbO3uL._SL500_AA300_.jpg  (Amazon)

水毛剣から聞こえる父の声ー。  男たちの叫びが戦場に砕け散る!  青面獣楊志、楊令が佩く宝刀の奇しき因縁。  (文庫本帯より転載)

闘うことでしか生きられない者たちに勝敗を決する秋が来た。  「吹毛剣」を手に戦う六郎に、父楊業の魂が乗り移る。  その剣に打たれたとき、遼国の名将・石幻果の記憶がにわかに蘇る。   運命に弄ばれた男たちの哀しみを描く慟哭の終章。  乱世の終わりを彩る壮絶な物語が、今静かに幕を降ろす。  「水滸伝」に登場する青面獣楊志、楊令が佩く宝刀との奇しき因縁も明らかになる「北方楊家将」完結編。  (文庫本裏表紙より転載)

「楊家将」で元々北漢の軍閥で宋国軍を苦しめる先方だった楊業が宋に下ったものの、味方(宋国の潘仁美ら)の姦計に陥り命を落としてから2年。  その息子たちの中の生き残り、六郎と七郎が楊家軍を再興するところから物語はスタートします。  と同時に先の遼との戦で負傷し、俘虜となった四郎らしき人物が「記憶喪失」という現代人の感性では比較的受け入れやすい「可哀想な状態」で遼国の武将となっています。

結構、早い時期に「楊家将」ではその存在さえ全く触れられることのなかった「水毛剣」が登場します。  聞けば楊業が心血を注いで鍛え上げた剣であるとのこと。  でも楊業がその剣を佩いたという記述は「楊家将」の中にはどこにもなかったし、正直、かなり唐突な感じがしないでもありません(苦笑)。  まあ、楊業がその剣を佩いて戦場に出ていたら、楊業の死と共にその剣は行方不明になってしまう(もしくは遼に獲られてしまう)わけだから、当然「水滸伝」の楊志や「楊令伝」の楊令の手元にその剣が伝えられることはなくなってしまうわけで、ストーリー上の必然性ということで言えば分からないでもないんですけどね(苦笑)

そして楊家軍の宝刀だけだとバランスが悪いと感じられたせいか、遼国側でも楊令伝でシンボリックな宝刀として登場することになる「護国の剣」(但しこちらはこの名前こそ出て来ないけれど、「楊家将」で既に登場している)も現れ、シリーズを通して読む読者へのちょっとしたサービスみたいなサイド・ストーリーになっています。
  

楊家将 下 北方謙三

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介護・介護の毎日から解放された瞬間から、本人が予想していた以上のペースで読書が進む KiKi です。  本日の KiKi の読了本はこちらです。

楊家将 下
著:北方謙三  PHP文庫

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青面獣楊志、楊令に流れる誇り高き血を育んだ楊業の運命は......。  伝説の英雄の前に立ちはだかる「白き狼」。  天はいずれに味方するのか。  滅びゆく者たちの叫びが切々と旨に迫る慟哭の終章。  (文庫本帯より転載)

国境を挟み、宋遼二国は一触即発の状態に。  伝説の英雄・楊業と息子たちの前に、遼の名将・耶律休哥が立ちはだかる。  白い毛をたなびかせて北の土漠を疾駆するこの男は、「白き狼」と恐れられていた。  宋軍生え抜きの将軍たちも、楊一族に次々と難問を突きつける。  決戦の秋!  運命に導かれるようにして戦場に向かう男たち。  滅びゆく者たちの叫びが戦場に谺する。  北方『楊家将』、慟哭の終章。  (文庫本裏表紙より転載)

この物語。  一言で言ってしまえば「滅びの美学」の物語です。  「滅びの美学の物語」が好きなのは日本人だけかと思いきや、中国人にもその傾向があるのかしら??  それともこれは「北方版 楊家将縁起」だからこういう物語になったのかしら??  残念ながらこの本を読むまで本家本元の「楊家将縁起」についてまったく知らなかった KiKi には判断のつかないところです。  

上巻の Review で KiKi は楊業さんの息子たちの書き分けがちょっと粗いと書いたんだけど、コレ、実は全部が全部じゃなくて7人のうち4人に関してはそこそこ書かれていたんですよね。  かなりあっさりとまとめられちゃっていたのは次男、三男、五男の3人で、結果この3人はこの下巻でもキャラが立たないうちにお亡くなりになってしまいました。  お亡くなりになっても印象が薄いのはやっぱり描き込みが少なかったから・・・・・と言わざるをえません。

一家の柱である楊業さんと長男も非業の死を遂げることになるわけだけど、彼らはさすがに頭領とその後継ぎということで、上巻でもかなりの頁を割いて描かれていただけに、最期の時の描写には胸がジ~ンとしてきます。  「生粋の武官の生き様というのはこういうものか!」と思わずにはいられません。  

それにしてもこの楊家の悲劇は宋の国でもっとも精強な兵を抱えた軍閥でありながらも、所詮、外様であったこと。  そして宋国恩顧の武家たちにロクなのがいなかった(少なくともこの物語のうえでは・・・・ですけど)ことに尽きるような気がします。  そして宋国の帝も国のトップである以上 Vision は必要だけど、「先代から受け継いだ悲願(≒ 燕雲十六州の奪還)」という得体の知れない魔物に憑りつかれちゃったのが残念でなりません。  もっともこの「燕雲十六州の奪還」というヤツは「北方水滸」でも「楊令伝」でもその背景に根強く残っているわけで、そうであればこその悲願ということで帝がダメということでもないんですけどね。  少なくとも「北方水滸」の帝よりは遥かにマシですから(苦笑)。

さて、上巻からもそこそこ描きこまれていた楊業さんの四男、六男、七男は宋遼戦を生き延び(もっとも四男は虜囚となったきり行方不明だけど)、そのまま次の作品「血涙」に突入するようです。  こういう作りの物語だとやっぱり続編は素通りできないと読者に思わせるあたり、北方謙三さん、実に商売上手です(笑)    


楊家将 上 北方謙三

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北方水滸・楊令伝をとりあえず読破した記念に、楊令とその養父楊志のご先祖様の物語にもちょっと手を出してみたくなりました。  ま、それより何より、たまたま沼津の実家にこの本があったから読んでみる気になったという方が的を射ているかもしれませんけど・・・・(苦笑)  ま、いずれにしろ本日の KiKi の読了本はこちらです。

楊家将 上
著:北方謙三  PHP文庫

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『水滸伝』『楊令伝』に脈打つ楊家の魂、ここにあり!  宗建国の英雄・楊業とその一族。  過酷な運命のなかで光り輝き、青面獣楊志、楊令にも語り継がれた漢たちの熱き闘い。  (文庫本帯より転載)

中国で「三国志」を超える壮大な歴史ロマンとして人気の「楊家将」。  日本では翻訳すら出ていないこの物語だが舞台は10世紀末の中国である。  宋に帰順した軍閥・楊家は、領土を北から脅かす遼と対峙するため、北辺の守りについていた。  建国の苦悩の中、伝説の英雄・楊業と息子たちの熱き戦いが始まる。  衝撃の登場を果たし、第38回吉川英治文学賞に輝いた北方『楊家将』、待望の文庫化。  (文庫本裏表紙より転載)

「北方水滸」で早々に命を散らすことになる青面獣楊志、そしてその養父の死を目の当たりにするあたりからかなり特異な光を放ち始め、挙句、続く「楊令伝」ではタイトル・ロールを演じることになる楊令。  そんな2人のルーツ(と言っても楊令は楊志の養子だから厳密な意味ではルーツとは言えないかもしれないけれど)ともいうべき宋建国の英雄・楊業とその一族の物語ということで、ついつい手を出してしまった1冊です。  全2巻のうち現段階ではまだ上巻なので話は始まったばかり・・・・・という感もなきにしもあらずですが、年代的にはこの後に続く水滸伝、楊令伝でも描かれた文官 vs. 武官の確執とか、多くの小国が建っては滅びていくその空気感みたいなものがじわ~っと漂ってくる物語だと思いました。

さて、この楊業さん、現代の少子高齢化日本では想像できないほどの子沢山で7人の息子と2人の娘がいるそうな・・・・。  そしてこの男の子たちがそれぞれ「武家の男」として鍛え上げられているわけだけど、それぞれが少しずつ資質が異なり、戦の仕方や配下の兵との接し方も違うらしい。  そのあたりの書き分けみたいなものは「水滸伝」や「楊令伝」と比較するとちょっと粗いような気もするんだけど、これは上下2巻という冊数の少なさによる部分も大きいのかもしれません。


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